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日本オラクル、AIエージェントによって業務プロセスの自動化を支援へ
「Oracle Fusion Cloud Applications」におけるAIエージェント機能を解説
2025年5月14日 06:00
日本オラクル株式会社は13日、SaaS型の業務アプリケーションスイート「Oracle Fusion Cloud Applications」におけるAIエージェント機能についての記者説明会を開催した。日本オラクル株式会社の中山耕一郎氏(理事 クラウド・アプリケーション統括 ソリューション戦略統括 インダストリーSE本部 本部長)が解説した。
「業務の支援でなく、プロセスの進化に取り組んでいる」
中山氏はOracleのAIについて、インフラからアプリケーションまでの各レイヤーで取り組んでいると説明。AIモデルを一からカスタムビルドするソリューション、独自アプリケーション向けにAIを部品で使えるようにするソリューション、AIが組み込まれたアプリケーションを提供するSaaSと、3種類のAIソリューションを提供していると語った。今回の話は、最後のSaaSアプリケーションの話だ。
なお、「AIエージェント」という言葉の定義はベンダー等によって揺れがあるが、中山氏は「タスク(仕事)をお願いするものがAIエージェント」と定義した。
Oracle Fusion Cloud Applicationsで提供されるAIエージェント機能を、中山氏は3種類に分類した。チャットUIから文章などを生成するおなじみの「作成」、RAGなどによって企業が独自持つ情報やナレッジなどのコンテキストを含めて回答をもらう「回答」、複数のタスクを組み合わせて自動化する「実行」の3つだ。
Oracle Fusion Cloud ApplicationsのAIエージェント機能の特徴を挙げた中でも、中山氏は他社AIソリューションとの違いとして、「他社は業務を支援するAIアシスタントのような機能がメインだとわれわれは理解している。われわれは、ビジネスプロセスをAIによって自動化して進化させることに取り組んでいる」と強調した。
もう1つ特徴としては、Oracle Fusion Cloud Applicationsのさまざまなデータについて、AIも含めて、シングルデータベース(単一のデータベース)とシングルデータモデル(単一のデータモデル)で保持していることも中山氏が強調した。これにより、業務そのままでデータの欠落のないAIをリアルタイムで提供できる、と同氏は主張する。
Oracle Fusion Cloud ApplicationsのAIエージェントによる業務プロセスの自動化の例として、中山氏はまず、Procure to Pay(購買から支払い)プロセスの自動化を紹介した。購買依頼の手続きが、現場担当者から、上司、購買担当者、経理担当者と人手を渡っていく中で、紙の書類による手続きが残っていることがある。ここにAIによって、OCRや自動処理を組み合わせることで、プロセスを自動化できる。
2つ目の例は、調達ポリシー・アドバイザーだ。現場担当者が新しいPCの購入を申請するときに、自分がいつPCを交換できるか、どのモデルを購入できるか、などの社内ポリシーを、チャットUIで確認できる。前述の3分類の「回答」にあたる。
複数のタスクを組み合わせて自動化する「AI Agent Studio」
複数のタスクを組み合わせて自動化する「実行」については、中山氏はAIエージェントの開発ツール「Oracle AI Agent Studio for Fusion Applications」(AI Agent Studio)を紹介した。もともとOracleの開発部門で使っているツールで、それをパートナーや顧客にも提供していくと3月に発表した。
AI Agent Studioは、事前定義されたシンプルなAIエージェントを多数用意として管理し、それを組み合わせたマルチステップのAIエージェントを開発できるものだという。
中山氏は例として、製造業において機材の保全作業をサポートするAIエージェントの場合を説明した。画像から不具合を分析するAIエージェントや、解決策を提示するAIエージェント、コストや期間をシミュレーションするエージェントなどを組み合わせて、1つのマルチステップのAIエージェントを作成できる。
中山氏によると、プラットフォームの機能は単体ではすでに提供開始しており、これからOracle Fusion Cloud Applicationsに組み込んだ形で夏から秋ごろに提供する予定とのことだった。