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NTTファシリティーズ、生成AI時代の空調技術を検証する「DC Cooling Hub」を開設
2025年4月21日 11:12
NTTファシリティーズは15日、生成AI時代のデータセンター空調技術を結集させた検証施設「Products Engineering Hub for Data Center Cooling(略称:DC Cooling Hub)」の運用を、4月22日に開始すると発表した。
施設では、NTTファシリティーズが取り扱う多様な空調機器を実機展示するとともに、模擬負荷装置(空冷分420kW、液冷分360kW)を設置し、すべての空調機器を実際に運転可能な環境として、NTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)内に構築している。空調機器の性能検証や不具合発生時の原因究明、構築・保守技術者の育成、さらに2025年5月中旬以降は、データセンター事業者や施工事業者向けのショールームとしても活用する。
負荷のある状態で多様な空調機器を設置
NTTファシリティーズはデータセンターの設計会社だが、海外製データセンター用空調の専門商社としての顔も持つ。これまでもデモ機を見学する施設はあったが、設置スペースの制限により新たな機器の追加設置が難しい状況だった。さらに、負荷のある状態でAI基盤用空調機を設置することができず、見学できないことも課題だった。DC Cooling Hubは、これらの課題を解決し、トラブルシューティングについても負荷のある実環境に近い状態で行える施設となっている。
DC Cooling Hubは、地下のデータホール・空調機設置エリアと、屋上の熱源機器設置エリアで構成される。
空調機設置エリアには、NTTファシリティーズのパートナーであるSTULZ社(ドイツ)の各種空調機が並んでいる。「水冷下吹型空調機」「水冷壁吹型空調機」「水冷横吹型空調機」および、直接外気冷房を併用可能な「外気冷房併用型空調機」に加え、大容量CDUを設置。これは、敷地が小さいことの多い日本のデータセンター向けにSTULZ社とNTTファシリティーズが共同開発したものという。通常、大型のCDUは前面と背面など2方向にメンテナンスハッチがある。しかし、前面のみのメンテナンスのため壁面に高密度に並べることが可能となっている。
またデータホールには、コールドプレート型水冷サーバー向けにEnvicool社(中国)の「液冷用SUSプレファブ配管」を用いた二次配管や、小規模な生成AI用基板向けに設備機器、冷水配管、マニフォールド等のコンポーネントをパッケージ化した「スキッド型CDU」、高発熱のGPUを搭載した空冷サーバーを冷却する「リアドア型空調機」(いずれもSTULZ社)を設置している。
次世代ハイブリッドドライクーラーも設置
屋上の熱源機器設置エリアには、SMARDT社(カナダ)の最新型オイルフリーチラー「AFシリーズ」(写真左、2025年以降国内販売開始予定)や、Evapco社(米国)のハイブリッドドライクーラー「eco-ATWB-H」(写真右)を設置している。
ハイブリッドドライクーラーは、寒冷期はファンの運転のみで空調用冷水を冷却し、外気温が高い時期は散水して冷却するウェットモードに切り替えるもので、液冷空調用の主力商材として期待しているという。
また、熱源機器と各空調機を接続する一次配管にはGF Piping社(スイス)の断熱材付きポリエチレン配管(COOL-FIT)を、熱源機器周りの一次ポンプにはArmstrong Fluid Technology社(カナダ)のコンパクト縦型インラインポンプを設置している。このポンプは、水の流量をスマホのアプリで確認できるようになっている。
NTTファシリティーズ データセンターエンジニアリング事業本部 プロダクト部長の由佐卓也氏によれば、地球環境にやさしい新冷媒対応の空冷パッケージエアコンの設置・検証や地球環境にやさしい新冷媒対応チラーの検証など、「常に最先端のデータセンター用冷却システムを体験いただけるよう、今後も継続的な設備投資を行っていく」という。