ニュース

NEC、2013年度上期決算は減収減益~スマホ撤退の携帯電話端末事業はミニマムオペレーションに

NEC 代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏

 日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2013年度第2四半期累計期間(2013年4月~9月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比4.5%減の1兆3831億円、営業利益は前年同期比99.2%減の4億円、経常損益は前年同期から444億円減の145億円の赤字、当期純損益は341億円減の262億円の赤字となった。

 NEC 代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏は、「売上高は、社内計画よりも300億円程度上ブレしたものの、前年同期比では4.5%の減収となった。パブリック事業とエンタープライズ事業において想定を上回る受注があり増収となった一方で、スマートフォンから撤退した携帯電話事業や電子部品事業の非連結化の影響で、その他の事業が大きく減少した。また、前年同期に大型案件があったシステムプラットフォーム事業やテレコムキャリア事業も減収となった。なお、非連結化の影響を除くと約1%の減収で、前年並みの実績になる」と説明した。

 また、「営業利益については、4億円の黒字を確保したが、携帯電話端末事業の赤字拡大に加え、前年同期に液晶関連特許売却があった影響や、システムプラットフォーム事業およびテレコムキャリア事業での大型案件の減少によって、前年からは470億円の減益となった」としている。

上期概況のサマリー
上期実績のサマリー

エンタープライズ事業は増収減益

セグメント別の上期実績

 セグメント別業績は、パブリック事業の売上高は前年同期比9.5%増の3033億円、営業利益は1億円増の145億円となった。「官公向け、公共向けが堅調に推移したことなどにより、前年から増収となった。営業利益は、売り上げの増加があったものの、事業拡大に向けた体制強など、先行投資の増加や不採算案件の発生によって、1億円の改善にとどまった」という。

 エンタープライズ事業の売上高は前年同期比9.5%増の1301億円、営業利益は12億円減の7億円。「流通・サービス業向けビジネスが堅調に推移したことで売上高は増収になったが、流通・物流インフラ関連の投資増やプロジェクトミックスの悪化などにより営業利益は12億円の減益となった」としている。

パブリック事業の業績
エンタープライズ事業の業績

 テレコムキャリア事業の売上高は2.5%減の3340億円、営業利益は115億円減の194億円となった。「海外において通信運用管理ソリューション(TOMS)を中心に増収を達成した一方で、前年同期に好調だった国内事業が減少したことにより、86億円の減収となった」と述べた。営業利益は、売り上げの減少に加え、次世代ネットワーク技術のSDNやTOMS関連の先行投資費用が増加したことで減益となっている。

 システムプラットフォーム事業の売上高は4.5%減の3507億円、営業利益は99億円減の18億円。「前年同期にあった大型案件の影響により、企業ネットワークやソフトウェアが減少し、売上高は164億円の減収となった。営業利益は、売り上げの減少に加え、NECフィールディングの減益などによって悪化した」という。

テレコムキャリア事業の業績
システムプラットフォーム事業の業績

 その他事業については、携帯電話の出荷台数が減少したことや、NECモバイリングおよび電子部品事業を非連結化した影響などにより、売上高は22.6%減の2649億円となった。営業損益は、売り上げの減少に加え、前年同期にあった液晶ディスプレイ関連の特許売却の影響などにより、前年同期から292億円悪化し、118億円の損失となっている。

その他事業の業績

通期見通しは据え置き

 通期見通しは据え置きとし、売上高は前年比2.3%減の3000億円、営業利益は同12.8%減の1000億円、経常利益は同23.9%減の700億円、当期純利益は同34.3%減の200億円を計画している。セグメント別の通期見通しは、売上高のみ内訳を修正しており、パブリック事業は前年比9.5%増の7450億円、エンタープライズ事業は前年比5.3%増の2650億円、テレコムキャリア事業は前年比0.8%増の7150億円、システムプラットフォーム事業は前年比0.6%減の7400億円、その他事業は前年比22.0%減の5350億円を見込む。

業績予想のサマリー
セグメント別業績予想のサマリー

 遠藤氏は、通期計画達成に向けた下期の事業展開に関して、「現在、国内のITサービスおよびインフラ投資が好調に推移していることに加え、Windows XPの更新需要が顕在化している。これらの想定を上回る需要増に対応することで、システムプラットフォーム事業における前年大型案件の影響の解消に注力する。海外では、SDNの展開が進んでおり、導入に積極的な10社以上の先進グローバルキャリアと商用化に向けて活動中だ」と、好調に推移している領域での事業機会を確実に獲得していく方針を示した。

 また、スマートフォンからの撤退を発表した携帯電話端末事業の今後の取り組みについては、遠藤氏は、「13年度中に、主要な課題を解消し、ミニマムオペレーションに切り替える予定だ。具体的には、10月時点でNECモバイリングの人員の6割超のリソースシフトを実施しており、今後150人体制にもっていく予定。また、従来型携帯電話機の2013-2014冬春モデルを11月下旬に発売する。埼玉日本電気については、社会ソリューション事業での活用に向けて準備を進めている。そして、この事業構造改善費用として、約110億円の特別損失を上期に計上した」と説明した。

唐沢 正和