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KDDI、大阪堺データセンターを2026年1月稼働開始

法人へのGPU提供のほか、Googleとの協業によるAIサービスにも活用

 KDDI株式会社は28日、NVIDIA GB200 NVL72を始めとする最新世代AIサーバーを搭載した「大阪堺データセンター」を、2026年1月下旬に稼働開始すると発表した。

 大阪堺データセンターは、KDDIが2025年4月に取得したシャープ堺工場跡地において、大規模な電力・冷却設備を再利用し、短期間でのデータセンター構築を可能にした。

 建物規模は地上4階、延べ床面積は約5万7000㎡。環境配慮では再生可能エネルギー由来の電力を100%利用。工場の跡地を有効活用し、最新GPUの性能を最大限に引き出して安定的に稼働させるための電力供給や水冷技術を実現する。

「大阪堺データセンター」のイメージ

 従来の空冷方式に加えて水冷方式の一種である直接液体冷却を導入し、NVIDIA GB200 NVL72をはじめとする計算能力が高いAIサーバーを稼働させる。また、KDDI Telehouse渋谷データセンターでの検証で確立した水冷方式に特化した設備設計・運用に関するガイドラインにより、安定した高度な計算能力を提供する。

 日本国内で運用するAIデータセンターとして、ソブリン性を確保する。これにより、監視カメラの映像や企業の秘匿情報などの機密性の高いデータも安心して保管し、学習・推論に活用できる。

 KDDIの広帯域インターネットと全国のデータセンター、さらにこれらとシームレスに接続可能な高品質なモバイルネットワークを一体的に運用することで、多様なデータを本AIデータセンターに集約し、高度な学習・推論を可能にする。

 KDDIは今後、AIの学習や推論に最適化された多様なAIサーバーを順次稼働させ、最先端のAIサービスを提供していく予定。また、大阪堺データセンターは法人の顧客にGPUを提供するほか、Googleの高性能な生成AIモデル「Gemini」のオンプレミスサービスなどパートナーとの協業を通じたAIサービス開発・提供に活用するとしている。

 また、KDDIは28日、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社と、AIサービスの提供を目的とした戦略的協業契約を27日に締結したことを発表した。

 協業により、KDDIはGoogleの高性能な生成AIモデル「Gemini」や、AIアシスタントツール「NotebookLM」などの最先端AIを活用し、コンテンツプロバイダーの権利を保護しながら顧客が信頼性の高い情報を取得できるサービスを2026年春に提供開始する。倫理的・法的かつ適切にAIを利用する「責任あるAI」を推進し、コンテンツプロバイダーおよび顧客が安心・安全にAIを利用可能な環境を提供するとしている。

 サービスでは、コンテンツプロバイダーからの許諾を得て提供される、信頼性の高い情報をAIが読み込み、顧客一人ひとりの興味関心に合わせて最適に情報をまとめる。これにより、顧客は確かな情報源から知りたい情報を音声や文章で効率よく収集できるとしている。

 現時点では、株式会社ユーザベース(NewsPicks Select)、株式会社ナターシャ(ナタリー)、株式会社カカクコム(価格.com)、株式会社晋遊舎(LDK)、株式会社レンガ(マンションノート)、コネヒト株式会社(mamari)の各社が参画予定で、サービス提供に向け、引き続きパートナーシップを拡大していく。