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シスコ、2モデル3機種のWi-Fi 7対応アクセスポイントを12月より順次提供
オンプレミスとMerakiで共通化されたライセンスを提供
2024年11月22日 06:15
米Cisco Systems(以下、Cisco)の日本法人であるシスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は、Wi-Fi 7対応無線LANアクセスポイントを11月21日に発表した。11月から受注を開始し、12月より順次出荷を開始する予定。Ciscoが11月12日(米国時間)のイベント「Cisco Live 2024 Melbourne」で発表した内容の、日本での発表となる。
発表されたのは「CW9176I」「CW9176D1」「CW9178I」の、2モデル3機種。CW9178Iは16ストリームで10Gigabit Ethernet(10GbE)×2ポート、CW9176の2機種は12ストリームで10GbE×1ポートを備えた。アンテナは、CW9176D1は指向性アンテナを、ほかの2機種は無指向性アンテナを内蔵する。
またいずれも、BLEやGPS、UWBを内蔵し、位置情報の検出に対応する。
Wi-Fiコントローラについても、オンプレミスのCatalystとクラウド管理のMerakiのどちらにも、自動的かつシームレスに対応する。ライセンスモデルも統合され、オンプレミスでもクラウド管理でも、型番やライセンス、製品サポートを共通化する統合サブスクリプションライセンスを採用する。
また、国別や地域別の製品型番を廃しており、ネットワークに接続した瞬間に位置が検出され世界中のどこでも機能するよう、単一の製品モデルになっているという。
Wi-Fi 7だけでなく、インテリジェント、セキュリティ、アシュアランスを強化
同日開催された記者会見において、シスコの高橋敦氏(執行役員 ネットワーキング事業担当)は、今回の製品について、「Wi-Fi 7により高速広帯域になるが、Ciscoのアプローチはそれだけでない」と述べた。そして特長として、インテリジェント、セキュリティ、アシュアランスの3つを挙げた。
インテリジェントについては、AIネイティブのパフォーマンス最適化機能を持ち、セキュリティとの統合も実現している。オフィス環境を可視化する「Cisco Spaces」のサブスクリプションライセンスも追加した。
Cisco Spacesは、AIを活用した3Dマッピングや、動的なIoTサービス、正確なアセット管理などの機能を持つ。これにより例えば、病院にて医療器具をトレースしたり、小売店にてOpenRoamingで接続したとき適切な通知を送信したり、オフィスビルにて従業員をオフィスビルで空いている会議室に誘導したりなどが可能になるという。
セキュリティについては、暗号規格WPA3に対応。デバイスが複数のチャンネルで同時に通信できるマルチリンクオペレーションにより、輻輳(ふくそう)を軽減し、遅延少ない接続が可能。Cisco Identity Services Engine(ICE)による動的なセグメンテーションや、適応型ネットワーク制御に対応している。
アシュアランスでは、Cisco ThousandEyesとの連携により、有線や無線、自社所有ネットワークや自社で所有しないネットワーク(クラウド)を問わず、ネットワーク全体でパフォーマンスのボトルネックを特定して解消し、接続体験を保証する。またAIRM(AIリソースマネジメント)による無線リソース管理や、AIアシスタントにも対応予定。
ThousandEyesでデバイスからインターネットの先まで可視化と診断を提供
アシュアランスのThousandEyesについては、Cisco SystemsのJoe Vaccaro氏(バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Cisco ThousandEyes事業担当)が説明した。
ThousandEyesは、2020年にCiscoが買収した技術だ。すべての接続体験を改善するためのもので「インターネットのGoogleマップのようなもの」とVaccaro氏はたとえる。
Wi-Fi 7は新しいネットワーク体験をもたらすため、接続体験を保証するには、デバイスからインターネットの先のアプリケーションまで見て、健全性を調べる必要がある、とVaccaro氏は言う。
ThousandEyesの情報はMerakiのダッシュボードから見られる。ここから、内部と外部のネットワーク全体にわたってどこに問題があるかを特定可能なほか、AIアシスタントがとるべきアクションを提案したり、ドリルダウンして問題をピンポイントに特定したりできる。それにより、数週間かかっていた仕事を数分で解決でき、アシュアランス(保証)を提供するという。
接続とは、2箇所をつなぐというだけでなく、さまざまなサービスが依存してつながったデジタルサプライチェーンによって成り立つ、とVaccaro氏。そしてCiscoは、この複雑な構造に可視化とインテリジェンスを提供し、問題が起きたときの特定や修復をもたらすという。
またに顧客がパブリッククラウドに移行しても、Cloud Insightsによりネットワークの可視化を実現するという。
さらにCisco製品では、Splunkが収集する情報もまじえてネットワーク全体の可視化を元に問題を迅速に解決するクローズドループ処理を実現する、とVaccaro氏は語った。