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IBM、IBM Z/LinuxONE/IBM Power向けAIアクセラレーター「IBM Spyreアクセラレーター」を提供
2025年10月15日 09:00
米IBMは現地時間7日、基幹業務のセキュリティとレジリエンスを重視しながら、生成AIおよびエージェント型AIのユースケースを支える低レイテンシー推論を可能にするAIアクセラレーター「IBM Spyreアクセラレーター」を提供開始すると発表した。IBM z17およびLinuxONE 5向けは10月28日、Power11向けは12月上旬に提供を開始する予定。
IBMでは、IBM Spyreアクセラレーターは、IBM ResearchのAIハードウェアセンターによるイノベーションと、IBMインフラストラクチャーによるエンタープライズグレードの開発を融合した、IBMの研究開発から製品化までのパイプラインの強みを体現するものだと説明する。IBM Spyreアクセラレーターは当初、プロトタイプチップとして発表され、IBMヨークタウンハイツの研究所でのクラスター展開や、アルバニー大学の先端AIシステムセンターなどとの協業を通じて、迅速な反復型開発により改良された。
IBM Spyreアクセラレーターは、32個のアクセラレーターコアと256億個のトランジスタを搭載した、商用のシステムオンチップ(SoC)として提供される。5nmプロセス技術を用いて製造され、各IBM SpyreアクセラレーターはPCIeカードに実装され、IBM ZまたはLinuxONEシステムでは最大48枚まで、IBM Powerシステムでは最大16枚までカードをクラスター化して、AI処理能力を拡張できる。
IBM Spyreアクセラレーターは、IBMの顧客にオンプレミスでのAIアクセラレーション技術による高速かつ安全な処理を提供する。これは、IBM Z、LinuxONE、IBM Powerシステム上にデータを保持したまま、AIを大規模に活用できるという重要なマイルストーンになるとしている。IBM ZおよびLinuxONEでは、IBM Telum IIプロセッサーとの組み合わせにより、セキュリティの強化、低レイテンシー、高トランザクション処理能力を実現する。この高度なハードウェアおよびソフトウェアスタックを活用することで、企業はIBM Spyreアクセラレーターを使用して複数のAIモデルをスケーラブルに展開し、高度な不正検知や小売業の自動化といった予測型ユースケースを強化できる。
IBM PowerベースのサーバーでIBM Spyreアクセラレーターを利用する顧客は、AIサービスのカタログを活用してエンタープライズワークフロー全体にAIを統合することで、エンドツーエンドの業務最適化を実現できる。カタログに掲載されたAIサービスは、ワンクリックで導入できる。
IBM Power向けのIBM Spyreアクセラレーターは、オンチップアクセラレーター(MMA)と組み合わせることで、生成AIのデータ変換を高速化し、企業内の複数の業務プロセスやシステムが、より密接かつ効率的に連携するための高スループットを実現する。さらに、128のプロンプトサイズに対応し、1時間に800万件以上の文書を取り込めるようになり、ナレッジベースへの統合を大規模かつ迅速に実現する。この性能は、IBMのソフトウェアスタック、セキュリティ、スケーラビリティー、エネルギー効率と組み合わせることで、企業が生成AIフレームワークを業務に統合する取り組みを強力に支援するとしている。