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ブロードバンドタワーとNTT東日本、東京・札幌間をIOWNで接続したストレージシステムの共同実証を実施
2025年11月18日 06:15
株式会社ブロードバンドタワーとNTT東日本株式会社は17日、共同実験協定を締結し、長距離(東京~北海道)のデータセンター拠点間で、次世代通信基盤「IOWN」におけるオールフォトニクスネットワーク(以下、APN)を活用したストレージシステムの共同実証を開始すると発表した。ブロードバンドタワーが提供するストレージサービス内通信にAPNを活用し、1000kmを超える長距離データセンター間で同一ファイルシステムを構成する初めての取り組みとなる。
ブロードバンドタワーとNTT東日本では、近年、一つのデータに対して、分析や生成AI学習、映像処理など、多様なワークロードが求められるようになっているが、「データの格納場所(ストレージ)」と「利用者(アプリケーションや分析環境)」が必ずしも同一拠点に存在するとは限らず、共有するために拠点間のデータ移動が頻発していると説明。大容量化するデータの転送に膨大なネットワーク帯域、時間、運用工数が必要となり、データ利活用の大きな障壁となっており、生産性にも大きな影響を与えているという。
また、データの大容量化と高速化が求められるストレージ環境においては、低遅延性が重要視されるため、多くの企業では拠点ごとにストレージが設置されている。こうした企業にとって重要なデータを格納するストレージは、事業継続性を考慮したデータ保護、バックアップ、ディザスターリカバリー対策や、昨今、対応が急務となっているランサムウェア対策を含むセキュリティ対策など、多面的な管理が求められている。この結果、管理者は拠点ごとに個別の対応が必要となり、管理負荷の増大や運用の非効率化が課題となっている。
こうした課題に対し、共同実証では、東京拠点の「ブロードバンドタワー 新大手町サイト」と、北海道拠点の「NTT東日本 札幌市内データセンター」(2026年開設予定の「石狩再エネデータセンター」を想定)を利用し、1000km超にわたる一貫したストレージシステム(ワンボリューム)を構築する。
従来は遅延の観点から、同一拠点内に限定されていたストレージ間通信に、高品質・大容量・低遅延の特性を持つIOWN APN(NTT東日本の「All-Photonics Connect powered by IOWN」)を活用することで、東京~北海道間の長距離にわたる一つのストレージ空間に統合する。
共同実証では、次世代通信基盤「IOWN APN」を用いて長距離データセンター間を接続し、離れた拠点に設置されたストレージを、あたかも一つのストレージシステムのように利用できる仕組みを実現する。この仕組みにより、データの配置場所や距離を意識することなく、最寄りの拠点からストレージへアクセスし、遠隔地拠点とデータをリアルタイムに共有することが可能となる。
ストレージにはDell Technologies PowerScaleシリーズ、ランサムウェア対策ソフトにはSuperna Eyeglassを利用。長距離拠点間で構成されたストレージシステムの正常性確認や、映像制作やAIのワークロードを想定したストレージ性能検証、セキュリティやデータ保護に関するストレージ機能検証を行う。
これにより、高品質なデータ送受信が求められる映像制作や、大規模な学習データ活用が不可欠なAI開発など、多様な分野で課題となっていたワークロードの最適化に寄与し、企業の生産性向上とデータ利活用のさらなる推進に貢献すると説明。また、増大するデータセンターの電力需要への対応や、インフラの効率化といった社会的課題への取り組みにより、柔軟で持続可能なデジタル社会の基盤構築を後押しするとしている。
