日立製「BladeSymphony」に新製品、柔軟なI/O機構の上位機「BS2000fx」


BS2000fx
BladeSymphonyラインアップ

 株式会社日立製作所(日立)は14日、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のハイエンドモデルに「BS2000fx」を追加すると発表した。7月15日より販売する。

 BladeSymphonyには、Web 3階層統合システムや大規模データベースに最適なハイエンドモデル「BS2000シリーズ」と、PCサーバー統合や中小規模の部門サーバーに最適な小型集積モデル「BS320シリーズ」の2系統が存在する。BS2000fxは、BS2000よりも高い柔軟性・拡張性を実現し、あらゆる基幹業務を担うプラットフォームへと進化した新製品。

 主なスペックは、10Uのシャーシにサーバーブレード×最大8基、PCI Expressスイッチ×最大4基、LANスイッチモジュール×最大2基、マネジメントモジュール×最大2基を搭載可能。「高性能サーバーブレード」と「標準サーバーブレード」の2種類を用意し、前者は8コアのXeon 7500番台×2基と最大256GBメモリを、後者は6コアのXeon 5600番台×2基と最大144GBを搭載できる。

 今回は「高性能サーバーブレード」の機能強化も発表しており、現行の2倍となる最大4台のサーバーブレードでのSMP(Symmetric Multi Processor)接続に対応。これにより、Xeon 7500番台を最大8基/64コアで並列処理をさせ、最大1TBメモリまでのスケールが可能となっている。BS2000/BS2000fx双方に対応し、7月15日より販売する。

3つの特徴。I/Oのシステム拡張ファブリックや、I/Oボードを継承しての障害切替やLPAR移動が可能に

 BS2000fxの特徴は、(1)システム拡張ファブリック、(2)I/O継承 N+1コールドスタンバイ、(3)I/O継承 LPARマイグレーションといった機能を備える点。

 (1)は、システム要件に合わせI/Oボードを柔軟に割り当てられる仕組み。サーバーシャーシ最大4台(サーバーブレード最大32台)と、I/Oボードを増設するI/Oスロット拡張装置最大8台(I/Oボード最大128枚)を、自由に組み合わせてシステムが構築できる。

 「I/Oボード1枚単位で任意のブレードへ割り当てられるため、無駄な空きスロットが削減できるほか、サーバー用途変更に伴うI/O再構成にも柔軟に対応する。また、一般的にI/Oボードの枚数が制約されるブレードサーバーで、最大128枚のI/Oスケーラビリティを実現するため、UNIXサーバー並みの拡張性を実現し、ミッションクリティカルでも問題なく使える信頼性を提供できる」(日立)という。

 (2)は、ブレード障害時に予備機にI/Oボードをそのまま継承させる技術。従来、N+1コールドスタンバイ構成では、I/O構成が異なる業務システムごとに、予備システム用のブレードとI/Oボードを用意する必要があったが、BS2000fxでは、予備システムに切り替わる際、現用のI/Oボードをそのまま予備システムに引き継げる。このため、I/O構成が異なる複数のシステムで予備システム用のブレードを共通化できるほか、予備システム用のI/Oボードを用意する必要がなくなるためネットワーク設計も容易になる。

システム拡張ファブリックの概要。システム要件に合わせてI/Oボードを柔軟に拡張。サーバーブレード32台とI/Oボード128枚を自由に組み合わせてシステムが構築できるI/O継承 N+1コールドスタンバイの概要。I/O構成が異なるシステムではそれぞれに予備システム用のブレードとI/Oボードを用意しておく必要があった。BS2000fxでは、予備システム切替時に現用のI/Oボードをそのまま引き継げるので、予備システムのコストや事前設計の手間を省ける。もちろん、I/Oボード故障時もシステム拡張ファブリックでフェイルオーバーが可能

 (3)は、仮想環境において、I/O占有したままでLPAR(論理パーティション)のマイグレーションを実現する技術。仮想化機構「Virtage」上で複数に区切られた各LPARを、別のVirtage環境に移行する際、2)と同様にI/Oボードをそのまま引き継げる。I/O占有の信頼性とマイグレーションの柔軟性を両立し、I/Oボード障害波及の阻止、QoS保証、セキュリティ保障を実現する。日立によれば「業界初の技術」という。

I/O継承 LPARマイグレーションの概要。仮想化機構間でLPARを移動する際に、I/Oボードをそのまま継承できる。柔軟性を実現しつつ、I/Oにまつわる信頼性を確保できるのがメリット適用例。日中、負荷の高いオンライン処理にリソースを割き、夜間はバッチ処理能力を拡大。この際、移動したLPARでI/Oボードをそのまま引き継げるので、ネットワーク設計が容易になる

 ハイエンドモデルのBS2000では、高い性能に加えてロングライフ保証(最長10年)に対応するなど、サポート面でも基幹系のミッションクリティカル領域をターゲットにしてきた。今回のBS2000fxでは、(1)~(3)の技術により、信頼性と柔軟性を両立。これにより、同じミッションクリティカル領域でも、例えば金融業のプライベートクラウド化要求にも耐える、高信頼クラウド基盤として訴求する。

 なお、統合運用管理ツールの「JP1」では、空きリソースの検索、リソースの予約、サーバーの配備、使用実績の確認と見直し、といったリソースプールの運用サイクル管理機能が実装されている。高信頼クラウド基盤をうたうBS2000fxでも今後、同機能と連携していく予定。

 BS2000fxの価格は、546万8400円から。出荷開始は10月29日より。4ブレードSMP構成に対応した新・高信頼サーバーブレードは1163万4000円から。出荷開始は8月31日より。

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