ニュース

Salesforce、企業のIT業務を自動化する「Agentforce IT Service」を発表

 米Salesforceは現地時間9日、AIエージェントが主導する会話を中心とした新しいITサポート製品群「Agentforce IT Service」を発表した。

 Agentforce IT Serviceには、ITILプロセスに準拠し、次世代のエンドツーエンドなITサービス管理機能を備えたAIエージェント主導型の新しいITサービスデスク、複数のAIエージェントが各専門分野のエキスパートとして連携して従業員やITチームを支援する機能、企業全体のインフラ、アプリケーション、サービスを網羅的に可視化して接続関係や依存関係を把握できる「エンタープライズグラフ」などの機能が含まれる。

ITサービスデスク

 Agentforce IT Serviceは、SlackやMicrosoft Teams、従業員ポータル、Webチャットなど、従業員が普段働いている環境に対応し、Slackのメッセージ画面から直接リクエストを送るだけで、AIエージェントが質問対応やトラブル解決、緊急対応まで自動で行い、アプリを切り替えることなく即時サポートを実現する。

 例えば、「自分のノートPCが更新の対象かどうか知りたい」といった場合でも、チケットを発行して待つ必要はなく、SlackやMicrosoft Teams、従業員ポータルなど、普段の業務環境からそのまま質問でき、Agentforceが従業員のプロフィールや社内ポリシーを確認して、ITチームの介入なしにリアルタイムで最適な回答を提示する。

 メールサーバーの障害のような全社的な問題が発生した際には、Agentforceが影響を受ける従業員に自動で通知を送り、状況をリアルタイムで更新する。さらに、従業員の問題が未解決の場合には、Agentforceが自動でインシデントを登録し、対応を開始する。

 セキュリティ侵害のように複雑または緊急性の高い問い合わせを受けた場合には、Agentforceは即座にITチームに会話を引き継ぎ、迅速な対応に必要な情報を添えて共有する。

問題が発生した際、Agentforceは影響を受けた従業員に自動で通知を送り、リアルタイムで状況を更新する

 ITチーム向けには、Agentforce IT Serviceはインシデント管理を自動化し、迅速な問題解決を支える高度なインサイトを提供することで、ITチームの業務拡張を支援する。これにより、トラブルを未然に防ぐとともに、ITサポートコストを削減する。

 Agentforceは、従業員からの報告に基づき、自動的にインシデントを作成し、その優先順位付けを行う。複数の従業員がVPNの不具合を報告した場合、Agentforceはそれを広範な障害として特定し、重大インシデントとしてエスカレーションする。

 重大なインシデントが発生した際、Agentforceは過去のインシデントデータを分析し、根本原因を特定するとともに、要約レポートを生成し、解決策を提案する。

 ITリーダーやマネージャーは、チームのパフォーマンス、資産状況、インシデント件数を容易にモニタリングできる。これにより、リソース配分の最適化や業務負荷の調整など、データドリブンな意思決定が可能になる。

 ITインフラ全体の「信頼できる唯一の情報源(SSOT:Single Source of Truth)」として機能するCMDB(構成管理データベース)を内蔵することで、障害箇所を迅速に特定する。例えば、ネットワークスイッチの故障が発生した際、影響を受けるすべてのシステムを事前に特定し、広範なダウンタイムを防ぐことができる。

 Salesforceでは、Agentforce IT Serviceは、Salesforceプラットフォーム上に構築され、企業内のデータサイロを解消し、AIによる迅速な自動解決や部門横断的なシームレスなワークフローを実現すると説明する。Service Cloudから受け継いだベストプラクティスにより、コストのかかるシステム連携やデータ分断を排除し、正確で信頼性の高い「信頼できる唯一の情報源」を確立し、スタッフの業務効率と従業員満足度を最大化するとしている。