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Jパワーと日立、AI用データセンター構築に向けた共同検討で合意
2025年7月8日 08:00
電源開発株式会社(以下、Jパワー)と株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、電力、ガス、鉄道、上下水など重要な社会インフラを担う事業者向けのAI用データセンター構築に関する覚書を締結したと発表した。
Jパワーと日立では、現在、少子高齢化や労働人口減少などの社会課題を解決するための技術として生成AIへの期待が高まる中、社会インフラ事業者においては、機密性の高い膨大なデータを取り扱うため、信頼性の高いセキュアなAI用データセンターの活用ニーズが高まっていると説明。
そうしたニーズに応えるため、重要社会インフラ事業を担うJパワーが推進するAI用データセンターの建設・運用において、Jパワーが全国に有するカーボンニュートラル電源(水力・風力・地熱・太陽光など)と、日立が有するOTとAIの融合による高度な知見を生かし、その取り組みの実現に向けて連携していく。
今後、覚書に基づき、重要社会インフラ事業におけるAIの活用シーン(ユースケース)や、学習・推論などAIの育成プロセス(AIライフサイクル)を踏まえた、AI用データセンターの要件定義の検討や技術検証を推進していく。例えば、膨大なエネルギーを消費するAI用データセンターを持続可能な形で運営するために必要となる、地方分散化によるカーボンニュートラル電源の活用や、AIによる発電所の運転支援・運用最適化などを検討していく。
これらは、データセンターの地方分散を推進する政策である「ワット・ビット連携」に資するもので、GX(Green Transformation)とDXを同時に実現し、地域共生に貢献する取り組みだとしている。
Jパワーが有するカーボンニュートラル電源(水力・風力・地熱・太陽光など)と、日立が有するデータセンターのIT設備・運営ノウハウ、さらにLumadaをはじめとしたAIの豊富なユースケースなどの強みを掛け合わせることで、重要社会インフラ事業におけるAI用データセンターの検討を進めていく。
Jパワーは、AI用データセンター向けの土地および建物・電力の提供、技術検証に必要なデータ提供を担当。日立は、AI用データセンター向けのサーバー・ストレージなどのIT設備の提供、AI・デジタル技術の提供を行う。
今後の検討事項としては、分散型AI用データセンター実現によるエネルギーの最適化を挙げている。AIライフサイクルにおいては、生成AIモデルを構築するための学習環境と、それらを実行する推論環境が必要だとして、その学習環境用データセンターと推論環境用データセンターを分散設置することを構想する。これにより、再生可能エネルギーやトランジション火力によるカーボンニュートラル電源の活用を図り、AI用データセンターにおけるエネルギーの最適化を検討していく。分散型AI用データセンターの実現に向けては、データセンター間を大容量・低遅延・低消費電力でデータ伝送する技術の活用も検討する。
また、重要社会インフラに求められる高信頼・高品質なデジタル基盤の整備に向け、セキュアなAI用データセンター環境を、プライベートクラウドにより構築することも検討する。社会基盤を支える重要社会インフラ業務では、OT領域における機密性の高いデータが扱われるため、生成AIの活用には、セキュアな運用環境が不可欠だとして、Jパワーが有する発電所への生成AIの適用を通して、厳格なアクセス制限などにより、多様な事業者が安心して利用できる環境の実現を目指すとしている。