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生成AI導入の鍵は「セキュリティの担保」、95%の導入関与者・運用担当者は生成AI活用に不安を感じている~Box Japan調査
2024年12月10日 08:00
株式会社Box Japanは9日、生成AIサービスを導入済み、あるいは導入を検討している企業の利用者および管理者を対象に実施した、「企業における生成AIの活用に関する意識調査」の結果を発表した。
調査方法はインターネット調査で、対象エリアは全国、調査実施日は10月4日~7日。サンプル数は1000人(20代から60代の男女)で、調査対象は生成AI導入企業の利用者(400人)、生成AI導入企業の導入関与者または運用管理者(200人)、生成AI導入検討企業の導入関与者(400人)。
調査では、勤務先で生成AIを導入・管理する上で、課題や不安に感じていることがあるという回答は、生成AI導入企業の導入関与者・運用担当者では95.0%に上った。具体的な課題や不安として最も多かった回答は、「社員が使いこなせるか」、「機密情報や個人情報が見えてしまうのではないか」がそれぞれ36.5%を占め、AIサービスの活用によるリスクと社内浸透の両面で課題や不安を抱えているとしている。
これから生成AIを導入する企業においても、94.7%の導入関与者が何らかの課題や不安を抱えており、導入済み企業と同じく「社員が使いこなせるか」が32.8%と最も多く課題として挙がった。
一方で、利用者では、生成AI活用に関して課題や不安を抱えていると回答した人の割合は74.0%だった。「機密情報や個人情報が見えてしまうのではないか」は19.8%にとどまり、導入関与者・運用担当者の抱える課題と大きな差が出た。また、利用者が回答した最も多い課題点は「欲しい情報や回答が得られない」の31.8%となった。
生成AIを導入済みの企業の導入関与者・運用担当者に、現在利用している生成AIをどのような理由で選択したかを尋ねた質問では、「利用できる機能が多いから」が40.0%、「現在使用しているサービスに簡単に追加できるから」が35.5%となった。
一方で、生成AIの導入を検討している企業の導入関与者に対して、生成AIの導入を決断する際に重視する点を尋ねると、45.8%が「セキュリティ面が担保されていること」と回答しており、「利用できる機能の多さ」(27.0%)や「現在使用しているシステムに簡単に追加できること」(23.3%)と大きく差を開く結果となった。このことから、今後企業が生成AIの導入を検討する際には、セキュリティ面が最も重要な要素とされているとしている。
生成AIを導入している企業の利用者、および導入関与者・運用担当者に対して、今後の生成AIの活用意向を尋ねた質問では、94.0%の回答者に活用意向があった(「活用していきたい」56.3%、「やや活用していきたい」37.7%の合計)。
また、「活用していきたい」「やや活用していきたい」と回答した人に、今後の生成AIの活用に何が必要か尋ねた質問では、利用者の53.7%が「高い回答精度」と回答したのに対し、導入関与者・運用担当者では「回答精度の向上」は34.4%にとどまり、「ユーザーのITリテラシーの向上」が37.6%、次いで「生成AIで利用するファイルの整理」が36.0%と多い結果となった。
導入関与者・運用担当者は、生成AIの能力を引き出すために、IT環境の整備や利用者のITリテラシー向上など、利用者に起因する事柄を重要視している一方で、利用者はAIの回答の精度に目を向けていることが分かると説明。AIを活用するためには、利用者の使いやすさや満足度などのサービス面はもちろん、利用者のリテラシーの向上が今後の生成AI活用促進の鍵となることが考えられるとしている。
生成AIの導入検討における予算について、導入を検討している企業の導入関与者に尋ねた質問では、21.0%の企業が月額2000円以上3000円未満と回答した。
一方で、生成AIを導入している企業の導入関与者・運用担当者に、生成AIの導入に費やした金額を尋ねたところ、月額3000円以上4000円以上が20.5%と最も多い回答結果となり、導入検討時の予算と比べ、実際に導入した際の金額が高い傾向となった。