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従業員の働く環境をITで高める――、キンドリルがワークプレイスサービス事業の“肝”を解説

最適なソリューションの最適な活用に向け、顧客との伴走を強化

 キンドリルジャパン株式会社は8月30日、デジタルワークプレイスに関するサービス事業の取り組みについて説明した。

 キンドリルジャパン 理事 デジタルワークプレース事業部長の秋吉香織氏は、「キンドリルが目指すワークプレイスは、インクルーシブなカルチャーを実装するものであり、社員同士が認めあい、感謝しあい、高めあいながら進化するものになる。従業員がスムーズに、快適にすることを軸した提案である点が特徴だ」と位置づけた。

キンドリルジャパン 理事 デジタルワークプレース事業部長の秋吉香織氏

 インクルーシブなカルチャーを実現するワークプレイスの構成要素として、キンドリルでは、3つのポイントを挙げる。

 ひとつめは、「3つのフリーを実現するワークプレイスモダナイズ」である。

 ここで打ち出した3つのフリーとは、場所にとらわれない働き方を実現する「ロケーションフリー」、従業員の働き方に合わせてデバイスの選択が可能になる「デバイスフリー」、やってはいけないということがなく、どこでも、だれとでも、すぐに協業できる「リミテーションフリー」を指す。

求められる3つのフリー

 具体的には、デバイスの選択肢の提供、コミュニケーションツールの提供、アクセス権の管理やデータ保護といったセキュリティなどを提供。また、3つのフリーを実現する上で重要になるのが従業員サポート環境とし、カウンター型サポートデスク、現地サポート、電話サポート、リアルタイムチャット、AI活用のサポートなどを提供している。

キンドリルの提供サービス

 ITヘルプデスクでは、製造業をはじめとしたさまざまな業種の企業に対して、顧客向け社内ITヘルプデスクの構築および運用を提供している。導入に際しては、企業の状況を理解するとともにITSMツールの導入を提案。サービスレベルをもとに、ナレッジの生成などを実施することで、それぞれの企業に最適化したITヘルプデスク環境を構築する。また、データの可視化と分析を行い、次のステップとして、アプリ開発への反映や、セルフ解決支援へと進化。次世代ヘルプデスクの構築を目指すことになる。

キンドリルが提供する従業員サポート(ITヘルプデスク)

 キンドリルジャパン デジタルワークプレース事業部 シニアマネージャーの笹野渚氏は、「ITヘルプデスクは土台づくりが大切である。社内のペルソナを理解することからはじめ、問い合わせ対応がウェブがいいのか、あるいは電話を利用した方がいいのかといった業種に最適化したサポート方法を選択する。最初の2~5カ月でヘルプデスクの要件定義や設計を行い、その後、ITSMツールなどの導入やナレッジ作成、オペレータ教育を進め、運用を開始する。さらに、データを活用することで、モダナイズを進めていくことになる」と、キンドリルによるITヘルプデスク導入の流れを説明した。

 昨今では生成AIを活用したユースケースが増加しており、コール受付時の自動文字起こしによるインシデント登録時間の短縮、問い合わせ傾向の分析によるリアルタイムでのFAQ自動生成、問い合わせ速報と自己解決手順の提供などが可能になっているという。

キンドリルジャパン デジタルワークプレース事業部 シニアマネージャーの笹野渚氏
ITヘルプデスクにおけるモダナイズの進め方
ITヘルプデスクにおける生成AIユースケース

 また、Microsoft 365の利活用支援も提供。標準機能だけでは利便性や運用容易性に欠ける部分を補う機能の提供だけでなく、端末管理やエンドユーザーサポート、自己スキルの育成までを支援できるものにしているという。

 「端末の状況をモニタリングし、どういう状態で使われているのか把握。そこから、未然にトラブルを予測するといった活用も可能になる。また、沖縄と仙台のヘルプデスクセンターから、お客さまのサポートを行っている。ナレッジを蓄積し、セルフで解決する提案も可能になる」とした。

キンドリルが提供するMicrosoft 365利活用支援

 さらに、Copilotの導入支援も用意。活用方針の明文化や利用ポリシーの整備をはじめとした「導入準備」、社内向け勉強会の実施や社内データ利活用の仕組みづくりに向けた検討などの「展開」、社内事例の収集や横展開、業務プロセス分析スキルの社員展開などによる「通常業務への浸透」という3つの段階でサポートする。

Copilotの導入から浸透へのアプローチイメージ

 加えてキンドリルでは、ワークプレイスのモダナイズに向けて、UX/DX診断、従業員のペルソナ分析、共感マップ作成、カスタマージャーニーマップの作成、UXに向けたXLAと施策検討といった取り組みを、ワークショップを通じて進めることができる点も特徴に挙げており、「リアルなお客さまの課題に寄り添い、従業員の働く環境をITで高める」とした。

ワークプレイスのモダナイズ検討

 2つめは、「知見の共有とお互いを認めあう習慣」である。ここでは、ナレッジ共有、コミュニケーション、アプリシエーションを挙げる。

 キンドリルの秋吉事業部長は、「報告書を作成するだけでも数多くの情報にアクセスする必要があることからもわかるように、業務のなかで、情報探しをしている時間が6割強に達しているという調査結果がある。ナレッジを共有し、必要な情報にいち早くたどり着けるようにすることがデジタルワークプレイスの実現には大切である。また、感謝の気持ちを持つアプリシエーションが、コミュニケーションを実現する上では重要な要素になる」などと述べた。

 3つめは、「多様な人材を最適にマネジメントするプラットフォーム」である。ここでは、動的な人材ポートフォリオや、最適な人材育成やサポートが大切だと語った。

 調査によると、中長期的な投資として企業が重視しているのは、設備投資やIT投資であるのに対して、投資家は人材投資に対する関心が高いことが浮き彫りになっている。実際、企業では32%が人材投資を重視する項目に挙げているが、投資家では72%が重視すると回答しており、34ポイントもの差がある。企業と投資家の姿勢には大きな違いがあることがわかる。

重要視される人材への投資

 「企業インフラを担ってきたキンドリルは、その経験から、人材投資が重要であると考えている。従業員エンゲージメントは、信頼関係をベースにして高まっていくことになる。ひとつひとつの従業員エクスペリエンスを積み重ねていくことで従業員エンゲージメントを向上することができる」(キンドリルの秋吉事業部長)と述べた。

キンドリルの目指すワークプレイス

 なおキンドリルは、自ら製品を持たないが、最適なソリューションを組み合わせるとともに、最適な活用に向けた顧客との伴走を強化。これによって価値を届け、デジタルワークプレイスを実現することになるという。

 「従業員が利用するITシステムを、エンドユーザーサービスとして長年支えてきた豊富な実績や知見をもとに、リアルなお客さまの課題解決に寄り添うためのコンサルティング、システム構築、ヘルプデスクサービスの提供など、最新のAI技術や豊富な事例を活用しながら支援をしていくことになる」と語った。