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セールスフォース、データ統合プラットフォーム「MuleSoft」の生成AIによる進化を紹介

 株式会社セールスフォース・ジャパンは1日、データ統合プラットフォーム「MuleSoft」のアップデートに関する説明会を開催した。

 MuleSoftは、2018年に米Salesforceが買収し、2019年より日本でも展開しているプラットフォーム。セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 MuleSoft事業統括本部 統括本部長の小山径氏は、MuleSoftがSalesforce製品群の中でも急成長している製品であることを強調、「2023年度、2024年度ともに単体で22%の成長を実現しており、日本でも大きく成長する可能性を秘めている」と語る。

セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 MuleSoft事業統括本部 統括本部長 小山径氏
MuleSoftの進化の歴史

 そのMuleSoftの特徴について小山氏は、「インテグレーションを通じてさまざまなシステムに点在するデータの利活用を促進するほか、すべてのAPIを安全に管理する。また、最小限のコーディングで構造化データと非構造化データをまたぐワークフローを作成し、手作業を自動化する。そして、AIの予測機能と生成機能を実装しており、ビジネスにおけるAI活用を支援する」と説明している。

MuleSoftの特徴

 MuleSoftの製品アップデートについては、セールスフォース・ジャパン プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマネジメントマネージャーの大塚直登氏が解説、主に生成AIを活用したアップデートを紹介した。

 大塚氏によると、MuleSoftでは、Salesforceの生成AI製品「Einstein」を活用した進化を各機能に取り込む予定だという。「生成AIを活用した機能アップデートの方向性は主に2つ。1点目は、MuleSoft製品内で生成AIを活用し、開発生産性を高めていくこと。2点目は、SalesforceのCRM製品のAI機能との連携だ」と大塚氏は説明する。

セールスフォース・ジャパン プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマネジメントマネージャー 大塚直登氏
MuleSoft×AIの進化の方向性

 まず、1点目のMuleSoft内におけるAI活用については、インテグレーション機能に生成AIを活用した「Einstein for Anypoint Code Builder」をベータ版にて提供している。これにより、「プロンプトを入力することで、APIやアプリケーションの開発ができる。例えば、『データベースの顧客テーブルを参照するAPIを作って』と入力するだけで、データベースから顧客情報を参照するAPIが開発可能だ」(大塚氏)という。

Einstein for Anypoint Code Builder

 6月には、自動化機能のアップデートとして、「Intelligent Document Processing」を発表した。この機能は、AIによってさまざまな形式のデータをより速く正確に抽出し、構造化するというもの。例えば、PDFや画像データからテキストデータを抽出し、そのデータをSalesforce製品群をはじめとするさまざまなシステムと連携させることが可能だ。大塚氏によると、今後この機能にもEinsteinを追加する予定だという。

Intelligent Document Processing

 2点目のSalesforce CRMとの連携については、「CRM上の対話型AIアシスタントからプロンプトを入力し、さまざまなアクションをCRM上で実現するEinstein Copilotという機能を開発中だ。この機能からMuleSoftのAPIを直接呼び出すことで、このAIアシスタントから外部システムと連携できるようになるアップデートを予定している」と大塚氏。例えば、「CRMの連絡先情報を更新してほしい」とプロンプトに入力するだけで連絡先情報が更新されるといい、「対話形式でさまざまなアクションを実行することで、Salesforceのユーザー体験が向上できる」と大塚氏は述べている。

Einstein Copilot

 大塚氏は、SalesforceにおけるMuleSoftの位置づけについて、「MuleSoftは、システム間接続の役割を担っている。数百ものコネクタを提供するだけでなく、APIを開発し、管理して運用する一元化されたプラットフォームも提供している。MuleSoftがあることで、CRMと外部システムをつなげることが可能だ」と説明する。

 また、「MuleSoftは、データをアクションに変換することも可能だ」と大塚氏は付け加える。「データを変換して外部システムに渡すことや、RPAなどの自動化製品を用いて業務を自動化することもできる。こうした機能を通じ、AIPから生み出されたデータやインサイトをアクションに変換し、各種システムに戻す役割を担っている」とした。