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レノボ・ジャパン、2026年度戦略で「Hybrid AI」を推進 社会課題の解決に対しては日本独自の取り組みによる支援も
2026年6月2日 06:15
レノボ・ジャパン合同会社は5月28日、2026年度の事業戦略について発表した。
同社はHybrid AI戦略を推進し、日本の個人や企業へのAI導入を支援するという。また、社会課題となっている部材コスト、電力消費、リソース不足に対しては、製品およびサービスの提供だけでなく、同社が持つ調達力やサプライチェーンの強みを活用。国内22カ所の開発拠点、製造拠点、物流拠点、スマートセンターなどを展開している日本独自の取り組みによって対応していく考えも示した。
レノボ・ジャパンの檜山太郎社長は、「AIは、実験の域を出て、ビジネスや収益の中心になり、AIを早く導入したいと考えている企業や個人が多い。だが、部材不足やコスト上昇などの課題があり、デバイスやインフラに対する需給バランスが崩れている。メモリだけでなく、CPUやNPU、SSDなどの部材が不足し、価格が高騰している。製品、サービスを提供する企業として、ここにどう対応していくかが、2026年度の大きなテーマになる。すべてのデバイスレイヤでAIを活用できなくてはならないと考えており、レノボ・ジャパンは、AI時代を生き抜くためのHybrid AIを提供していく。AI分野でもリーダーシップを発揮し、日本の産業界に貢献したい」との方針を述べた。
パーソナルAI領域では、どの機器で利用しても個人を認識して利用できるAIが求められていること、エンタープライズAIでは、データの受け皿が集中と分散を繰り返してきた過去の歴史と同様に、クラウドでのAI学習という集中からオンプレミスでのAI推論という分散へと広がっていることに着目し、そこに向けた製品、サービス、サポートを提供する姿勢を強調した。
また、「Smarter AI for All」をミッションとしていることに触れながら、「すべての個人、企業、学校、団体に対して、AIの恩恵を届け、成果を上げることが、レノボ・ジャパンの活動の中心になる」と発言。
「これまでの投資は学習を中心としたデータセンターへの投資が中心だったが、2030年に向けては、エッジにおける推論への投資が増加していくことになる。しかも、かなり速いスピードで推論への投資が増えていくだろう。だが、ここでは国や市場、顧客によって使い方が異なっている。ポケットからクラウドまでの製品ポートフォリオを拡充して、あらゆるお客さまにAIを利用してもらえる環境を実現する」と述べた。
課題となっている部材コスト上昇への対応については、現在、サーバーやPCの価格上昇によって、企業の年間IT予算を上回る状況が発生していることを指摘。レノボ・ジャパンでは、Lenovo TruScaleによる従量課金の仕組みを利用することで、投資を最適化できると説明した。
レノボ・ジャパン 常務執行役員 ソリューション&サービス事業部の山口仁史氏は、「Lenovo TruScaleを活用することで、初期投資を抑えることができる。また、使用した分だけの支払いで済むため、コストメリットが大きく、用途に応じたスケールもしやすい。AIを活用するために必要なセットアップについてもコンサルティングが可能であり、最適なコストでの導入が可能になる」とした。
Lenovo TruScaleの最新事例として、日立グループが、グローバルで使用する17万3000台のPCの運用最適化において、Lenovo TruScale DaaSを活用。調達や配備、保守、サポートの統合により、TCOの削減とIT部門の負荷軽減を実現するとともに、統一されたセキュリティ基準と運用プロセスによって監査対応とサービス品質を向上し、ガバナンス強化も達成しているという。
納期改善への取り組みとしては、サーバー製品を例に挙げて説明。売れ筋製品やオプションを厳選し、常に工場に在庫することで、オーダーから10営業日以内の工場出荷を実現。達成率は約70%に達しているという。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズの張 磊社長は、「Top Choice Express(TCE)により、短納期製品を選定できるようにした。レノボのデバイスは、何万種類もの構成が可能であるが、お客さまやパートナーと話をしながら、ベストの構成に絞り込んで、在庫し、短納期で提供できるようにしている。部材が少ない状況でも、TCEであれば、約8割の製品を短納期で提供できる」とした。
説明のなかでは、リースアップなどによって返却されたPCを、レノボ・ジャパンで再生し、認定リファービッシュ品として販売するLenovo Certified Refurbishedを用意し、機器調達の選択肢を拡張していることにも触れた。
PCの納期改善の取り組みについては、レノボ・ジャパン 執行役員常務 PC・スマートデバイス事業本部の李 泓葦氏が回答。「現時点では、SSDの調達が最も課題となっている。だが、レノボグループが持つ強靱な調達能力を活用し、デマンドに合わせて調達できるようにしている」と述べた。
水冷技術「Lenovo Neptune」でデータセンターの電力消費に対応
さらに、電力消費への対応については、サーバー向けに提供しているLenovo Neptuneの取り組みを挙げた。
Lenovo Neptuneは、もともとはIBMが開発した技術で、レノボがIBMのサーバー事業を買収した際に継承。継続的な開発投資を行ってきた経緯がある。13年の歴史を持つ技術であり、現在は第6世代へと進化。最高45℃の温水でも冷却することが可能であるほか、循環させる水には純水が使用でき、有害なグリコール(不凍液)を使用しなくて済むため、環境配慮や安全面でもメリットがある。
