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九州電力、IIJ、QTnet、1FINITY、ノーチラス・テクノロジーズの5社、「九州版ワット・ビット連携」の実現を目指す実証プロジェクトを開始

 九州電力株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)、株式会社QTnet、1FINITY株式会社、株式会社ノーチラス・テクノロジーズの5社は24日、九州における分散型デジタルインフラの構築・検証を目的とした実証プロジェクトを10月に開始すると発表した。

 実証プロジェクトでは、政府が推進する「ワット・ビット連携」の考え方をもとに、九州の再エネを活用し、地域に分散したデータセンターを連携させることで、電力とIT処理の最適なバランスを目指す。

 近年、AIやクラウドサービスの普及に伴いデータセンター需要が増加する中、データセンターの都市部への集中による電力需要の増加やデータセンター用地不足などの課題が指摘されており、政府はこれに対し、脱炭素電源が豊富な地方へのデータセンター誘導を進めている。

 プロジェクトでは、九州各地に小規模データセンターを設置し、光信号で通信する「APN(All-Photonics Network)」接続によって一つの大きなシステムとして機能させ、場所を意識せずデータの保管や処理を可能にする。また、ネットワークには従来の電気信号による通信ではなく、光信号を直接扱う光ネットワークインターフェイスカード(NIC)を使用し、光信号で分散データセンターを直結する世界初の試みを行う。加えて、光信号の直結により各種ネットワーク装置を減らすことで、省電力化を図る。

 さらに、昼夜で発電状況が異なる地域のデータセンターを柔軟に使い分けるため、AI処理に特化したGPUサーバーを各データセンターに配置し、複数のデータセンターに分散保存されたデータにアクセスしてAIなどの処理が可能な「分散データベース技術」の検証も行う。

 今後は、これらの技術と九州の地産エネルギーを組み合わせ、「九州版ワット・ビット連携」の実現を目指すとしている。

 プロジェクトの期間は2025年10月~2026年3月。ワット・ビット連携を実現するデジタル技術の検証と、分散デジタルインフラ技術を用いたAI処理と分散データベースの有効性評価を行う。

検証の実施イメージ

 検証では、九州の複数拠点(当初段階は2拠点)に、データセンター機能を分散配置し、AI処理に分散データベース技術(ノーチラス・テクノロジーズの「劔“Tsurugi”」)を採用し、処理性能や消費電力がどのように変化するかを検証する。

 また、ローカルLLM/AI画像処理技術の検証として、リモート環境にあるGPUを使用してAI演算処理を行い、実効性の検証を行う。検証にはTsurugiのMCP機能を利用し、自然言語によるデータ処理のシミュレーションを行う。APN技術の検証では、分散データセンター間を低遅延に繋ぐためのAPN技術検証を実施し、従来型の通信技術との比較検証を行う。