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富士通と1FINITY、次世代ネットワークOSを手がける米Arrcusとパートナーシップを締結
2025年9月5日 11:45
富士通株式会社と富士通のネットワーク事業を担う1FINITY株式会社は3日、ホワイトボックスのスイッチ/ルーターや仮想サーバーに導入して使うネットワークOS「ArcOS」を中心としたソリューションを展開する米Arrcusと、パートナーシップ契約を締結した。
ArcOSは、データセンター内のクラスターからエッジ、複数のクラウドサービスを組み合わせて利用するマルチクラウド環境まで、すべて同一のネットワークOSで動作し、導入期間の短縮や一元的な運用管理を可能にする。専用ハードウェアではなく、ホワイトボックスと呼ばれる汎用性の高いハードウェアとソフトウェアを個別に選択しながら、組み合わせて動作させることができ、最適なスペックを搭載したホワイトボックスを配置できる。
協業では、1FINITYとArrcusが戦略的パートナーシップを結び、富士通やパートナーを通じて国内企業に向けてArrcusの製品を販売する。また、富士通と1FINITYが日本国内での独占販売権を持つ。Arrcusはこれまでも国内代理店を通じて製品を販売してきたが、今後の販売形態については各社と検討していくとしている。
Arrcus会長兼CEOのShekar Ayyar氏は、AIのワークロードはエッジからデータセンターまでますます分散化し、ロスレス接続にはより優れたネットワークが必要だと説明。Arrcusの製品は、最先端の半導体チップ、光学モジュール、ホワイトボックス機器を活用し、これらをシームレスに連携するとした。
LLMの学習を例にすれば、クラウドやプロセッサー、GPU、NIC、光学モジュールといった各リソースを、ArcOSはすべて抽象化して接続でき、オフロードによるGPU利用率の向上や、従来のネットワークと比較して40%以上のコスト削減が可能になるとした。
富士通の執行役員専務 ネットワーク&データセンターBG長であり、1FINITYの代表取締役CEOを務める森林正彰氏は、AIの進化により、AIが生み出すトラフィックの割合も増加しており、今後はますますネットワークの重要度も高まることから、Arrcusの製品は非常に重要だと考えたと説明。ArcOSは、次世代ネットワークを実現するネットワークOSで、最適なスペックのシリコンを適材適所に配置できると製品のメリットを語った。
パートナーシップにより、富士通はAI、コンピューティング、ネットワークを組み合わせて、差別化されたトータルソリューションを提供。1FINITYは光伝送装置や無線基地局装置の既存ビジネスに、Arrcusを加えることで事業の幅が広がるとした。
パートナーシップ契約では、1FINITYがArrcusのトータルソリューションを提供するビジネスパートナーとなり、ネットワーク事業者やエンタープライズ企業、データセンター事業者に対し、共同でGTM(Go-to-Market)計画を立案しながら、日本を中心にグローバルにビジネスを展開していくと説明。また、富士通グループに限定することなく、グローバル規模でビジネスパートナーの拡充を進め、パートナー各社が提供するマネージドサービスなどの連携を通じて、ネットワーク設計から保守・運用まで包括的なトータルソリューションを構築し、顧客にとって最適な価値を提供していくとした。