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世界を止めたAWS障害 技術的問題の裏に「組織的知識の喪失」
2025年10月27日 11:32
世界最大のクラウド事業者Amazon Web Services(AWS)で2025年10月20日、大規模な障害が発生した。引き金はDNSの不具合で、これが他のシステムに次々と影響して大規模な障害に拡大した。一方で専門家が指摘するのは別の問題「組織的知識の喪失」だ。長年の経験で蓄積された暗黙知を持つ人材の流出が障害対応を遅らせ、システムを脆弱にしている可能性があるという。
AI、航空、金融など多くの生活やビジネスが使用不能に
AWSは米太平洋時間の10月20日3時53分(日本時間20日19時53分)、「US-EAST-1リージョンにおける複数のAWSサービスでエラー率上昇と遅延増を調査している」と公式ステータスページで発表した。最終報告によると、最初の障害が発生したのは19日23時49分で、約4時間前であることが分かっている。
US-EAST-1は、首都ワシントンDCに近いバージニア州北部に位置し、世界に30以上あるリージョンの中でも最古かつ最大のものだ。世界中の企業、政府、個人にコンピューティングパワーとデータストレージを提供しているAWSの障害は、インターネット全体に重大な影響を与えうる。
そして、障害の影響は急速に拡大した。障害監視サイトのDowndetectorには世界中から障害報告が寄せられ、ピーク時に5万件を超える報告が殺到したと報じられている。
CNNなどのメディアによると、Amazon自身のサービスはもちろん、AIアシスタントの「Perplexity AI」、金融の「Venmo」や「Robinhood」、航空の「United Airlines」、また「Snapchat」やオンラインゲームの「Fortnite」「Pokémon GO」、デートアプリの「Hinge」など数多くのサービスが使用不能状態に陥った。
さらに障害は大西洋を越え、Lloyds、Halifax、Bank of Scotlandなど英国の大手銀行の業務時間中も直撃した。歳入関税庁(HMRC)など英国政府の一部サイトもアクセス不能になったとNBC Newsは伝えている。