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パナソニックHD、グループにおけるAI開発の効率化を目的にFastLabelと協業

 パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)とFastLabel株式会社は27日、パナソニックグループにおけるAI開発の効率化を目的に、パナソニックHDが開発を進めるマルチモーダル基盤モデル「HIPIE」を、FastLabelのData-centric AIプラットフォームと統合し、自動アノテーションモデルとして構築するため協業を開始すると発表した。

 FastLabelが提供するData-centric AIプラットフォームは、直感的に利用できるユーザーインターフェイスを備え、非エンジニアでもデータ管理やアノテーションからモデルの学習・評価まで、一貫したAI開発の運用を可能にする。国内大手企業を中心に実績数百社以上のアノテーション代行事業を展開する中で、アノテーション機能の改善や新技術の取り込みを進めており、アノテーション自動化の仕組みづくりに強みを有している。

 パナソニックHDが有するHIPIEは、大規模言語モデルの事前知識を生かして、任意のテキスト入力に基づきセグメンテーションタスク(画像内の物体を特定し、画素レベルで識別すること)を実行できる画像認識用のマルチモーダル基盤モデル。検出対象の詳細な条件を指定して検出を行うデータセットに対して、世界最高レベルの性能を達成するなど、優れたセグメンテーション機能を特徴とする。

 両社は、これらの特徴を組み合わせることで、通常のAIモデルでは学習後に検出対象を追加・変更する際にモデルの再学習を必要とするが、HIPIEはアノテーション対象を任意に指定して変更できるため、一つのモデルでさまざまな現場への素早い適用が可能となるとしている。

 今回の協業では、まずFastLabelが提供するData-centric AIプラットフォームのユーザーインターフェイスから、HIPIEを自動アノテーションモデルとして実行できるようにする。そして、パナソニックグループが保有するデータを用いて、アノテーションコストの削減効果を検証していく。さらに、アノテーションされたデータを用いて、HIPIEのファインチューニングを行い、各現場に特化したアノテーションモデルを作成することで、より高精度な自動アノテーションの実現を目指す。

 パナソニックHDとFastLabelは、マルチモーダル基盤モデルHIPIEの自動アノテーションを実現し、くらし、製造、物流などパナソニックグループの幅広い事業領域でAI開発を加速していくと説明。また、パナソニックHDが開発を進めている大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」をマルチモーダル基盤モデルへ統合することで、さらなるAI開発効率の向上を計画しているという。

 パナソニックHDが有するマルチモーダル基盤モデルと、多岐にわたる事業領域の社内データ、そしてFastLabelが有する高品質なData-centric AIプラットフォームとのシナジーにより、パナソニックHDのAI技術戦略であるScalable AIおよびResponsible AIの実現を通じた、社会・顧客への貢献を目指すとしている。