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ServiceNow Japan、2026年事業戦略を発表――AIを標準搭載した新モデルと「AI社員」で業務変革を加速

 ServiceNow Japan合同会社は22日、2026年の事業戦略説明会を開催した。グローバルでの売上高が日本円換算で2兆円の大台に乗る中、同社 社長執行役員の鈴木正敏氏は「日本市場はグローバルを上回る高成長を継続している」とし、「IT領域を超えたソリューションの採用が本格化したほか、AIプラットフォームとしての採用が加速している」と述べた。

ServiceNow Japan 社長執行役員 鈴木正敏氏

 2026年の戦略の大きな柱となるのはAIだ。ただし、同社が2025年に実施した調査によると、テクノロジーの進化とは裏腹に、企業のAI成熟度は前年比で20%低下したという。鈴木氏はその最大の要因として、1社あたり平均360以上ものアプリケーションが乱立し、業務プロセスがサイロ化していることを挙げた。

 「AIエージェントはデジタルでつながっていなければ活躍できない」と鈴木氏は強調。複雑に絡み合った既存システムがAI活用のボトルネックとなっている現状に対し、同社の強みであるデジタルワークフローによる「つなぐ力」を基盤とした新たなイノベーションが重要だとした。

 そのイノベーションとは、「AIネイティブな業務起点と体験」「AI社員による自律的な業務実行」「AI活用の全社管理・統制」の3つだ。これが、同社の2026年の戦略を支えるキーワードとなる。

ServiceNow Japan 2026 重点取り組み

 「AIネイティブな業務起点と体験」は、「EmployeeWorks」で提供する。EmployeeWorksは、買収したMoveworksの技術をServiceNowのプラットフォームに統合したソリューション。これにより、従業員のすべての業務窓口をAIネイティブに統合し、日常業務やプロセスをエンドツーエンドで実行できるようになるという。「EmployeeWorksは従来のUI/UXの概念から脱却し、すべての業務のフロントドアになる」と鈴木氏は述べている。

AIネイティブな業務起点と体験

 「AI社員による自律的な業務実行」は、「Autonomous Workforce」で実現する。これは、サービスデスクの一次対応業務を担うAI社員の役割を果たす。問い合わせ内容の分析や解決策の考案、パスワードリセットやアクセス権付与などの業務を、AIが自律的に完結する。鈴木氏によると、すでにServiceNow社内でも同ソリューションを活用しており、「問い合わせをすると、まずはAIが対応する」状況だという。

 これらのソリューションについて鈴木氏は、「特に日本企業の業務体験やオペレーションを劇的に変革し、日本企業における長年の課題である業務生産性の課題解決に大きく貢献するものだ」としている。

AI社員による自律的な業務実行

 もうひとつの「AI活用の全社管理・統制」は、統合管理プラットフォーム「AI Control Tower」で対応する。買収したVeza社のID管理技術やArmis社の資産セキュリティ技術を組み合わせ、IT領域のみならず製造現場(OT)やフィジカルAIの領域まで含めた強固なガバナンスを実現する。

 鈴木氏は、「AIはデジタルな労働力であり、重要な経営資本のひとつ。それに、システム間の溝を人間が埋めなくてはいけないような環境では、優秀なデジタルネイティブ人材が集まらない」とし、AIネイティブな経営環境を整えることが、企業の競争力と採用力、そして企業価値に直結すると述べた。

AI活用の全社管理・統制

製品の提供形態を刷新、AIを標準機能に

 こうしたAIの機能をすべての顧客が利用できるよう、ServiceNowでは製品の提供形態を刷新する。「Foundation」「Advanced」「Prime」という3つのティア(階層)を用意し、最もベーシックなFoundationでもAIが利用できるようになる。ServiceNow Japan 専務執行役員 COOの原智宏氏は、「これまでオプション扱いや追加購入が必要だったAI機能を標準で組み込む。これにより、顧客は意識することなくAIを業務で活用できる」と話す。

ServiceNow Japan 専務執行役員 COO 原智宏氏

 従来のユーザー単位での課金や従量課金について原氏は、「ユーザー単位による課金は予算の予測が容易だが、価値を享受する前にすべてのコストを前払いする必要があり、AI導入拡大へのインセンティブが働きにくい。一方、完全な従量課金ではスケールに応じた支払いが可能だが、利用量の変動が激しく、数年単位での支出管理が困難だ」と説明する。

 ServiceNowの新形態では、定額のサブスクリプション契約に、利用量に応じた従量課金を組み合わせる。基本的なAI利用はユーザー単位の定額範囲内で自由に行え、より高度な活用や広範囲な利用拡大に応じて柔軟にスケールできる構造だ。これにより、MoveworksやWorkflow Data Fabric、AI Control Towerなどの機能が、全ティアを通じて利用可能となる。

 原氏は、「AIへの取り組みのレベル感やスピードは顧客ごとに異なる。新ライセンスモデルにより、各企業の進捗に合わせて最適なティアを選択してAI活用を始めてもらいたい」としている。

新しいServiceNowの提供モデル

本社移転でイノベーションセンターを開設

 4月上旬には、日本法人の本社を東京ミッドタウン日比谷へと移転させた。新オフィスは、執務階フロアの約4分の1が「ワーキングカフェ」となるよう設計。社員が集いたくなるオフィス環境を用意し、社員間の共創が生まれる場を目指した。

 また、新拠点内に「Tokyo Innovation Center」を開設、同センターにて顧客経営層との集中討議となるエグゼクティブブリーフィングを実施する。最新のAIソリューションが体感できるデモルームや、課題解決に向けたロードマップの策定などを行うワークショップルームなども設けた。

 鈴木氏は、新本社を「AIを核とした日本の変革拠点にしていきたい」と述べた。

本社を東京ミッドタウン日比谷に移転