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Salesforce、「Slack AI」をすべての有料プランで提供開始、日本語を含む多言語で利用可能に

 米Salesforceは現地時間18日、企業の会話データを活用して迅速でスマートな仕事を実現する「Slack AI」が、日本語を含む多言語に対応し、Slackの有料プラン全てで利用可能となることを発表した。これにより、あらゆる規模の組織が、現在使用している安全なSlackのプラットフォーム上にネイティブ搭載された、信頼性が高く直感的な生成AIにアクセスできるようになるとしている。

 Slack AIの主な機能のうち、新しい「まとめ」機能は、ユーザーがフォローしたいチャンネルの要約を毎朝ダイジェストで配信する。対象のチャンネルをまとめに追加することで、見逃した可能性のある会話のダイジェストを毎日受け取れる。また、Slack上のユーザーアクティビティに基づいて、Slack AIがまとめに追加するべきチャンネルをおすすめする。

 回答の検索機能は、会話形式の質問に対して、パーソナライズされたインテリジェントな回答を提供する。関連するSlack上の会話から直接引用された平易な言葉で、明確かつ簡潔な回答を得られる。また、必要に応じて引用元を検証し、さらに深く掘り下げた回答の検索もできる。

 会話の要約機能は、アクセス可能なチャンネルやスレッドから要点を抽出する。未読メッセージの把握や、過去7日間の会話の要約、あるいは任意の期間を設定して要約を作成できる。それぞれの要約には明確な情報源が示されているため、ユーザーは重要な部分をより深く掘り下げられる。

 セキュリティ面では、Slack AIはSlackのインフラストラクチャ上で動作し、Salesforceと同様のセキュリティプラクティスとコンプライアンス基準に準じていると説明。Slack AIの大規模言語モデル(LLM)は、Slack独自の仮想プライベートクラウドでホストされており、顧客データは社内で保持され、その組織でのみ使用される。そのため、顧客データが、直接的または間接的に他の顧客へのサービス提供目的で使用されることはなく、また、Slack AIがLLMのトレーニングに顧客データを使用することはないとしている。

 Salesforceでは、社内分析の結果、Slackの顧客はSlack AIを活用して回答の検索や知識の抽出、アイデアの創出に役立てることで、すでに1ユーザーあたり毎週平均97分の業務時間を短縮していると説明。一方で、SlackのWorkforce Labが実施した最新の調査によると、経営幹部の94%が自社にAIを導入することが喫緊の優先事項だと述べているにも関わらず、職場でAIツールを試したことがあると回答したデスクワーカーは4人に1人にとどまっているという。

 Slack AIの検索および要約機能は今後、アクセスできるコンテキストをさらに拡大させ、ファイル、Slackアプリ、canvas、クリップなどの新しいデータソースにも対応する予定。例えば、Slackの簡単な音声・ビデオ通話機能であるハドルミーティングにもSlack AIが適用されると、ライブディスカッションの中から重要なポイントとアクションアイテムの要約を作成し、迅速に次のステップへ進めるとしている。

 また今後、Salesforce CRM向け対話型AIアシスタント「Einstein Copilot」との連携により、Slackはアシスタントの活用に最適なプラットフォームになると説明。AIを活用したCRMのインサイトをSlackに直接取り込めるため、チームと会話するようにSalesforceのデータを簡単に活用できるとしている。

 Slack AIは、すべてのSlack有料プランにおける有料のアドオンとして提供を開始しており、価格はプロプラン、ビジネスプラスプランでユーザーあたり月額1200円(米国では10ドル)。Slack AIは現在、英語、スペイン語、日本語で提供されており、今後さらに多くの言語に対応する予定。