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米Oracle、AIエージェントの作成や管理ができる「AI Agent Studio」を発表

 米Oracleは20日(現地時間)、英国ロンドンで開催した同社イベント「Oracle CloudWorld, London」にて、AIエージェントの作成や管理ができるプラットフォーム「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」(以下、AI Agent Studio)を発表した。

Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications

 AI Agent Studioは、Oracle Fusion Cloud Applications Suiteの一部として提供する。通常のサブスクリプション料金のみで利用でき、追加コストは発生しない。

 米OracleでOracle AI担当グループバイスプレジデントを務めるミランダ・ナッシュ(Miranda Nash)氏によると、すでにFusion Applications内には50以上のAIエージェントが組み込まれているというが、「今回発表したAI Agent Studioにより、さまざまなエージェントを自社のニーズに合わせて作成し、実装できるようになる」という。

米OracleのOracle AI担当グループバイスプレジデント、ミランダ・ナッシュ氏

 AI Agent Studioは、Oracleが組み込み型のAIエージェントを作成する際に利用しているテクノロジーがベースとなっている。作成可能なエージェントの分野は、会計、人事、サプライチェーン、セールス、マーケティングなど多岐にわたる。

 事前構築済みのテンプレートライブラリも用意されており、テンプレートと自然言語によるプロンプトを駆使することで、さまざまなビジネスシーンに対応する独自のAIエージェントが作成できる。「複数のエージェントを組み合わせ、人と並行して作業するよう設定すれば、修理やメンテナンス、製品設定、顧客サービス、従業員のオンボーディングなど、より複雑なタスクにも対応できる」とナッシュ氏は述べている。

事前構築済みテンプレート

 AI Agent Studioは、Oracle Fusion Applicationsとネイティブ統合されているため、複雑な設定をすることなくFusion ApplicationsのAPIやナレッジストア、定義済みのツールに直接アクセスし、エンタープライズエージェントを迅速に構築できる。外部サービスとの連携も可能で、SlackやMicrosoft Teams、Gmailなどにも対応するほか、サードパーティーのエージェントを呼び出すことも可能だ。

Oracle Fusion Applicationsとのシームレスな統合
外部サービスおよびAPIとの連携

 またナッシュ氏は、「ナレッジストアとの組み合わせでAIエージェントはさらに強化される」と話す。ナレッジストアによって、企業内の非構造化コンテンツを使用し、そのコンテンツを中心にQ&A形式でのチャットエクスペリエンスが作成できるためだ。「Oracle 23AI Vector DBを活用することで、高速かつ信頼性の高いインデックス作成を実現している」とナッシュ氏は説明する。

ナレッジストアでAIエージェントを強化

 大規模言語モデルの選択は自由だ。Oracleでは、LlamaやCohereなど、Oracle Fusion Applications向けに最適化されたLLMを用意しているが、特定のユースケース向けに外部の業界向けLLMをプラグインすることも可能だ。

LLMを自由に選択

 人間の介入レベルはボタンひとつで調整できる。意思決定のフローにおいて、多くの段階で人を介入させることもできれば、完全に自動化するような設定も可能となっている。

 検証およびテストツールも用意しており、本番環境への実装前に、作成したエージェントのワークフローが機能しているか検証できる。同ツールにより、AIによるアウトプットの信頼性や再現性、セキュリティ、パフォーマンスなどが確認可能だ。

テストと検証も可能

 セキュリティに関しては、サービスの認証情報やアクセスが一元管理され、安全に使用できることをナッシュ氏は強調する。「最新のOracle Fusion Applicationsのセキュリティ構成やポリシー、アクセス制御を適用することで、セキュリティの設定を再構成することなく、AIエージェントが安全に構築できる」としている。

認証情報の一元化とアクセス管理

 AI Agent Studioの強みについてナッシュ氏は、「すでに企業全体で利用しているFusion Applicationsのデータに、LLMが同じセキュリティレベルでアクセスし、データ活用できることが強みだ。また、追加のコストがかからない点も大きい」と話す。「AI Agent Studioを活用することで、エージェントのワークフォースが適切に管理できる。それが効率性を高め、事業成果を最大化することにつながる」(ナッシュ氏)。

 AI Agent Studioは、同日より利用可能。日本語への対応は4月後半を予定している。