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日立、秋田県に河川水位や洪水のリアルタイム予測システムを導入へ
2024年10月29日 06:30
株式会社日立製作所(以下、日立)は28日、秋田県から、河川の水位や洪水を24時間連続リアルタイムで予測するシステムを受注したと発表した。秋田市内の中心部を流れる洪水予報河川の太平川が氾濫(はんらん)する可能性を事前に把握し、洪水警報発表の精度を高めるとのことで、2025年春から運用を開始する予定。
このシステムは、河川や地形のデータに加え、最新の気象データを自動でリアルタイムに取り込み、分析することで、6時間先までの洪水予測を24時間連続で高精度に行えるもの。太平川(牛島、太平本町)と、太平川が合流する旭川(中島)の3カ所の河川水位データと連携することにより、予測精度の向上を図るという。
さらに、予測した結果に対して、樋門の開閉や排水機場の稼働をシミュレーター上で変更することにより、被害軽減に向けた検討が可能。加えて、自治体で検討している治水対策と、過去の水害の条件(降雨量、堤防決壊など)を併せて設定・シミュレーションすることにより、治水対策の効果を検証できる機能も備えた。
このほか、任意の降雨や堤防決壊の条件を設定し、河川からあふれて発生する外水氾濫のみならず、内水氾濫(都市に降った雨が河川などに排水できずに発生する氾濫)を同時に予測することが可能。太平川が合流する旭川(砥沢を含む)および旧雄物川(新城川、道川、草生津川を除く)、もしくは太平川に合流する河川(猿田川、寺沢川、八田川)のバックウォーター現象の影響もシミュレーションできるとのこと。
また、このシステムによって河川データや地形データなどをデジタルで設定・管理することにより、予測精度の向上とともにデータ管理の一元化が図れる点もメリット。更新された河川データや地形データを新たに取り込み、これまで作成した浸水想定区域図と同じ条件を設定すると、過去の検討プロセスの把握や条件変更による影響範囲のシミュレーションも行えるとしている。
なお、予測のリアルタイム実行には、日立の特許技術であるDynamic DDMを適用しており、浸水領域の広がりに応じて計算領域を自動的に拡大・縮小させることで計算量を減らし、予測の高速化を実現した。