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LPI-Japan、Linuxスペシャリストの新認定「LinuCレベル3」を発表――12月1日より受験可能に

 特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(以下、LPI-Japan)は4日、Linux技術者認定試験「LinuC(リナック)」において、エンタープライズレベルのシステム構築の専門技術力を証明する新たな認定試験を追加したと発表した。

 新認定は、高可用プラットフォームの専門領域にフォーカスした「LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリスト」と、セキュリティ分野の専門領域にフォーカスした「LinuCレベル3 セキュリティスペシャリスト」の2つ。

 LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリストは、仮想化や自動化による柔軟性と冗長化や負荷分散による可用性を備えたプラットフォームをLinux/OSSで構築・運用できる高度な能力を認定する。また、LinuCレベル3 セキュリティスペシャリストは、Linuxシステムのセキュリティ実装から運用まで一貫して対応できるセキュリティエンジニアとしての高度な能力を認定する。

オープンテクノロジーのキャリアマップ

 今回の新認定リリースに伴い、最上位認定の「LinuC システムアーキテクト」を「LinuCレベル4 システムアーキテクト」へと名称を変更する。これにより、Linuxシステムの操作・運用技術を認定する「レベル1」、Linuxサーバーの構築・管理技術を認定する「レベル2」、専門領域のスペシャリストを認定する「レベル3」、システム全体のアーキテクチャ設計技術を認定する「レベル4」といったように、「段階的にスキルを習得し、技術者の成長と活躍に導く新LinuC認定試験体系が完成した」と、LPI-Japan 理事長の鈴木敦夫氏は述べている。

各レベルの位置づけ

 新試験の開発にあたっては、「技術動向の変化や生成AI時代における学習パスの変化、LinuCとして目指す方向性を考慮した」と、試験開発責任者を務めたLPI-Japan ITエキスパートの安良岡直希氏。試験の具体的な例題も挙げ、「一般ユーザー権限で実行するRootlessモードのDockerで以下のコマンドを実行したところ、bind: permission deniedエラーが発生した。Rootlessモードのセキュリティ利点を維持したまま、この問題を解決する方法は次のうちどれか」といったように、「実際に業務を遂行する中で、トラブルを含め完遂できるレベルを問うような問題が多い」(安良岡氏)としている。

例題で見るレベル3の立ち位置

 LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリストの試験では、仮想マシンやコンテナ基盤の設計と構築、高可用性クラスタおよび負荷分散システムの構築、インフラの構成管理自動化、監視、バックアップといった能力が問われる。

プラットフォームスペシャリスト認定の詳細

 一方、LinuCレベル3 セキュリティスペシャリストの試験では、サーバーやコンテナの堅牢化といったセキュアなLinux環境の設計と構築、セキュアプロトコル、認証・認可基盤の実装、不正侵入や改ざんの検知、セキュリティ診断の実施などの能力が問われることになる。

セキュリティスペシャリスト認定の詳細

 新認定の試験予約は11月4日に開始し、12月1日より全国のテストセンターおよびオンラインにて受験が可能となる。なお、この認定体系の刷新に伴い、現行のLinuCレベル3(300試験:Mixed Environment、303試験:Security、304試験:Virtualization & High Availability)は、1年間の並行配信後、2026年11月30日に終了する。

 試験の問題数は約60問で、試験時間は90分(試験後のアンケート回答時間5分を含む)。試験実施言語は現時点では日本語のみだが、2026年春には英語版の配信開始を予定している。国内での受験料は2万7500円(税込)。新LinuC認定体系の完成記念として、新LinuCレベル3およびレベル4を受験し不合格となった場合、2回目の受験料が無料になるキャンペーンを実施する。キャンペーンの1回目の受験期限は2026年5月31日までで、2回目の受験期限は2026年6月30日までとなっている。

試験概要

 LPI-Japanは、年間5000人のLinuCレベル3認定者を輩出することを目指す。また、LinuCレベル3やレベル4の上級認定を通じて技術者のレベルアップを支援するため、上級認定受験者が効果的に学習できる指針や教材、学習方法などの学習支援情報の提供を強化するほか、オープンなコミュニティや公開コンテンツ、イベントなどを通じて上級技術者の価値を顕在化する取り組みを強化するとしている。