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日立、「eKYC支援サービス」を拡張しiPadを用いた本人確認書類のICチップ読み取り機能を提供

サイバートラストの「iTrust本人確認サービス eKYCライブラリ」を活用

 株式会社日立製作所(以下、日立)とサイバートラスト株式会社は16日、ICチップを活用したオンラインでの本人確認サービスにおいて連携し、日立の「eKYC支援サービス」を機能拡張すると発表した。日立では、iPadを端末として用いる本人確認書類のICチップ読み取りサービスを同日より金融機関向けに提供開始する。

 現在、金融機関などでは、本人確認手続きを電子的に行う仕組み「eKYC」の導入が進んでおり、その際には、顔写真付きの本人確認書類と利用者の顔写真を撮影・送信し、両者を照合する確認手法「ホ」方式が広く利用されている。しかし、この手法では本人確認書類の偽造による「なりすまし」のリスクが伴うため、2027年4月以降は、法改正により、本人確認時に本人確認書類のICチップを読み取って確認する「ヘ」方式や「ワ」方式が義務付けられるとのこと。

 一方で、多くの金融機関では、本人確認手続きにおいて、利用者がオンラインでスマートフォンにて行うほか、店舗設置端末としてはiPadを用いた手法にシフトすることで非対面取引を推進してきた。ところが、iPadにはICチップを読み取る機能が搭載されておらず、法改正後はeKYCを実施できなくなってしまうという。

 そこで日立は今回、サイバートラストの「iTrust本人確認サービス eKYCライブラリ」を用いて既存の「eKYC支援サービス」を機能拡張。キヤノンマーケティングジャパン株式会社(キヤノンMJ)のBluetooth接続に対応した外付けカードリーダー「個人認証カードリーダー ID-MY2」と連携することで、法改正に対応したiPadによる本人確認を実現した。

 カードリーダーで本人確認書類のICチップ情報を読み取り、本人確認の真正性を確保することにより、従来の「ホ方式」に比べて、偽造や「なりすまし」のリスクを低減可能。また現在、iPadを用いて「ホ方式」を利用している金融機関でも、既存資産であるiPadを活用して「へ方式」や「ワ方式」を実施できるため、コスト低減と法改正への対応を両立するとしている。

 なお、「eKYC支援サービス」は、安全かつ利便性の高い本人確認処理を実現するクラウドサービスで、すでにスマートフォンにおいては本人確認書類のICチップ確認に対応しているとのことだ。

 また日立とサイバートラストは、株式会社三菱UFJ銀行での導入が決定しており、9月16日より店舗での運用を開始することもあわせて発表した。同行では2021年から「eKYC支援サービス」によるオンラインでの本人確認を開始しており、今回からは店舗においても、設置端末であるiPadを活用した、非対面での本人確認業務の運用を開始する。

三菱UFJ銀行での利用イメージ