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日本HP、20倍の信頼性を実現したサーバー「HP Integrity Superdome X」

Xeon搭載のミッションクリティカル用途向け製品

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は、Xeonプロセッサを搭載したミッションクリティカル用途向けサーバー「HP Integrity Superdome X」を発表した。インテルのXeon E7 v2シリーズを、最大で16CPU搭載することが可能。240コア、12TBメモリのスケーラビリティを実現する。

 商用のトランザクション処理においては4倍の性能を発揮。HP独自のnParsハード・パーティショニング・テクノロジーにより、ソフトウェアパーティションの20倍の信頼性を実現するとともに、一般的なx86サーバーに比べて、ダウンタイムを60%削減できるという。また、現行の8ソケットのx86サーバーである「HP DL980 G7」に比べて、最大9倍のパフォーマンスを実現。競合するUNIX環境と比べて、TCOを32%削減できるとした。

HP Integrity Superdome Xの特徴
HP Integrity Superdome Xの外観

 日本HP、執行役員 エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長の手島主税氏は、「本社からみても、日本のミッションクリティカル市場を重視しており、日本からのフィードバックを得て開発したものである。x86サーバーとして最高レベルの信頼性と可用性を実装し、ミッションクリティカル環境の新しいワークロードをリアルタイムでサポートすることができる。先行ユーザーでの検証や競合製品とのベンチマーク比較でも、高い性能を実現しており、自信を持って投入できる製品である」とした。

 また、米HP エンタープライズサーバービジネス担当のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、リック・ルイス氏は、「業界標準のアーキテクチャにより、画期的なパフォーマンスと可用性を実現した」と述べた。

日本HP、執行役員 エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長の手島主税氏
米HP エンタープライズサーバービジネス担当のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、リック・ルイス氏
信頼性とオープン性を共存させたという

 独自のチップセット「XNC2」によって、ブレード間を超高速で通信できることから、CPU間処理のオーバーヘッドを削減。「大規模データ分析の性能指標であるGraph500においては、他社サーバーとの比較で、約3分の1のコア数で同等の性能を実現した。コアあたり性能は約5倍となっている。HP ITのインメモリデータベースの導入では、2時間以上必要だった処理時間が88秒に削減できた」(日本HP HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 エンタープライズサーバー製品 ビジネス開発部 部長の中井大士氏)という。

 また、PCIe Live Errorリカバリーにより、PCIカードのエラーを自動的に修復。Analysis Engineでは、エラーの詳細ログを取得して、考えられる障害の原因を自動的に特定し、障害に対する対応アクションを提示するなど、数々の信頼性機能を搭載しているという。

 「ハードウェアベンダーやOSベンダーとのワールドワイドレベルでの共同開発、コミュニティとのコラボレーションにより、オープン性を実現するとともに、高可用性の実現や信頼性機能の実装、拡張性への対応、仮想化機能の強化などを図ることができた」(中井部長)としている。

セルブレード
自社チップセットによる価値

 HP Integrity Superdome Xの最小構成価格は、2589万円(税込み)から。

 一方、協業関係にあるNECのITプラットフォーム事業部 事業部長、西村知泰氏は、「HPとNECは、1995年2月からUNIXサーバーにおいて協業。20年間にわたり、3万台を超えるHP-UXサーバーを提供してきた。2013年7月には、HP-UXサーバーの開発において協業を拡大するとともに、エンタープライズ向けx86サーバーの共同開発を発表し、提携内容を拡大してきた。NECでは、長年にわたるサーバー開発の技術、日本のユーザーから得てきた厳しい品質に対する知見を開発段階から注入し、業界最高レベルの拡張性を持ったXeonプロセッサ搭載サーバーを開発した。日本のユーザーに最適化した形で製品化し、2014年第4四半期に出荷する予定である。ビッグデータ領域での活用、大規模システムの統合仮想化、科学技術計算領域において、新たな価値創造に貢献できる」と語った。

NECのITプラットフォーム事業部 事業部長、西村知泰氏
エンタープライズサーバーでの協業内容

ミッションクリティカル市場への投資は継続

 さらに、会見では、同社のミッションクリティカル事業に対する基本的な姿勢についても言及した。

 手島氏は、「HPは、ガレージで誕生してから75周年を迎えた。サーバー事業においても節目の年を迎えており、ProLiantは今年25周年を迎え、HP-UXは昨年30周年を迎えた。ノンストップコンピュータも40周年を迎えた。今後は、ITに求められる新たな使命を追求し、仮想化、クラウド、ウェブスケールサービスなど、可用化するワークロードに注目しており、ワークロードに最適化したコンピュート環境を提供していくことになる。それに向けて、R&Dに多大な投資を行い、新たな時代のイノベーションに力を注いでいく。今回発表した製品は、ミッションクリティカルのワークロードに向けた新製品となり、新たなミッションクリティカルプラットフォームの誕生になる」と位置づけた。

 また、「ミッションクリティカルの市場はこれからも拡大するとみている。OLTPなどを中心とした従来のミッションクリティカルはなくなることはなく、顧客が投資した資産を守ることにも、HPは力を注いでいく。ここは、HP-UXやノンストップを中心にした提案にあり、企業の持続性を支えるための投資を行っていく」と、こうした分野への姿勢に言及。

 「だが、その一方で、企業の新たな成長を支えるミッションクリティカルが今後成長していくと考えている。これらは、クラウド、セキュリティ、モビリティ、ビッグデータという4大メガトレンドにのっとったものであり、いかに多様なデータをリアルタイムで活用していくかが重要な点となる。大量のデータを処理する異次元ともいえる性能が求められ、圧倒的な信頼性が求められている。そして、多様化するワークロードに対応するためには、柔軟なオープン性が重視される」などとした。

 HPのルイス氏は、「当社は、コンピュートソリューションを提供していくリーダーである。そのために幅広い製品を提供している。ミッションクリティカルは、世界の経済を支えているものであり、非常に重要である。1分間のシステム停止は、平均的に7900ドルの損失を招く」など、その存在価値に触れる。

 また「HPは、ミッションクリティカル市場に引き続き投資をしていく。3年前にProject Odysseyを発表し、そこで、既存のミッションクリティカル環境における持続的成長、x86環境に移行させた新たなミッションクリティカル環境における変革の進歩という2つの戦略を掲げた。ここではDragon Hawkとして大胆な戦略を打ち出した。これが、今回、HP Integrity Superdome Xとして発表したものになる。独自のチップセットの開発に時間がかかったこと、さらに1年半以上に渡る検証を行ったために、Project Odysseyの発表から3年間という期間がかかった」と述べた。

 なお、Itaniumの搭載については、「Project Odysseyでは、ミッションクリティカル分野への投資を続けており、HPとIntelとの間では今後のロードマップもある。オープン性や信頼性などについても強化を図っていくことになる」(ルイス氏)と述べるにとどまった。

大河原 克行