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FCCL、個人向けPCの「FMV」ブランドを一新 若年層をターゲットにした「FMV Note C」などの新製品を発表
2025年1月17日 06:15
富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)は16日、FMVブランドの個人向けPCをリニューアルし、ノートPCのFMV LIFEBOOKを「FMV Note」に、デスクトップPCのFMV ESPRIMOを「FMV Desktop」に名称変更する。
第1弾として、若年層をターゲットとした「FMV Note C」を発表。さらに、世界最軽量のCopilot+PCとなる「FMV Note U」や、一体型デスクトップの「FMV Desktop F」を発表した。
なお法人向けPCについては、引き続き、LIFEBOOKおよびESPRIMO、CELSIUS、STYLISTICのブランドは維持し、富士通の法人部門を通じて販売する。
富士通クライアントコンピューティングの大隈健史社長は、「FMVは、1993年にデスクトップPCのFMV DESKPOWERとして誕生し、1995年にはノートPCとしてFMV BIBLOを発売した。それ以降、IT技術の進化や市場の変化に対応しながら、多くの製品を提供してきた。FMVの強みは、神奈川県川崎での企画、開発と、島根県出雲での製造、そして、全国をサポートできる体制にある。日本での暮らしを第一に考えた製品およびサービスを提供することで、2023年度には国内PC店頭販売シェアでナンバーワンを獲得した。2024年度も12月時点でナンバーワンを継続している」と、これまでの歴史を振り返りながら、「コロナ禍で社会が大きく変化するなか、パソコンは日本の暮らしや新たな働き方に欠かせないツールへと再定義された。つまり、FMVも変わるべき時がきたと判断し、ブランドのリニューアルに踏み出した」と語った。
また、大隈社長は、新たなFMVのコンセプトとして、「シンプルでわかりやすいこと」、「現代の価値観に合うこと」、「日本の暮らしを応援すること」の3点を挙げ、「これまでのFMVは幅広いラインアップをそろえ、支持されてきた。今後も、FMV全体としての幅広さは変わらない。その上でひとつひとつの製品の個性を際立たせていく。お客さまにこれが欲しいと思ってもらえるプレミアムなブランドに成長させたい」と抱負を語り、「これらのコンセプトを具現化するため、FMVのロゴとブランド体系を一新した。新しいFMVは、お客さまの暮らしをより快適に、応援するブランドになることを目指している。新しい時代の暮らしに応える製品として進化させていく」と述べた。
新ロゴは、未来志向を象徴し、シンプルで洗練されたデザインを採用。ブランド体系は、製品名称をFMV NoteとFMV Desktopというように、わかりやすく統一したものに再編。顧客が選びやすくし、ブランドの一貫性を向上させたという。
さらに、「ブランドリニューアルは、ロゴや製品を刷新するだけでなく、会社の風土や文化を進化させ、日本の暮らしを応援する企業の意思を込めた」としている。
FMV Note Uは、14.0型ワイド液晶を搭載し、重量は848gと、Copilot+PCとしては世界最軽量を実現。インテル Core Ultra プロセッサー シリーズ2(Core Ultra 7プロセッサー258V)を搭載。約36時間の長時間駆動を実現しており、モバイルシーンにおいても、ローカルでAI処理を求めるハイリテラシーのユーザーに提供する。
FCCLの大隈社長は、「軽量モバイルを追求するFMVの技術力の結晶として、世界最軽量に込めた思いを具現化した。新たなFMVブランドのフラッグシップとして、今後も継続的に正常進化を続ける」という。
一方で、FMV Note Cは若年層を対象にしたノートPCで、「今回のブランドリニューアルを象徴する製品」(FCCLの大隈社長)と位置づけている。
FMV Note Cは、2022年に発足したFMV From Zero Projectを通じて、企画、開発を進めてきたのが特徴で、20代の3人の若手社員をブランドマネージャーに任命。若手の感性を生かし、ベテランエンジニアがそれを実現する仕組みを採用した。
FMV From Zero ProjectのメンバーであるFMV Note C ブランドマネージャーの堀志織氏は、「スペックを極限まで追求する道具としての在り方以上に、デザインや心地よさといった感性価値を追求したパソコンを目指し、パソコンへの『本音』を大切にした」という。
また、「どんなスペックにすべきか、画面サイズはどうすべきか、といった観点ではなく、若手社員が自らの大学生時代を振り返ったり、大学生へのヒアリングを重ねたりすることで、見えてきたものを形にした」と述べた。
FMV From Zero Projectが導き出した答えは、「若年層にとってパソコンは、興味がなく、意識の外側にあるプロダクト」というパソコンメーカーとして異例のものだった。
「パソコンは、大学入学というライフイベントを経て、突然必要になり、義務感で手にするプロダクトである。購入する際には、必要性に迫られた焦りと、自分にとって心地よいものを選択したいという願いが交錯している。こうした若年層が抱えるモヤモヤした思いに正面から向き合い、開発の指針となるキーワードを『心地よい』という感性的な価値へのこだわりに決めた」という。
