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東工大スパコン「TSUBAME-KFC」が省エネ性能ランキングで2冠!
オイル冷却を採用した次世代試作機
(2013/11/21 14:12)
東工大のスーパーコンピュータ(スパコン)「TSUBAMEシリーズ」が省エネ性能ランキングで2冠を達成した。
東工大学術国際情報センター(GSIC)がNECや米NVIDIAなどの協力を受け、2013年10月に稼動開始した「TSUBAME-KFC」が、The Green 500 List(省エネ)で日本のスパコンとして初めて世界1位に。同時にThe Green Graph 500 List(省エネのビッグデータ処理)においても1位を獲得。見事2冠に輝いた。
TSUBAME-KFCは、TSUBAME 2.0の後継となるTSUBAME 3.0、およびそれ以降のためのテストヘッドシステムとして、GSICが推進する文科省概算要求「スパコン・クラウド情報基盤におけるウルトラグリーン化技術」プロジェクトによって設計・開発されたもの。スパコンの消費電力とそれにかかる冷却電力双方の削減を目標とし、計算ノードを循環する油性冷却溶媒液の中に計算機システムを浸して冷却する仕組みを採用している。
TSUBAME-KFCは「TSUBAME Kepler Fluid Cooling」の略で、計算ノードを液体に浸けて冷却するこの特徴から名付けられた。40台の計算ノードとそれらを接続するFDR InfiniBandネットワークで構成され、各計算ノードは1UサイズのサーバーにXeon E5-2620 v2×2基、NVIDIA Tesla K20X GPU×4基を搭載した高密度設計。この40ノードが1つの「油浸ラック」に収容されている。
システム全体の理論ピーク演算性能は217テラフロップス(倍精度)。1位となった省エネ性を示すGreen 500(2013年11月版)では、1Wあたり4,503.17メガフロップスを記録し、2位以下を大きく引き離した。また、ビッグデータ処理の省エネルギー性を競うために今年から始まったGreen Graph 500においては、前回(2013年5月)首位となったIBMの「Blue Gene/Q」を抑えてのトップだった。
なお、今年9月にアップグレードされたTSUBAME 2.5も1Wあたり3,068.71メガフロップスを記録し、Green 500で世界6位に。再び世界トップクラスの電力効率であることが認定された。性能を競うTOP 500でも世界11位に返り咲き、国内では「京」に次ぐ第2位の座についたとしている。
今回の成果を踏まえ、12/10(火)13時から「『スーパーコンピュータTSUBAMEの進化と未来』―TSUBAMEがどう進化し、どのように使われるのか―」と題した記念シンポジウムが開催される。TSUBAME2.5のアップグレードと3.0に向けた研究開発から、超大規模アプリケーションの応用、産業界での利用に関してまで幅広い講演が行われる予定。