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NEC、2013年度第3四半期決算は当期純利益が大幅改善~累計損益は期初予想の水準に回復
(2014/1/31 00:00)
日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2013年度第3四半期累計期間(2013年4月~12月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比4.0%減の2兆835億円、営業利益は同66.9%減の237億円、経常利益は同89.4%減の55億円、当期純損益は前年同期から265億円悪化し、151億円の赤字となった。
また、第3四半期(2013年10月~12月)の業績は、売上高は前年同期比3.0%減の7004億円、営業利益は同11%減の234億円、経常利益は同19%減の200億円、当期純利益は同219.8%増の111億円となった。
NEC 取締役執行役員兼CFOの川島勇氏は、「第3四半期の業績は、売上高は微減であったが、当期純利益は大きく改善した。計画比では、売上高が約100億円の上ブレ、営業利益も100億円超の上ブレとなった。これに伴い、当期純利益は約50億円の上ブレとなっている。期初計画と比べると、この3カ月間で上期での損益面の下ブレを改善し、期初推定通りの水準に戻すことができた」と説明している。
第3四半期のセグメント別業績は、パブリック事業の売上高は前年同期比9.9%増の1640億円、営業利益は87億円増の176億円となった。「官公庁向け、公共向けが引き続き堅調に推移し、売上高は増収となった。この売り上げ増に加えて、不採算案件が減り、採算性の高い案件が集まったことで、営業利益は大きく増加した」という。
エンタープライズ事業の売上高は前年同期比2.8%増の607億円、営業損益は4億円悪化し2億円の赤字となった。「流通・サービス業向けが堅調に推移したことで売上高は増収となった。一方で、流通・物流インフラ関連の投資費用の増加などによって、営業損益は4億円悪化した。計画比では想定通り」としている。
テレコムキャリア事業の売上高は前年同期比3.8%増の1727億円、営業利益は55億円減の124億円となった。「海外において通信運用管理ソリューション(TOMS)を中心にモバイルバックホールの売り上げが増加し、国内は前年同期並みを確保したことで、全体では増収を達成した。営業利益は、前年にあった知財関連の一過性の利益計上の影響などにより減益となった」という。
システムプラットフォーム事業の売上高は前年同期比11.0%増の1857億円、営業利益は38億円増の80億円。「売上高は、ビジネスPCやサーバーなどのIT需要が増加したことで2ケタの増収を達成した。計画比では、ビジネスPCなどで90億円弱の上ブレとなった。営業利益は、IT投資環境の改善にともなう採算性の向上などにより38億円の増益。計画比では、約50億円弱の上ブレとなった」と説明している。
その他事業の売上高は34.9%減の1173億円、営業利益は88億円減の8億円。「携帯電話の出荷台数が、前年同期の80万台から50万台へと減少。また、NECモバイリングおよび電子部品事業を非連結化した影響などにより減収となった。この売上高の減少により、営業利益は大きく悪化し8億円となったが、計画比では想定通り」としている。
携帯電話端末事業の現状と今後について、川島氏は、「昨年12月にNECカシオモバイルコミュニケーションズ(NCMC)の経営体制を変更した。カシオ計算機および日立が有するNCMCの全株式をNECが買い取るとともに、NCMCが有する埼玉日本電気の全株式をNECが買い取っている。今年2月には、NCMCの資本金を4億円に減額する予定だ。業績への影響としては、第3四半期の営業損益をブレイクイーブンまで回復させることができ、特別損失の計上もなかった。引き続き、下期の営業損益についてもブレイクイーブンを目指す」と述べた。
通期見通しは、据え置きとし、売上高は前年比2.3%減の3000億円、営業利益は同12.8%減の1000億円、経常利益は同23.9%減の700億円、当期純利益は同34.3%減の200億円を計画する。
川島氏は、「第4四半期は、通期見通しの営業利益1000億円を確実に達成させるべく全力を注いでいく。第4四半期の営業利益は763億円を見込んでおり、前年同期から334億円の増益を目指す。これに向けて、まず、昨年度大幅な赤字を計上したNCMCをブレイクイーブンにすることで、150億円の利益改善を実現する。さらに、第3四半期に増収に転じたテレコムキャリアでの増益や、IT投資環境が改善する中でのパブリック、エンタープライズ、システムプラットフォームでの増益、および不採算案件の減少などによって、この計画を達成させる」と意欲を見せた。
なお、NECでは同日、NECが約78%保有するNECビッグローブの株式を、日本産業パートナーズに譲渡することを発表した。今年3月末をめどに譲渡を完了し、4月より新体制での事業運営を開始する予定。
また、NECフィールディングの完全子会社化に向けて、公開買い付けを実施することも合わせて発表した。公開買い付け期間は1月31日から3月17日まで。公開買い付け価格は1580円。買い付け予定数は1793万9307株。買い付け代金は283億円。
川島氏は、「今後、NECフィールディングをNECグループのプラットフォーム関連サービス提供の中核会社と位置づけ、同社に関係機能を集約させる。完全子会社化の期待効果としては、少数株主損益の取り込みにより純利益で約20億円の増加が見込める。また、3カ年の費用削減効果として、クラウドサービス提供機能の集約や、保守部材の一元化による棚卸しの適正化、コールセンターなどの集約により、営業利益で約200億円の改善を図る」との考えを述べた。