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KDDI、バックボーンネットワークでのホワイトボックスルーターの商用運用を開始

 KDDI株式会社は8日、インターネットを接続するバックボーンネットワークにおいて、ハードウェア、ソフトウェアともに複数ベンダーの組み合わせが可能な「オープンルーター」の商用運用を、6月5日より開始したと発表した。

 KDDIは、通信機器のオープン化などを推進するため、米Meta Platformsが推進するTelecom Infra Project(TIP)に参加しており、バックボーンネットワークの通信制御を担うルーターのホワイトボックス化に向けて、仕様策定、TIP認定ベンダー公表などに貢献してきたという。

 そうした中で今回、3月に通信事業者の商用ネットワークに耐えうることを確認したオープンルーターを、KDDIの商用バックボーンネットワークのインターネットゲートウェイピアリング用として導入開始した。

 従来のルーターの構成はベンダーに依存しており、ハードウェアやソフトウェアを柔軟に選択することはできなかったが、今回のオープンルーターではホワイトボックス化によりオープン化されているため、KDDIが必要とする機能に合わせた最小限の構成として、Broadcom製の大容量汎用ハードウェアチップ1枚での構成が可能になったとのこと。

従来型ベンダールーターとホワイトボックス化したルーターの構成比較

 なお、バックボーンネットワークには、コア、エッジ、ピアリングなどさまざまな領域が存在しており、従来はそれぞれの領域ごとに異なる機種のルーターを利用するのが一般的だった。これに対して今回のオープンルーターでは、ホワイトボックス化によってインターフェイス仕様もオープン化されているため、それぞれの領域において同じハードウェアを利用でき、各領域の予備品の共通化が可能となるため、機器コストの削減に寄与するとした。

ハードウェア共通化による従来ルーターとオープンルーターの比較

 KDDIによれば、従来のルーターと比べて約50%の低消費電力化と約40%の小型化を実現したという。また、TIPで認定されており、通信事業者での商用運用は国内初、世界では2例目になるとのことだ。なおKDDIは今後、オープンルーターの導入を拡大し、バックボーンネットワークのオープン化を目指すとしている。