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SAPジャパン、AIエージェントが組織横断で業務を自律的に支援・遂行する新たな企業変革ビジョン「Autonomous Enterprise」を発表
2026年7月22日 06:15
SAPジャパン株式会社は21日、ビジネスデータと業務プロセスに基づき、AIエージェントが組織横断で業務を自律的に支援・遂行する新たな企業変革ビジョン「Autonomous Enterprise(自律型エンタープライズ)」を発表した。
今回の発表には、企業がAIを本番業務で活用するための統合AIプラットフォーム「SAP Business AI Platform」や、主要なSaaSアプリケーション群にAIエージェントを組み込む「SAP Autonomous Suite」、業界固有のプロセス知識やデータモデル、規制ロジックを組み込むIndustry AIなどのソリューションと、RISE with SAPやSAP GROWを通じて企業の移行を支援する変革アプローチが含まれる。SAPジャパンは、生成AI活用を実証実験や個別業務の効率化にとどめず、全社的な業務変革へ広げることで、企業の持続的な成長と競争力の向上を支援するとしている。
SAP Business AI Platformは、SAP Business Technology Platform(SAP BTP)、SAP Business Data Cloud(SAP BDC)、AI Foundationを統合し、業務データやプロセスの文脈を理解したAIエージェントの開発と、ガバナンスの効いた安全な活用を支援する。
「開発」「コンテキスト・推論」「ガバナンス」の3つの領域で構成されており、開発領域ではJoule Studioを通じて、開発者や業務部門のユーザーがAIエージェント、アプリケーション、ワークフローを構築できる。コンテキスト・推論領域では、SAP Knowledge GraphやSAP BDCを活用し、AIエージェントが業務データの意味やプロセス上の関係性を理解できるようにする。ガバナンス領域では、SAP AI Agent Hub、SAP Signavio、SAP LeanIXなどを通じて、全社のAIエージェントの発見、管理、監査、統制を支援する。
プラットフォームの中核となるSAP Knowledge Graphは、SAPソリューションの顧客の業務データやプロセスの関係性をAIが理解しやすい形で整理する。また、SAP BDCと組み合わせることで、SAPデータだけでなくSAP以外のデータも含めたデータ活用を支援し、部門やシステムごとに分断されたデータを、業務の文脈に沿って活用できるようにする。
さらに、SAP AI Agent Hubは、SAP内外のAIエージェントを一元的に発見、管理、統制するための機能を提供する。SAP Signavioは業務プロセスの可視化・分析・改善を支援し、SAP LeanIXはITアーキテクチャやアプリケーション環境の可視性を高める。これにより、企業はAIエージェントがどの業務プロセスに関わり、どのシステムやデータを利用し、どのような統制のもとで動作しているかを把握しやすくなるだけでなく、顧客が運用する実際の業務プロセスや関連システムの情報をAIに理解させられる。
SAP BDCは、SAPデータとSAP以外のデータを業務の文脈に沿って統合・活用するためのデータ基盤として、機能を強化する。
機能強化により、SAP HANA CloudをSAP BDCに統合し、トランザクション、分析、空間、グラフ、ベクトルなどの多様なデータ処理を単一のエンジンで実行する。これにより、AIの推論や分析に必要なデータ処理を効率化する。
マスターデータ管理やデータの名寄せ・統合を支援するReltioの技術とSAP Master Data Governanceを活用し、SAP内外のデータをクレンジング・統合するとともに、検証済みでビジネス方針に準拠したマスターデータをAIエージェントに提供する。これにより、AI活用に必要なデータの信頼性とガバナンスを強化する。
Jouleエージェントにより、自然言語での指示を通じて、データプロダクトの検索、結合、変換、分析モデルの作成などを支援する。これにより、専門的なデータ知識を持たないユーザーでも、業務に必要なインサイトを得やすくなる。
また、Snowflake、Databricksに加え、2026年第3四半期にはGoogle BigQueryおよびMicrosoft Fabric、2026年第4四半期にはAmazon Athenaに対応するSAP Business Data Cloud Connectの提供を予定している。これにより、SAP Business Data Cloudと各データプラットフォームとの間で、データとメタデータを双方向かつゼロコピーで共有し、データを複製することなく業務の文脈を維持したまま活用できるようになる。
SAPジャパンは、AIエージェントを日々の業務に組み込み、企業が部門をまたいだ業務をより迅速かつ効率的に進められるよう支援する「SAP Autonomous Suite」を発表した。
SAP Autonomous Suiteは、財務、調達、サプライチェーン、人事、カスタマーエクスペリエンスなど、企業の主要な業務領域にAIアシスタントとAIエージェントを組み込む。これにより、担当者は情報収集や確認、定型的な処理にかかる負荷を減らし、判断や承認が必要な業務により集中できるようになる。
同スイートは、「Autonomous Finance(自律型ファイナンス)」「Autonomous Spend(自律型支出管理)」「Autonomous Supply Chain Management(自律型サプライチェーン管理)」「Autonomous HCM(自律型人事管理)」「Autonomous CX(自律型カスタマーエクスペリエンス)」の5つの業務領域で展開される。さらに今後数カ月以内に、200以上のエージェントと50以上のアシスタントの提供を予定している。たとえば財務領域では、決算、債権管理、支払処理、資金管理などの業務を支援し、サプライチェーン領域では、需要変動や供給リスクを把握し、在庫、調達、生産、物流に関わる対応を支援する。
ユーザーはJoule Workを通じて、業務に必要な情報やアクションにアクセスできる。Joule Assistantsが業務の文脈を整理し、必要に応じてJoule Agentsが複数ステップにわたる業務を支援する。これにより、複数のアプリケーションを行き来する負荷を軽減し、部門をまたいだ業務プロセスをより円滑に進めることが可能になる。
また、SAPジャパンは、Autonomous Enterpriseへの移行を支援する取り組みとして、オンプレミスのSAP ERP環境のクラウド移行とAI活用を支援する「RISE with SAP」および、新たにSAPのクラウドERPを導入する企業向けの「SAP GROW」を通じて、Joule AssistantsをはじめとするAI機能の活用支援を強化する。
RISE with SAPでは、利用可能な「Joule Assistants」の中から顧客が最大3つを選択し、その有効化をSAPの専門家が支援する。また、「Max Success Plan」を通じて、AI機能の活用計画、業務部門への展開、利用定着を支援する。「SAP GROW」では、導入初日から20以上のAIアシスタントを利用できる環境を提供し、クラウドERPの導入と合わせて、AIを活用した業務運用を短期間で開始できるよう支援する。
これにより、企業はクラウドERPへの移行や新規導入と同時に、業務プロセスに組み込まれたAI機能を段階的に活用できる。SAPは、業務知識、データ、プロセス、ガバナンスを組み合わせることで、企業がAI活用を一部の個人のスキルに依存せず、組織全体で再現性をもって展開できるよう支援する。
SAPジャパンは、SAP Business AI PlatformとSAP Autonomous Suiteを通じて、企業の業務データ、プロセス、ガバナンスに基づくAI活用を推進し、生成AIを実証実験から本番業務で活用できる環境を提供する。これにより、財務、調達、サプライチェーン、人事、カスタマーエクスペリエンスなどの主要業務にAIエージェントを組み込むことで、企業のより迅速な意思決定と確実な業務遂行を可能にし、日本企業がAI時代における新たな企業運営モデルであるAutonomous Enterpriseへ移行する取り組みを後押ししていくとしている。