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HPE ProLiantサーバーの最新世代、「セキュリティ、性能、AI管理で一歩先を行く」
2025年3月28日 06:15
日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下、HPE)は27日、2月に発表した同社のサーバー製品「HPE ProLiant Compute Gen12」に関する説明会を開催した。
説明会の冒頭で、HPE 執行役員 デジタルセールス・コンピュート事業統括本部長の加藤知子氏はProLiantの歴史を振り返り、「1993年の初代モデルは、PCの技術を初めてサーバー化したx86サーバーだった。その後もハードウェアRAIDや管理プロセッサーの標準搭載など、30年以上にわたって進化を続け、2012年には自動化サーバーのGen8、2017年には業界初のSilicon Root of Trustを採用したGen10、2022年にはクラウド型運用管理機能を備えたGen11を発表している」と説明。今回リリースしたGen12については、「複雑化するIT環境や多様化するニーズに対応したものだ」と述べた。
HPE デジタルセールス・コンピュート事業統括本部 コンピュート製品本部 本部長の林亜樹子氏は、「HPE ProLiant Compute Gen12には、一歩先を行くセキュリティ機能や、一歩先を行く性能と電力効率、そしてAI主導の運用管理機能が備わっている」として、それぞれの機能を説明した。
まずセキュリティについては、HPEが自社開発した管理チップの最新世代「HPE iLO 7」を搭載した。iLO 7について林氏は、「独立したセキュリティプロセッサーとして、暗号機、パスワード、セキュリティ構成、ファームウェアなどの保管庫となるSecure Enclaveを実装している。Secure Enclaveは、改ざんや攻撃からシステムを守る新たな防御として機能する」と説明する。
Secure Enclaveは、HPEが特許を取得した知的財産技術で、米国政府のセキュリティ標準規格であるFIPS140-3 Level 3認証の要件を満たしたものだ。また、量子コンピューターによる脅威やリスクから防御する仕組みも実装しているという。
性能と電力効率については、林氏がこれまでのサーバーと比較。「2017年に発売されたGen10サーバーと比較した場合、Gen12サーバーの性能は大幅に向上しており、7台のGen10サーバーを1台のGen12サーバーに集約することが可能だ。この集約により、電力コストを65%削減できる」と林氏。それ以前のGen8サーバーまでさかのぼると、サーバー集約率は26分の1まで高まり、「データセンターのスペースを大幅に削減できる」と林氏は語る。
インテル製プロセッサーを搭載したGen12の1ソケットおよび2ソケットのラックサーバーでは、直接液冷(DLC:Direct Liquid Cooling)技術もサポートする。林氏は、「300件以上の特許と50年以上の実績を持つこの強力な冷却技術によって、HPEのシステムは世界最速のスーパーコンピューターのトップ10のうち7台を占めるほどの実績をあげている。DLCは、次世代のAIシステムを冷却する上で最も効果的な方法だ」とアピールした。
運用管理については、前世代よりクラウドベースの管理ツールとなる「HPE Compute Ops Management(COM)」を提供している。このCOMが、今回AIによって進化した。
新たなCOMでは、「AI予測分析を活用し、エネルギーと二酸化炭素排出量を分析、将来のエネルギーコストと排出量を予測する」と林氏。将来の予測をグラフィカルに示し、レポートを作成することも可能で、「サステナビリティ目標やSDGsの達成に貢献できる」と林氏は述べている。
Gen12は9モデルで展開する。すでにNVIDIAのチップを搭載したHPE ProLiant Compute DL380aおよびDL384は昨年秋より販売中で、インテル製チップ搭載のDL320、DL340、DL360、DL380、ML350は3月25日に販売開始した。また、同じくインテルチップ搭載のHPE Synergy 480およびHPE ProLiant Compute DL580は、2025年夏に販売開始となる予定だ。