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TOPPANデジタル、包装材に影響されず安定的に読み取れるインデックスICタグを開発、医療医薬業界向けに提供

 TOPPANデジタル株式会社は8日、金属素材のパッケージが混在していても対応可能なインデックスICタグを開発したと発表した。主に病院における医療製品のSPD管理を目的に、11月に販売開始する。SPDは、Supply(供給)、Processing(加工)、Distribution(流通)の頭文字を取った略称で、「院内物流管理システム」またはその業務そのものを指す。

 開発したインデックスICタグは、タグを一括で読み取れるUHF帯タイプで、通信距離に影響を与えやすい異素材のパッケージが密集している状態でも、安定的に数メートル単位の長距離通信ができる。ラベルの一部を貼り付け、先端部分を突出させて使用する。医療製品の入出庫・棚卸業務などをスムーズに行い、医療医薬業界のDXに貢献する。

 多くの医療製品や薬品を扱う医療医薬業界では、医療従事者は業務の正確性が求められる一方で、通常業務に加えて医療品の発注や棚卸し作業もする必要があり、その高い業務負荷による発注漏れや使用期限切れなどの発生が懸念されている。また、あらゆる業界において人手不足が深刻となる中、限られた人数であっても正確な物流管理を行うことのできる効率化の施策が求められている。

 そこで近年、RFID技術による医療製品管理の業務効率化が注目され、病院内のSPD管理に活用され始めているが、プラスチック・紙・アルミなどさまざまな素材のパッケージが密集して保管されている状態では、十分に読み取りができないケースが多く見られたという。特に、金属は電波を遮断し、他のパッケージの読み取りを妨害するという課題があった。

 TOPPANデジタルは、これまで培ってきた独自のアンテナ形状技術により、ICタグアンテナと読み取りアンテナの位置関係が正対していない状態でも電波が回り込める汎用広指向性モデルを製品化してきた。その技術を応用最適化し、アンテナ設計を工夫することで、非金属・金属を問わず、あらゆる素材のパッケージにも展開可能なインデックスICタグを開発した。パッケージが密集し、ICタグが積層状態になった状態でも読み取り性能が安定し、医療医薬業界における物流管理の効率化に貢献する。

 パッケージ表面の印字スペースを十分確保できる最適なサイズに設計(アンテナ寸法:14.5×70mm、ラベル寸法:20×76mm)。また、現場での人の手による貼付作業を想定し、ICタグの片側部分の糊(のり)をなくすことで、離型紙から外した後、そのまま対象物に貼り付けることが可能となった。これまで提供していたインデックスICタグは、裏面に全面糊があり、ミシン目から折り曲げてはがす必要があったが、ユーザビリティを考慮した設計により、貼付作業がより簡単になった。

 製品の価格は、1枚20円から(ロット100万枚一括手配時/印字・データ書き込みを含まず)。

 TOPPANデジタルは、病院や医療製品の物流管理業務を行う企業など、医療医薬分野の企業を中心に本製品を提供し、2026年度に関連受注を含め約20億円の売り上げを目指す。また今後は、医療医薬分野だけでなく製造工場内での消耗品資材管理などへの拡大も進め、さまざまな業界のDXや業務効率化を促進していくとしている。

ICタグラベル外観
読み取りイメージ