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KDDI、柔軟な容量拡張が可能なクラスタ型ルーターの商用運用を開始

 KDDI株式会社は9日、AIの普及に伴うトラフィックの増大に対応するため、KDDIのサービスを支える国内主要4拠点のバックボーンネットワークにおいて、柔軟な容量拡張が可能なクラスタ型ルーター(DDBR:Distributed Disaggregated Backbone Router)の商用運用を6月5日に開始したと発表した。

 クラスタ型ルーターは、従来のシャーシ型(ハードウェアとソフトウェア一体型)のルーターと異なり、ハードウェアとソフトウェアを分離したオープンな仕様となっている。加えて、複数の機器を組み合わせて1台のルーターのように動作させる「分散型アーキテクチャー」を採用している。これにより、トラフィック量に応じて柔軟に容量を拡張できるほか、特定のベンダーに依存せず、最適な機器を選定できる。

 KDDIは、他社に先駆けてクラスタ型ルーターの大規模な商用導入を進めており、2027年度までに全国のバックボーンネットワークへの導入完了を目指す。今後、自社ネットワークでの運用で得た知見とクラスタ型ルーターの導入実績をもとに、ネットワークのオープン化を推進し、多様なベンダーが参画できるエコシステムを形成するとともに、社会の持続的成長を支えるネットワーク基盤の構築を加速させていくとしている。

シャーシ型とクラスタ型の構造比較

 クラスタ型ルーターはオープン化されているため、ベンダーの制約を受けずにハードウェアとソフトウェアを自由に組み合わせられる。これにより、ネットワーク要件に応じた最適な機器を選定することでネットワーク機器の導入コストを最適化し、過剰な設備投資を抑制できる。

 今回KDDIでは、主要4拠点の商用バックボーンネットワークのコアルーターにDriveNets製のソフトウェアとUfiSpace製のハードウェアを組み合わせて使用し、従来のシャーシ型のルーターを用いた場合と比較してネットワーク機器の導入コストを約50%削減した。

 また、異なるベンダーの機器を共通の手順で一括管理できる業界標準のデータモデル「OpenConfig」を採用し、本ルーターの導入時に必要となる設定や検証作業の一部を自動化している。今後、ネットワークのマルチベンダー化がさらに進む中、特定のベンダー仕様に依存しない自動化基盤を活用することで、将来的な運用工数の大幅な削減が期待されるとしている。

商用運用開始したクラスタ型ルーター

 また、クラスタ型ルーターは柔軟にスケールアウト(機器増設による処理能力向上)が可能な構成で、トラフィック量に応じてルーターの容量や台数を柔軟に設計できる。例えば大規模なルーター1台の構成を小規模なルーター複数台の構成に変更することで、一部の装置に障害が発生した場合でも、ほかの装置が処理を継続できる。この高い冗長性によりネットワーク全体の信頼性が向上し、これまで以上に安定した通信サービスの提供が可能になる。

 KDDIは2020年からTelecom Infra Project(以下、TIP)において、ルーターのオープン化に向けた技術開発を主導してきた。2023年6月にはインターネットゲートウェイピアリングルーターとして商用化を完了し、2025年2月にはバックボーンネットワークのコアルーターとしてクラスタ型ルーターの商用化を見据えた技術検証を完了した。さらに2025年5月にはDriveNetsとの戦略的パートナーシップを締結し、ネットワークのオープン化を進めている。

 KDDIは今後もTIPでの活動を通じてネットワーク全体のオープン化を主導し、さらなる技術革新に貢献していくとしている。