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日立と東電PG、3エリア以上のデータセンター間における系統連携型エネルギーマネジメント技術を確立
2025年7月29日 06:30
東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東電PG)と株式会社日立製作所(以下、日立)は28日、データセンター間でのワークロードシフトによる電力系統連携型エネルギーマネジメントに関する実証実験を実施し、3エリア以上におけるワークロードシフトを含むエネルギーマネジメント技術の確立と、高速化を実現したと発表した。
ワークロードシフトとは、計算負荷を時間的または空間的に移動させることで、電力需給バランスの調整やコンピューティングリソースの有効利用などを促進する技術のことを指す。
東電PGと日立は、データセンターを活用したエネルギーマネジメントによる電力系統における電力需給バランスの最適化を目指した実証実験を2022年10月に実施し、データセンターを分散制御するエネルギーマネジメントの「基礎技術」を確立した。
今回は、今後増加が見込まれるデータセンターを電力の調整力として活用するため、東京都内2カ所および神奈川県内の計3カ所のデータセンター間において、電力系統連携型エネルギーマネジメントに関する実証実験を実施した。
実証実験では、電力系統における電力需給バランスを考慮して、電力需要に対する再生可能エネルギー由来の供給力を最大限活用することを目指し、3エリアのデータセンター間で、生成AIアプリケーションとデータを共にワークロードシフトすることで、データセンターの消費電力を調整し、電力調整力が確保できるかを検証した。
3エリアの電力需要を増減させる調整力としてデータセンターのサーバーを用いて、多拠点間での最適ワークロードシフト、需給調整市場の入札要件を満たす電力需要調整、生成AIアプリケーション向けシフトの3点を検証した。
実証の結果、需給調整市場の入札要件を満たすよう、3エリア間のワークロードシフトが最適に行われ、調整力が最大化されることが確認できた。
生成AIアプリケーションのワークロードシフトを1秒以下のダウンタイムで実現し、移行元の電力需要低下および移行先での電力需要増加を10秒以内(一次調整力入札要件)で行えることを確認した。さらに、LLMの移行と連動したワークロードシフトについても、高性能ネットワークの適用などにより、移行元の電力需要低下および移行先での電力需要増加が5分以内(二次調整力入札要件)で行えることを確認した。
今後、東電PGと日立は、データセンターにおける一連の実証を通じて確立した技術とノウハウを、電力需要に対する調整力に活用するとともに、事業化の検証も進め、ワット・ビット連携などによるカーボンニュートラルの実現と、電力の安定供給、社会コストの低減を目指すとしている。