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ゲットワークス、フィックスターズ、NTTPCの3社、水冷GPUサーバーの本稼働環境を共同で整備

 株式会社ゲットワークスは22日、株式会社フィックスターズ、株式会社NTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)と共同で、水冷GPUサーバーの稼働環境を整備するため、各社の知見を持ち寄り、ベンダーフリーでの本稼働環境を構築し、国内への普及促進へ貢献すると発表した。

 ゲットワークスでは、GPUの性能向上に伴って消費電力や発熱量は膨大なものとなっているが、こうしたGPUをこれまで一般的であった空冷で冷却することは困難で、液体で熱を吸収する「水冷」の冷却方式が必須となりつつあると説明。

 ところが、日本国内では未だ水冷GPUサーバーの本稼働実績が乏しく、その理由としては、サーバーベンダーごとに冷却仕様や対応しているCDU機器が異なることや、同一ベンダーにおいてもGPUごとにCDU機器の選定が必要、データセンターへ水を引き込むことへの忌避感や、既存設備の改修コストの増加、建屋内へ引き込める水量の限界、水冷環境を構築するノウハウが乏しいといった点が挙げられるという。

 こうした状況を受け、急増するGPUサーバーの導入・設置需要に対応できず、停滞する水冷環境導入に一石を投じるべく、各社の得意分野を集結し、今夏までに複数サーバーベンダーの水冷GPUサーバーの本稼働環境整備を目指すとしている。

 取り組みにおいて、ゲットワークスは、再エネを活用したコンテナデータセンターを2014年から展開し、2024年からはスーパーマイクロ製のクーリングタワーを国内初導入し、自社構築の水冷環境で水冷GPUサーバーを本稼働させているノウハウを提供。各ベンダーから持ち込まれる膨大な最新情報や、水冷対応データセンターの新設案件に内包する技術的課題に日々対応しており、これらの実績や知見、ならびに施工技術などを提供する。

 また、実証の場として、ゲットワークスのコンテナ型データセンター内に専用の検証コンテナを構築し、水冷環境における統合的な運用管理技術体系を確立させる。

 フィックスターズは、同社が保有する水冷GPUサーバーを実証実験用に提供するとともに、GPUを活用したソフトウェア高速化やパフォーマンスチューニングの豊富な実績を生かし、システム全体の性能評価および信頼性検証を担当する。また、AIワークロードにおけるボトルネックの特定と最適化、ならびに最新GPUアーキテクチャへの対応など、ソフトウェアの観点から本格導入に向けた技術支援を行う。これにより、高負荷なAI処理を安定かつ効率的に実行可能なインフラの実現に貢献する。

 NTTPCは、複数の大規模GPUクラスタの提供実績があり、その経験を踏まえたハードウェアエンジニアリングの観点から今回の検証に取り組む。CDUのスタートアップ時から立ち会い、機器のラックマウント、OSのインストールなどの初期構築をはじめ、サーバーの負荷テストによる水の温度上昇と冷却の観察、空冷と比べた消費電力と冷却効率の相関に関するデータ収集など、水冷サーバーならではの知見・ノウハウを蓄積していく予定。

 検証および本稼働場所は、ゲットワークスと株式会社GXテクノロジーが共同で運用する湯沢GXデータセンター内で行い、同施設内の豊富な水源や多くの検証機器を用い、その場で随時対応できる電気、水冷関係の技術者を常駐しながら課題解決に迅速に取り組む。

 この取り組みにおいて得たデータや知見は、今後設立予定のコンソーシアム内にて共有することを検討している。また、先日発表された「Blackwell Ultra B300」の仕様解析およびコンテナデータセンター、水冷設備の設計も完了しているため、世界に後れを取らない最新の水冷GPUサーバーの国内普及に向けて貢献するとしている。