張社長は、「データセンター事業者やデータセンターを活用している企業にとって、電力需要の増加、電力料金の上昇は大きな課題となっている。この課題には、ベンダー自らも取り組んでいかなくてはならない」とし、「データセンターで使用される電力の約4割が冷却のために使用されている。水冷によって、40%の電力コストの削減が可能になる」と述べた。
レノボでは、2026年5月に、千葉県印西市に、Neptune ラボを設置し、水冷サーバーの導入に向けた技術検証などを可能にしている。「日本仕様の水冷を完成させるための議論や検証の場にしていきたい」と語った。
2025年度業績は過去最高、国内でのAI投資も本格化へ
2025年度(2025年4月~2026年3月)の業績についても振り返った。
グローバルの売上高は前年比20%増の約830億ドルとなり、過去最高を達成したと報告。すべてのビジネスセグメントで2桁成長を達成するとともに、AI関連売上高が2倍以上に増加。世界180カ国に年間1億3000万台以上のPCを出荷したという。
檜山社長は、「事業規模が重要ではなく、多くのお客さまに使ってもらっているということは、多くのフィードバックを得て、それを製品やサービスに反映させることができるというメリットを生む。世界で最も課題を理解できる企業である」とした。
また、レノボ・ジャパングループの2025年度実績は、売上高が前年比20%以上の成長、利益は30%以上の成長を遂げたという。「この成長を維持し、日本への投資も行いながら、日本の産業界に貢献する。日本での事業運営に責任を持って取り組んでいく」と述べた。
国内PC市場は、2025年度まではWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要や、GIGAスクール構想第二期の端末整備による需要増大によって右肩上がりの成長となっていたが、2026年度以降は市場規模が減少すると見られている。
「これは市場規模が縮小したように見えるが、もとの市場規模に戻るととらえている。日本には、安定して、年間1200万台のPC市場がある」と分析。「さらに、日本の市場では、AI投資が加速しており、2027年のAIシステム投資市場は、2024年の2倍~3倍に拡大する。ここに対して、価値を提供できる製品、サービスを提供していく」と述べた。
レノボが、150人以上の日本のCIOを含む、全世界の3000人以上のCIOを対象に実施した「CIO Playbook」によると、AIを試験運用していたり、組織的に導入したりする企業は68%に達しており、AI投資からプラス効果が得られていると回答したCIOも83%に達していることがわかった。
「1の投資に対して、3のリターンがあるというのが、AI投資に対するCIOの認識である。AIをどうやって導入するかという段階はすぎ、AIをどう活用していくかという領域に入っている。AIは、ビジネスや収益の中心的存在になっている」と分析した。
「FIFA World Cup 2026」の公式テクノロジーパートナーとして大会運営を支援
一方、レノボグループは、2026年6月に開幕するFIFA World Cup 2026の公式テクノロジーパートナーとなっており、説明のなかでは、大会運営を支えるレノボの生成AIソリューションについても説明した。
レノボ・ジャパンの檜山社長は、「全世界で60億人の視聴が想定される世界最大規模のスポーツイベントにおいて、レノボのテクノロジーを訴求する絶好の機会である。FIFAの公式テクノロジーパートナーの契約は、レノボが初めてとなる。エンドトゥエンドで大会運営をサポートする」と述べた。
レノボグループでは、FIFAによる大会の運営のための法人向けソリューションおよびサービスを提供するほか、大会運営センター(TOC)やテクノロジーコマンドセンター(TCC)の状況を認識するためのダッシュボードであるTCCオブザーバビリティの提供、AIが生成したデイリーサマリーを提供するワンストップロケーションであるインテリジェントコマンドセンターの提供などを行う。
また、ファンを対象にした各種サービスの提供支援、各チームの分析環境を強化する「FIFA AI Pro」の提供、選手をデジタル上に再現する3Dデジタルアバター、AIを用いた補正技術により臨場感ある視聴体験を実現するレフリービューAIスタビライザーなどを提供する。
レノボ・ジャパンの佐藤久副社長は、「今回の大会では、14のソリューションを提供することになる。前回のワールドカップでは、『三苫の1ミリ』が話題となったが、今回は、そうした映像による微妙な判定、オフサイドの判定なども、AIによって瞬時に行うことができる。レフリーが装着したデバイスによって撮影した映像もテレビ放映に使用される予定であり、これまでにない映像体験ができる。また、FIFAスペシャルエディションの各種デバイスの発売や、大会で使用したデバイスを再整備して、新興国などに提供するプログラムも用意している」などとし、「レノボグループの250人のエンジニアが、オンサイトでサポートする。レノボがスポンサードしているF1で得た知見なども活用しており、テクノロジーをスポーツの世界に提供する。今回のワールドカップを通じて、スポーツ観戦のエクスペリエンスが大きく変わるだろう」と述べた。
レノボ・ジャパン チーフ マーケティング オフィサーのルービン 利恵氏は、「競技も運営も高度化するサッカーの最高峰であるワールドカップにおいて、Smarter AIとSmarter Technologyは欠かせない。レノボは、公式テクノロジーパートナーとして、ファン、チーム、放送、運営管理の4つのポイントから支援することになる」とし、「日本独自のキャンペーンタイトルとして、『技術がゲームを変える』を打ち出し、テクノロジーによって、すべての人に、これまでなかった熱狂を届ける」と述べた。












