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Coltデータセンターサービス、「Colt印西データセンター4」を開設
2025年3月3日 06:00
Coltデータセンターサービス(以下、Colt DCS)は、千葉県印西市における4つめの拠点として、「Colt印西データセンター4」を2月26日に開設した。同センターは、三井物産とフィデリティ・インベストメンツとのジョイントベンチャーで開発したデータセンターとして2拠点目のハイパースケールデータセンター。開所の時点で、100%が成約済みの状態という。
開所式の時点で第一フェーズが完了し、一部のフロアは既に構築済みで4.8MWが稼働中。最終フェーズまで完了するのは2025年11月を予定しており、印西データセンター4の電力容量は20MWとなる。印西地区のColtデータセンター4棟を合計すると、70MWを提供する。
日本での開発ロードマップ
Colt DCSは、欧州、日本、インドにおいて8地域にまたがる16拠点で、ハイパースケーラーやエンタープライズ向けに、キャリアニュートラルなデータセンターの設計、構築、運用を行っている。Colt DCSチーフ・セールス・オフィサーのクイ・グエン氏は、以下の6つを強みとして挙げている。
①オペレーショナルエクセレンス
25年以上の運用経験と、それに基づいた物理とサイバーに渡るセキュリティ
②スケール
8地域に16サイトで、200MWから1GWまで拡張可能な土地と電力
③設計・施工実績
自社による設計と施工管理で、安全や衛生に配慮
④サステナビリティ
2045年までに事業活動からの排出量をネットゼロに
⑤顧客中心
高度な遠隔測定とポータルサイトやローカルおよびグローバルサポートで、業界トップレベルのNPS(ネットプロモーションスコア)
⑥柔軟性
クラウド、AI、ハイブリッドに適応できる設計で、シングルテナントにもマルチテナントにも対応
また日本では、関東に5拠点、関西に1拠点の6拠点が既に運用中だが、さらに関東に印西データセンター5と吉川データセンター(埼玉県)の2カ所を開発中。印西データセンター4は空冷空調のみ対応だが、新しい2カ所は水冷サーバーにも対応する予定だ。また、2023年に開設した京阪奈データセンターは、将来的に拡張の予定がある。
印西データセンター4の建物仕様
印西データセンター4は、建物基礎免震の鉄骨造で地上5階建て。2階から5階がデータホールで、各フロア2室ずつの配置。各フロアに、N+1冗長構成のUPSが配置されている。5階のみデータホール1室で、半分はColtの事務室および顧客向け事務室を想定したオフィススペースになっている。
特別高圧66kV(本線・予備線)受電で、IT向け電力は正確には19.8MW。非常用電源設備は、屋外に6000kVAのガスタービン発電機を設置。IT機器向けが6機+1と、その他設備向けが3機+1のそれぞれN+1冗長構成。100%成約済みのため、既に11機の発電機が敷地内に設置されている。備蓄重油による無給油稼働は48時間。
データホールの空調は、データセンターに特化したStultz社のCRAH(Computer Room Air Handler)を採用している。両側の壁から冷気を吹き出し、ホットアイルコンテインメントして天井チャンバーから空調機に戻る仕組み。空調機エリアの温度センサーと空調機のファンが連動し、自動で最適化する。冗長構成はN+2。
データホール内の監視カメラなどは、データセンター側で設置する場合もあるが、グローバル展開する事業者は世界各地のデータセンターを1カ所で中央監視するので特定のカメラを設置したいというケースもある。印西データセンター4はクラウドサービス事業者1社で1棟すべて使うため、その事業者が必要とするセキュリティ設備等を設置する。
建物のセキュリティとしては、駐車場の入り口に頑丈なスライド門扉と遮断機の二重のゲートが設置されているので、車で突っ込むのは無理そうだ。車両がいる間は、大きな警報音も鳴る。トラックヤードは4tトラック2台が並んで駐車できるが、搬入作業中などはシャッターを下した状態になり、外から建物に入ることはできないようになっている。
印西4は、2022年の設計フェーズを経て2023年に着工。22カ月かからずにフェーズ1(建物建設と2階部分のデータホール構築)を完了できた。Coltデータセンターサービス・ジャパン・オペレーティングの武藤 健氏(データセンター開発事業統括責任者)が、「これからは、これほど早くはできないだろう」というほどの短納期ながら、プロジェクトを通して無事故・無災害を達成した。引き続きフェーズ2以降の工事を進め、2025年11月頃にはすべて完成する予定だ。