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AI Shift、企業向けAIエージェント構築プラットフォーム「AI Worker」を提供
日本オラクルと連携し「Oracle Autonomous Database」をDBに採用
2025年3月26日 11:35
日本オラクル株式会社と、株式会社サイバーエージェントの100%子会社である株式会社AI Shiftは25日、企業向けAIエージェントの構築に向けて協業することを発表した。AI Shiftは、企業専用AIエージェント構築プラットフォーム「AI Worker」に、日本オラクルの「Oracle Autonomous Database」を採用し、新たなソリューションとして提供開始する。同日には、「AI Worker」と「Oracle Autonomous Database」を連携した新ソリューションの概要について説明会が行われた。
生成AI技術の進化にともない、ユーザーが指示した業務を自律的に実行する「AIエージェント」への注目が集まっている。一方で、多くの企業は、AIエージェントの設計や既存システムとの連携などさまざまな課題に直面しているのが実情だ。そこで、AI Shiftでは多種多様なAIエージェントを1つのプラットフォームで柔軟に構築・検証・運用できる「AI Worker」を開発。今回、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上の「Oracle Autonomous Database」と連携した「AI Worker」を新たに提供開始することで、企業のデータ資産を最大限に活用できるAIエージェントの構築を支援していく。
AI Shift 代表取締役社長の米山結人氏は、「サイバーエージェントグループでは、日本一『生成AIを徹底活用する』会社を目指しており、現在、広告営業1000人以上にAIエージェントを展開している。その中で当社は、広告営業へのAIエージェントの構築・運用に携わってきた。また、AIエージェントの市場は、今後グローバルで急成長することが見込まれている。こうした背景のもと、当社ではサイバーエージェントで培ったノウハウを生かし、企業向けAIエージェント領域に参入。企業専用AIエージェント構築プラットフォーム『AI Worker』を開発し、企業に最適なAIエージェントの構築を一気通貫で支援するサービスを提供開始した。2030年度には、売上200億円以上を目指す」と述べた。
「AI Worker」では、企業の多様な業務ニーズに対応するため、業務の特性に合わせて、「ワークフロー型」と「自律型」の2種類のAIエージェントを用意している。ワークフロー型は、事前に設計した業務フローに沿って動作を行う。一方、自律型は、指示した業務目標に向けて、AIが自ら最適な実行プランを考えて行動するAIエージェントとなっている。プラットフォームの特徴としては、必要な機能を組み合わせるだけで、誰でも簡単にAIエージェントを構築できる直感的なインターフェイスを実装。また、営業支援やマーケティング分析、顧客対応などさまざまなAIエージェントを1つのプラットフォームで効率的に管理・運用することができる。さらに、AIエージェントの利用率や業務削減率などの効果測定ができるダッシュボードも搭載しており、継続的な改善に活用できる。
そして今回、日本オラクルと協業し、「AI Worker」と「Oracle Autonomous Database」の連携を実現した。日本オラクル 執行役員 事業戦略統括の首藤聡一郎氏は、AI Shiftとの協業に至った背景について、「現在、多くの企業は、AIの技術ばかりに目が行き、AIを活用したユースケースを模索している状況になっている。しかし、本来は経営・業務の視点から『解くべき課題』を見い出した上で、AIを活用することが重要だと考えている。そこで今回、『解くべき課題』を踏まえて、試行錯誤を繰り返しながら、AIによるビジネス効果を早期に享受してもらうことを目的に、AI Shiftと協業する」と説明。AI Shiftの強みとして、(1)AIを活用して業務改革を実施してきた豊富な経験がある、(2)「AI Worker」の開発を含めて、対応スピードが速い、(3)確かな技術力を有している--の3点を挙げた。
「Oracle Autonomous Database」と連携することで、「AI Worker」は、企業の重要データを安全かつ効率的に活用できる先進的な基盤を確立。Oracle Autonomous Databaseの高度なセキュリティ機能により、機密データを安全に処理できるほか、企業のセキュリティポリシーに対応した環境を提供する。また、企業の基幹システムとして豊富な実績をもつOracle Databaseとの連携が容易になり、ビジネスの中核データをスムーズに活用できる。さらに、Oracle Autonomous Databaseの高度な機能によって、非構造データの処理や他システムとの統合も柔軟に対応することが可能となる。
これらを組み合わせることで、企業固有の課題に対応した統合ソリューションを実現し、生産性の大幅な向上に貢献する。また、Oracle Autonomous Databaseが提供する「Autonomous Database Select AI」によって、自然言語による直感的なデータ検索・分析が可能となり、簡単にデータを活用できる。さらに、AIによりデータベースのチューニングやパフォーマンスを最適化し、運用負荷の軽減とコスト削減を実現する。
今後の展望について、AI Shiftの米山氏は、「生成AIをさらに活用するには、従来のシステム構造では、都度開発やライセンス形態(SaaS)による費用・管理コストが大きな課題となる。そのため、今後は低コストかつユースケースの拡張性を担保するプラットフォームが不可欠になると考えている。これに向けて、当社と日本オラクルは、両社の強みを生かし、統合UIの『AI Worker』と統合データベースの『Oracle Database』をあわせて提案していくことで、従来のシステム構造に比べてコストを抑えつつ、ユースケースの拡張性を担保するプラットフォームを実現していく」との考えを示した。