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米Oracle、AIエージェントの作成や管理ができる「AI Agent Studio」を発表
2025年3月21日 06:15
米Oracleは20日(現地時間)、英国ロンドンで開催した同社イベント「Oracle CloudWorld, London」にて、AIエージェントの作成や管理ができるプラットフォーム「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」(以下、AI Agent Studio)を発表した。
AI Agent Studioは、Oracle Fusion Cloud Applications Suiteの一部として提供する。通常のサブスクリプション料金のみで利用でき、追加コストは発生しない。
米OracleでOracle AI担当グループバイスプレジデントを務めるミランダ・ナッシュ(Miranda Nash)氏によると、すでにFusion Applications内には50以上のAIエージェントが組み込まれているというが、「今回発表したAI Agent Studioにより、さまざまなエージェントを自社のニーズに合わせて作成し、実装できるようになる」という。
AI Agent Studioは、Oracleが組み込み型のAIエージェントを作成する際に利用しているテクノロジーがベースとなっている。作成可能なエージェントの分野は、会計、人事、サプライチェーン、セールス、マーケティングなど多岐にわたる。
事前構築済みのテンプレートライブラリも用意されており、テンプレートと自然言語によるプロンプトを駆使することで、さまざまなビジネスシーンに対応する独自のAIエージェントが作成できる。「複数のエージェントを組み合わせ、人と並行して作業するよう設定すれば、修理やメンテナンス、製品設定、顧客サービス、従業員のオンボーディングなど、より複雑なタスクにも対応できる」とナッシュ氏は述べている。
AI Agent Studioは、Oracle Fusion Applicationsとネイティブ統合されているため、複雑な設定をすることなくFusion ApplicationsのAPIやナレッジストア、定義済みのツールに直接アクセスし、エンタープライズエージェントを迅速に構築できる。外部サービスとの連携も可能で、SlackやMicrosoft Teams、Gmailなどにも対応するほか、サードパーティーのエージェントを呼び出すことも可能だ。
またナッシュ氏は、「ナレッジストアとの組み合わせでAIエージェントはさらに強化される」と話す。ナレッジストアによって、企業内の非構造化コンテンツを使用し、そのコンテンツを中心にQ&A形式でのチャットエクスペリエンスが作成できるためだ。「Oracle 23AI Vector DBを活用することで、高速かつ信頼性の高いインデックス作成を実現している」とナッシュ氏は説明する。
大規模言語モデルの選択は自由だ。Oracleでは、LlamaやCohereなど、Oracle Fusion Applications向けに最適化されたLLMを用意しているが、特定のユースケース向けに外部の業界向けLLMをプラグインすることも可能だ。
人間の介入レベルはボタンひとつで調整できる。意思決定のフローにおいて、多くの段階で人を介入させることもできれば、完全に自動化するような設定も可能となっている。
検証およびテストツールも用意しており、本番環境への実装前に、作成したエージェントのワークフローが機能しているか検証できる。同ツールにより、AIによるアウトプットの信頼性や再現性、セキュリティ、パフォーマンスなどが確認可能だ。
セキュリティに関しては、サービスの認証情報やアクセスが一元管理され、安全に使用できることをナッシュ氏は強調する。「最新のOracle Fusion Applicationsのセキュリティ構成やポリシー、アクセス制御を適用することで、セキュリティの設定を再構成することなく、AIエージェントが安全に構築できる」としている。
AI Agent Studioの強みについてナッシュ氏は、「すでに企業全体で利用しているFusion Applicationsのデータに、LLMが同じセキュリティレベルでアクセスし、データ活用できることが強みだ。また、追加のコストがかからない点も大きい」と話す。「AI Agent Studioを活用することで、エージェントのワークフォースが適切に管理できる。それが効率性を高め、事業成果を最大化することにつながる」(ナッシュ氏)。
AI Agent Studioは、同日より利用可能。日本語への対応は4月後半を予定している。