スマホを使えば、ある程度のことができてしまう時代に、未来を見据えた勉強をする時間や、本気の趣味に打ち込む時間に対して、パソコンが支えることができるとし、「パソコンを使う時間、パソコンで頑張る時間を、心地よくすることが、FMV Note Cが目指す『心地よいパソコン』に定義した」。
FMV Note Cでは、パソコンを開けるたびに心がおどる「Noiseless Design」、静かな場所で、作業に集中できる「Comfortable Silence」、毎日の作業をもっとスムーズにする「Original Apps」を、心地よさを実現する3つのこだわりとし、「持ち歩きたくなり、手にするだけで気分がアガる存在を目指してデザインした。アルミの削り出しにより、プロダクトとしての完成度を極限まで高めた。赤、白、黒というわかりやすいカラーにしなかったので、購入時に迷うことになるだろう。だが、色を迷うことが、満足感や心地よさのひとつだと考えた。また、大学生が購入して後悔したのが、ファンがうるさいことであった。そこでファンレス設計とした。さらに、大学生の使い方を観察し、マッチするアプリだけを搭載した」という。
A4用紙サイズとぴったり同じサイズとしたほか、外側と内側でカラーが異なるバイカラーデザインとし、内側はエクルベージュ、ミストグリーン、スモークグレーの3色を用意した。重量は1187gとしている。
また、授業の際などに資料作成の効率を飛躍的に向上させる「Float Access」、バーチャルメイク用アプリ「Umore」、自動で画面キャプチャを保存する「Quick Capture」を標準搭載している。
FCCLの大隈社長は、「若い人の価値観にフォーカスし、デザインやアプリケーション、ユーザーエクスペリエンスを見直した。若年層はFMVで必ずしもアドレスできていなかった市場である。だが、FMVの今後のビジネスの成長を考えると、新たな顧客にもFMVを認めてもらう必要がある。そこで、リアルな若者のデザインや暮らしの快適さといった価値観を深く理解することを第一に考え、同時に社内の企画、開発プロセスをゼロから見直した。企画からお客さまに届くまでを、一気通貫でデザインするために、ブランドマネージャーがリードする社長直下のプロジェクトとして立ち上げた。新たなことを始めたため、想定外のことが起き、紆余(うよ)曲折はあったが、自信を持って届けられる製品に仕上がった。まったく新しいことに、まったく新しい体制で挑戦したものであり、今日時点で見れば、100点満点で100点の製品である。将来に向けて、120点、150点を目指したい。FMV Note Cは、新たなFMVを象徴するモデルになる」と述べ、「将来的には、若年層の領域においても、ナンバーワンシェアを目指したい」と語った。
2025年1月16日から店頭での展示を開始しており、国内2500店舗で展示を行う予定だ。
大隈社長は、「量販店のバイヤーからも高い評価を得ている。大学生向けのパソコン需要は、3月、4月の短期決戦となる。まずは、大学生がパソコンを選ぶ際の第一候補のひとつには入れるような状況を目指したい」と語った。
なお若年層向けのパソコンでは、NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)が、YouTubeの人気番組「Nontitle」と連携し、「LAVIE SOL」を2024年11月に製品化している。
大隈社長は、「NEC PCもユニークで、高い質感のものを出してきた。期間限定で開催した渋谷のポップアップストアにも一人で行って見てきた。当社と同じ課題認識で製品化したものだと考えているが、FMVは、企画、開発、製造まで国内で完結しており、その点ではNEC PCとはアプローチが異なる。2つの製品によって、市場を活性化し、底上げができればいい。よきライバルだと見ている」と述べた。
FCCLでは、新たな企業活動として、大学生を対象にした「GOOD CAMPUS LIFE Project」をスタートすることも発表した。これまでの大学との協業や共創活動を発展させたものであり、学生の価値観を深く理解し、学生を応援する意思を明確に示すための取り組みになるという。
富士通クライアントコンピューティング FMV Note C ブランドマネージャーの佐藤快氏は、「がんばる大学生の頑張る時間を応援するプロジェクトであり、夢に向かって頑張る時間が心地よく、ワクワクする時間となるように活動を進める。これにより、FMVが大学生にとって、より身近で、共感が得られる存在になることを目指す」と述べた。
第1弾として、ファッションにフォーカスし、キャンパスライフ専用の「CAMPUS WEAR by FMV」を開発。早稲田大学繊維研究会と連携して、「CUSHION JUMPER」をデザインした。背中と腕にクッションが入り、収納式フードはネックピローになり、長時間のパソコン作業をサポートする。
「大学生にとって興味がない存在であるパソコンと、最も気にしているファッションを掛け合わせることで、大学生の感性や想像力を引き出すのが狙いである。パソコン作業を頑張る大学生専用の服であり、パソコン作業を心地よくするための工夫が凝らされている」とした。また、「想像力や感性を刺激するFMVらしい応援のカタチを、これからも追求していく」と述べた。
発表会には、FMV Note Cの発売にあわせて制作した全9話のTikTokミュージックドラマ「うぇいだけが青春ですか?」に主演する俳優の八木莉可子さんが登場。昨年、大学を卒業した八木さんは、「FMV Note Cは、使いやすく、見た目もかわいい。おすすめのパソコン。ぜひ、大学生に選んでほしい」と語った。