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KCCS、再エネ100%で運用する「ゼロエミッション・データセンター 石狩」を開所

 京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は1日、北海道石狩市に建設を進めていた再生可能エネルギー100%で運営する「ゼロエミッション・データセンター 石狩(以下、ZED石狩)」を開所したと発表した。

 ZED石狩の敷地面積は約1万5000㎡(延べ床面積:約5300㎡)、サーバー室面積は約1100㎡、ラック数は400ラック、受電容量は2~3MW、床荷重は最大1500kg/㎡。

ゼロエミッション・データセンター 石狩の外観

 KCCSは、2019年にデータセンターを再エネ100%で運営する計画を発表し、2022年12月に着工して建設を進めてきた。

 開所したZED石狩では、石狩湾新港洋上風力発電所の電力と、データセンターの近隣に新設したKCCS所有の太陽光発電所の電力を組み合わせて利用し、「生グリーン電力」でデータセンターを運用する。

 KCCSでは、現在の脱炭素化の取り組みでは、年間総需要量に相当する再エネを調達する、実質再エネ100%が主流となっているが、KCCSは蓄電池とAI技術を活用した電力需給制御と電力需要のタイムシフトの推進により、時間単位でカーボンフリー電力をマッチングする取り組みを行い、国内のデータセンターで初となる常時再エネ100%(24/7カーボンフリーエネルギー)を実現するとしている。

ゼロエミッション・データセンター 石狩の電源構成

 また、ZED石狩では、年間を通して冷涼な外気が確保できる石狩市の気候を生かした間接外気冷房空調方式の採用や、サーバー室の排熱を床下空調やロードヒーティングに利用し、建物内でエネルギーを循環させる取り組みを行っている。

 GPUを用いた膨大な計算が必要とされる生成AIの利用拡大を背景に、データセンターの電力需要の高まりによるCO2排出量の増加が課題として指摘されており、データセンターの脱炭素化の取り組みがますます重要とされてるが、ZED石狩はGPUサーバーによる高排熱への対応も可能で、施設の拡張や水冷方式でのサーバー冷却についても計画するとしている。

 KCCSはZED石狩を通じて、顧客のDX推進やAI活用における脱炭素化・SDGsへの取り組みを支援し、持続可能な社会の実現に貢献していくと説明。また、国内でのデータ分散保管や、データセンター技術者・エネルギー関連技術者などの雇用創出による地域活性化を目指すとしている。