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日立、熟練者の作業ノウハウを活用して手順書作成・更新の効率化を支援する映像AI技術を開発
2026年9月17日 08:00
株式会社日立製作所(以下、日立)は16日、製造、保守、点検など複雑な作業工程を有する現場向けに、動画から作業手順の区切りと作業内容を自動的に抽出し、見た目が類似した工程も精度よく識別する映像AI技術を開発したと発表した。
複雑な作業工程を有する現場では、技能継承と作業品質の維持・向上が重要な課題となっており、文章ベースで手順書を作成しても、手元の微細な動きは文字だけでは伝わりにくい上、作成者による記述のばらつきや作成負担の大きさが課題となっているという。
そのため、直感的な「作業動画」の活用が期待されているが、映像解析で自動化しようとしても、隣接する工程で同じ部品や道具が映り続けるため、見た目だけでは工程を区別しにくいという技術的な壁がある。一方で、動画を見ながら各手順の区切り(開始・終了時刻)を人手で設定すると、作成者の負担が膨大となる。結果として、現場動画を手順書の整備や技能継承、教育に十分活用しきれないことが大きな課題となっていた。
そこで日立は、動画から作業手順の区切りと作業内容を抽出し、見た目が類似した工程も精度よく識別する映像AI技術を開発した。
開発した技術のうち、人手による時間ラベル付けの負担を減らす作業手順抽出技術は、動画から手の動きや道具、対象物、場所などの作業情報を抽出し、それらの関係を構造化して時系列に分析する。さらに、現場で既に保有している作業名や簡易的な手順リストを補助情報として活用し、動画からどの時間帯がどの作業に対応するかを推定することで、各手順の開始・終了時刻を人手によって詳細にラベル付けをすることなく、動画を手順単位に分割できる。これにより、作業の工程変更時にも動画整理や学習データ整備の負担を抑え、手順書作成・更新の効率化を支援する。
見た目が類似した作業工程の違いを捉える時間変化分析技術は、連続する複数のフレーム単位で、作業者の手や使用した道具がどの対象物に触れ、操作対象がどのように移動し、変化したかをAIで分析し、作業の進行に伴う時間的な特徴を捉える。これにより、見た目がよく似た工程でも識別精度を向上させ、細かな違いまで理解する必要がある作業の整理や教育に役立てられる。
手順書作成・更新の効率化や知識共有に活用しやすくする説明文抽出技術は、動画を作業手順単位に分割するだけでなく、各区間の作業内容を説明文として抽出できる。これにより、熟練者の作業動画を、手順書作成・更新の効率化に加え、技能継承や教育に活用しやすい形へ整理できる。現場ごとの作業内容や対象物の違いに応じて、動画と簡易的な手順情報を組み合わせながら知識を整理できるため、非熟練者への教育や知識共有に活用しやすくなる。
日立は、一般公開されている作業データセットと、日立が独自に構築したデータセットの2つを用いて、開発した技術の有効性を評価した。一人称視点の一般的な作業動画データセットを用いた基本性能の検証では、作業動画と手順リストのみ(開始・終了時刻なし)から手順の区切りを推定したところ、従来手法に比べて手順抽出性能を約35%向上できることを確認した。また、動画から作業説明文を生成する質も向上した。
さらに、医療機器や精密電子機器などの複雑な組み立て作業を対象とした独自のデータセット「EgoIndAssembly」を新たに構築し、変化の少ない手元作業の識別性能を評価した。その結果、見た目が類似した工程であっても、フレーム単位の手順識別精度を従来手法に比べて約73%向上した。これにより、人手によって詳細な時間ラベル付けをすることなく、手順書作成・更新に活用できる基本性能の高さに加え、現場特有の「見た目が類似した複雑な工程」も識別できることを確認した。
日立は今後、顧客との協創を通じて技術の有効性を検証し、複雑な作業工程を有するさまざまな現場へと適用領域を拡大していく。具体的には、手順書作成・更新の効率化に加え、熟練者の技能継承や作業教育に活用できるサービスへの展開を目指す。その一つとして、次世代AIエージェント「Naivy」が扱う作業センシングデータや分析・可視化機能との連携も検討していく。さらに、映像や手順文書などのITデータと、現場に蓄積されたOTナレッジにAIを組み合わせることで、Lumada 3.0を実現する技術の一つとして強化していく。これにより、現場業務の持続可能な運用や、人財育成・技能継承の高度化に貢献していく。

