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ネットワンシステムズとNTT西日本、IOWN APNを活用した分散データセンターでのAIオートメーション学習・推論実験に成功

 ネットワンシステムズ株式会社とNTT西日本株式会社は13日、IOWNオールフォトニクスネットワーク(以下、IOWN APN)を活用した次世代オートメーション実証の結果、模倣動作によるモデル学習における分散データセンターの有効性、自律型協働ロボティクスの遠隔推論、マルチベンダーデバイスとのAPN接続といった点を確認したと発表した。

 両社は、労働人口の減少により、小売り・製造・医療など現場で担い手不足が深刻化している現状に対し、AI協働ロボットや自律化技術を活用した次世代オートメーションの実現に向けて、低遅延・大容量・高安定性のIOWN APNと分散クラスタ型AI基盤を組み合わせたリアルタイム制御の可能性を検証した。

 実証は、NTT西日本が運営するIOWN APN実証環境として、大阪京橋、堂島および福岡の3拠点を接続し、分散データセンターでAI処理を行うシステム構成で実験した。また、このシステム構成上で、模倣学習によるAI基盤でのモデル学習と、IOWN APN経由での自律型協働ロボティクスの実験をした。実施期間は2025年8月27日~11月18日。

 実証では、約600km離れた拠点を含む3拠点のGPUノードを活用した分散学習において、ネットワーク遅延に対するチューニングを実施し、ローカルデータセンター環境と比較して約86.0%の処理能力を達成(学習時間は約1.17倍)した。

 この結果、自律型協働ロボティクスの模倣学習によるモデル学習において、分散データセンター間であっても複数のGPUを同時に利用し、GPUリソースを効率的に活用できる可能性を確認した。

 また、IOWN APN経由で、福岡拠点のデータセンターに配置した学習済みモデルを用いた推論処理を稼働させ、約600km離れた大阪京橋に設置した自律型協働ロボティクスの推論動作を実行できることを確認した。

 実証では、大阪京橋(ローカル)、福岡(遠隔拠点)、インターネット疑似環境の3環境で比較検証を行った。ロボットの推論処理は、カメラ映像を都度データセンターに送信し、処理結果を受け取る仕組みであるため、ネットワーク帯域と遅延が推論頻度(単位時間あたりの推論回数)に直接影響する。その結果、大阪京橋と福岡では正常動作したが、インターネット疑似環境では動作のガクつきやタスク失敗の発生が確認された。

 推論頻度の低下は、データ伝送の遅延による影響であり、一定以下になると正常な動作が困難であることが分かった。今回の結果から、IOWN APN経由では約600km離れた環境でもロボットの推論動作が安定して実行可能であることを確認しており、今後はロボット固有の要因も考慮しつつ、ネットワーク遅延が正常動作に与える影響のしきい値を見定めていくとしている。

 実証では、分散データセンターを構成した環境において、自律型協働ロボティクスの模倣動作によるモデル学習および遠隔推論動作に成功した。この取り組みは、労働人口減少などの社会課題解決に向けた次世代オートメーションの実現を目指し、AIの処理負荷を分散データセンターで制御・管理する新たなシステム構成の有効性を確認したもので、社会実装の可能性を大きく高める重要な成果となったとしている。

 さらに、実証環境において、IOWN APNとのマルチベンダーデバイスによるAPN接続にも成功した。具体的には、HPE(旧Juniper Networks)、アリスタネットワークスの400GコヒーレントオプティクスをAPN-Tの代替として商用スイッチに搭載し、IOWN APNに接続。ネットワークの正常動作(リンクアップ、疎通、通信帯域、性能)を確認した。この成果により、APNの導入において多様なニーズに対応可能な柔軟な実装方法の可能性が広がったとしている。

 ネットワンシステムズとNTT西日本は、実証を通じて、小売り・製造・医療・社会インフラなど、事業ごとに異なる社会課題に対し、AI×ロボティクス×IOWN APNによる自律オートメーションの可能性を検証できたと説明する。例えば、将来的には熟練者の操作をAIに学習させることで、数百km離れた遠隔地においてもロボットが作業を担うといった活用が想定され、人手不足への対応や運用効率化など、コスト面での効果も期待されるとしている。

 今後はこの成果をもとに、低遅延、大容量、揺らぎのない通信を実現するIOWN APNと分散クラスタ型AI基盤の統合設計を行い、即応性と拡張性を両立する次世代のオートメーションシステムによるリアルタイムなロボット制御を実現し、労働人口減少などの社会課題解決に向けたユースケースの実証およびビジネスモデルの検証をしていくとしている。