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米ラッカス、Wi-Fiを利用して高品質なIP通話を実現する新技術

各種Smart Wi-Fi製品に標準搭載

 米Ruckus Wireless(以下、ラッカス)は9日、Wi-Fiを利用したIPベースの高品質通話を実現する「Smart Wi-Fi技術」を発表した。ラッカスの各種Smart Wi-Fi製品に標準搭載され、Wi-Fiにとっては過酷な環境下でも、高品質な音声通話を実現するという。

 新技術は、Wi-Fi Callingアプリケーションの信頼性と品質を大きく改善するもの。COO
のダン・ラビノヴィッツ氏は「Wi-Fi Calling自体は新しいものではないが、Wi-Fiでキャリアクラスの音声サービスを提供されたことはない」と語る。

 具体的には、Wi-Fi Callingにおいて、ローミングとサービス品質(QoS)に不可欠な各種要件に対応。高品質なWi-Fi Callingを実現するために設計されたネットワークによる詳細なネットワークパラメータが必要となる、リアルタイムかつ双方向の音声通話をサポートする。新しい技術には「ヒューリスティックによる自動パケットフロー」「容量ベースのクライアント・アクセスコントロール」「方向付けローミング」「Wi-Fiマルチメディアのアドミッションコントロール」などが含まれる。

 遅延に敏感な音声トラフィックの処理において重要な、最適なローミングとQoSなどの革新的な技術を活用。スマートフォンによりIPヘッダ内に設定されるタイプ・オブ・サービス(ToS)ビットや、通話が暗号化されているかどうかに関わらず、フロー内パケットのサイズや頻度を常時観察する「自動パケットフロー・ヒューリスティックス」を利用することで、Wi-Fi Callingトラフィックを優先的に扱う。

 また、多くの機器が特定のアクセスポイントへの接続を試みると、すでに接続済みのクライアント機器の通信品質が低下する可能性がある。アクセスポイントに接続済みのユーザー通信品質を確保するため、「Ruckus ZoneFlex アクセスポイント」には、新しいクライアントからの接続要請を拒否する「容量ベースのクライアント・アクセスコントロール・アルゴリズム」を搭載。これにより、高負荷時でもユーザーの接続品質を損なわずにWi-Fi Callingを提供できるという。

 さらにIEEE 802.11vに準拠した「方向付けローミング」で、より高いユーザー接続品質を提供できるアクセスポイントへ誘導し、無線LANネットワーク全体の接続品質を高く保つことが可能。ユーザーが事前に定義した信号強度(RSSI)やスループットしきい値を下回ると、「Ruckus ZoneFlex アクセスポイント」は他に選択可能なアクセスポイントのリストを自動的に提供し、より近くのアクセスポイントに接続するよう要請する。これにより、その時点で最適な接続先アクセスポイントでないにもかかわらず、そのアクセスポイントに接続してしまう「スティッキー・クライアント」問題を解決できるという。

 加えて、「Wi-Fiマルチメディアのアドミッションコントロール」により、帯域幅の過剰収容を防ぎ、リアルタイムの音声やビデオサービスを提供するWi-Fiネットワークのパフォーマンスを改善。クライアントは「Ruckus ZoneFlexアクセスポイント」に接続を求める際に、そのアクセスポイントに対して一定の帯域幅を確保するように要求する。各アクセスポイントはクライアントが接続する前にネットワーク負荷とチャネル接続状況を考慮に入れて帯域管理を実施する。

 キャリアクラスのWi-Fi Callingを実現するというこれらの機能は、既存・今後発売される新製品のファームウェアに順次搭載される。対象製品は「Ruckus ZoneDirector Smart WLAN controllers」、「Ruckus SmartCell Gateway (SCG)」、「virtual SmartCell Gateway (vSCG)」、「ZoneFlex Smart Wi-Fi access points」。無償で提供される。

川島 弘之