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Adobe、生成AIを活用したB2Bマーケティングツール「Adobe Journey Optimizer B2B Edition」を提供

 米Adobeは現地時間7日、生成AIを活用したB2Bマーケティングツール「Adobe Journey Optimizer(AJO)B2B Edition」の提供開始を発表した。

 AJO B2B Editionは、顧客体験の向上を目的とした「Adobe Experience Cloud」の一部として、購買グループ(企業の購入プロセスに関わる担当者のグループ)を対象とした顧客体験のパーソナライズを可能にする。製品を通じて、企業間(B2B)取引を行う企業は、生成AIを活用して顧客エンゲージメントを精緻化し、収益性の高い成長につなげられるとしている。

 Adobeでは、B2B取引は広範かつ複雑な販売サイクルを特徴とするため、マーケティングおよび営業部門は、ソフトウェアやハードウェアなど大型購入の意思決定者を特定することに長い間苦労してきたと説明。また、Web、モバイル、電子メール、SNS、イベント、その他のチャネル全体で数千ものバリエーションが必要とされる中、各個人向けに顧客体験をパーソナライズすることも課題となっていた。

 また、従来のリードベースおよびアカウントベースのマーケティングのいずれも、リーチすべき関係者と彼らが興味を持つ製品を特定するプロセスにおいて、ブラインドスポット(盲点)が生じ、結果として営業部門とマーケティング部門は適切なコンテンツを適切な個人に提供できず、販売サイクルが長期化していたという。

 AJO B2B Editionは、こうした課題を解決するための進化したアプローチを提供すると説明。Adobe Experience Platform(AEP)上にネイティブに構築されたAJO B2B Editionは、あらゆるチャネルにわたって顧客を単一のビューで表示し、生成AIを活用して購買グループを特定するとともに、AIで生成されたアセットで各個人向けにパーソナライズされた顧客体験を創出する。B2BマーケティングオートメーションソリューションのAdobe Marketo Engageを補完するものとなり、リード(見込み客)を特定し、ナーチャリングして、購買グループに変えられるとしている。

 AJO B2B Editionにより、マーケティング担当者は、自社の製品ポートフォリオに合わせた購買グループを簡単に設定でき、デマンドマーケティング担当本部長やIT部門長などの主要人物も追加できる。Webサイトの訪問などのインサイトも取得できるため、顧客ライフサイクル全体においてこれらの購買グループが適格であることをデータでも裏付けられる。マーケティング担当者は、生成AIを活用して購買グループの役割やメンバーの割り当てに関するレコメンデーションを得られるとともに、不足しているメンバーのリストを作成して、広告キャンペーンなどを展開することで、ターゲティング活動を支援できる。

 購買グループが特定されると、企業は各意思決定者向けに、電子メール、Web、チャット、ウェビナーなどのチャネルを通じて、カスタマイズされたジャーニーを設計できる。これにより、取引の早期完了に向けて質の高いパイプラインを構築する。生成AIを搭載した会話型インターフェイスのAEP AI Assistantが、カスタマージャーニーを設計する際に、ユーザーに操作方法のアドバイスやトラブルシューティングを提供する。また、各購買グループの契約更新などのライフサイクルステージを定義し、そのタイミングが来た時点でリアルタイムのインタラクションを開始する機能も、近日中に提供予定としている。

 マーケティング担当者は、生成AIと統合されたアセットライブラリ(Adobe FireflyやAdobe Experience Manager Assetsからの画像を含む)を活用して、異なる購買グループに向けてパーソナライズされた電子メールコンテンツの生成もできる。例えば、マーケティング担当者は、ドラッグ&ドロップで配置可能なコンポーネント、テンプレート、カスタムHTMLツールを使用して、製品への関心や職務内容に基づいて、カスタマイズされた電子メールを素早く作成できる。 さらに、生成AIソリューションでランディングページやデジタルフォームなどのマーケティングアセットを作成できる機能も、近日中に提供を予定する。

 AJO B2B Editionは、営業部門とマーケティング部門の双方が、オンラインおよびオフラインのあらゆるチャネルで取り組んでいる購買グループへのアプローチを可視化し、ワークフローを合理化することで、より精緻な顧客エンゲージメントを可能にする。また、新しいダッシュボードにより、どの購買グループの購買プロセスが最も効果的であるかを分析し、リソースの最適化を図りながら、マーケティングが収益に与える全体的な影響を分析できる。コンバージョン率が高い購買グループの特定などの、AIを活用したインサイトをダッシュボード上で提供する機能提供も近日中に予定しており、購買のトレンドの分析結果をエンゲージメント戦略に役立てられるとしている。