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NTTとNTTデータグループ、英国・米国で遠距離データセンター間を低遅延で接続する実証実験に成功

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)と株式会社NTTデータグループは12日、英国および米国国内において、NTTグループ保有のデータセンター間をIOWN APN(All Photonics Network)で接続する実証を行ったと発表した。

 昨今では、二酸化炭素排出量の制限や用地不足などを理由に、都市部でのデータセンター建設が困難となっている地域が多く、郊外にデータセンターを建設せざるを得ないケースがある。地理的に離れたデータセンター間を接続する場合、データセンター間通信における遅延が非常に大きくなってしまうため、低遅延で接続するというニーズに応えられないという課題がある。

 こうした環境において、データセンター間接続にIOWN APNを活用することで、都市部のデータセンターと郊外のデータセンターを、まるで同一のデータセンターであるかのように活用できる統合ITインフラの構築が可能になると説明。それにより、リアルタイムAI分析や金融分野など、低遅延性が強く求められるユースケースにおいても、顧客のニーズを満たせるとしている。

 さらに、IOWN APNではダークファイバーを新設することなく、波長追加による接続回線の提供ができるため、顧客のサービス申し込みから接続回線の提供までの時間を大幅に短縮でき、要望に迅速に応えられるとしている。

 日本国外において、NTTデータグループのデータセンター間をIOWN APNで接続して統合ITインフラを提供するにあたっては、現地の複数のダークファイバー事業者との連携が必要となる。ダークファイバー事業者ごとに提供される光ファイバーの特性などが異なるため、それらの特性等に応じてネットワークを設計・運用することが必要となる。ファイバー敷設状況、遅延・遅延ゆらぎなどの情報を収集することで、日本国外においてもNTTデータグループのデータセンター間をIOWN APNで接続した統合ITインフラを提供することが可能となる。

実証に用いたデータセンター
実証時のネットワーク構成

 実証実験は、英国ではへメルヘムステッドのHH2とダゲナムのLON1の2つのデータセンター、米国ではアッシュバーンのVA1とVA3の2つのデータセンターを、NEC製のAPN機器で接続し、両データセンター間の往復遅延および遅延ゆらぎの測定を行った。

 実証実験の結果、400Gbpsの通信において、両データセンターを1ミリ秒未満の遅延、1マイクロ秒未満の遅延ゆらぎで接続できた。英国では、今回の実証と同程度の距離があるデータセンター間通信における遅延が2ミリ秒を超え、また、一般的なレイヤー2スイッチで構成された従来のネットワークでは数マイクロ秒から数十マイクロ秒の遅延ゆらぎが発生するという。

 大手クラウド事業者では、同一のデータセンターとして扱える条件が2ミリ秒以内と規定されており、今回の計測により一般的なクラウドアプリケーションで想定されている遅延・遅延ゆらぎを大幅に下回る結果を確認できたとしている。

 この結果から、エンタープライズユーザーに対しては、リアルタイムAI分析処理や金融分野における郊外型データセンターとして、海外においてもNTTデータグループのデータセンターが活用されることが期待できると説明。また、海外においても、クラウド事業者に対しては、都市部と同一拠点相当のデータセンターとして、NTTデータグループのデータセンターが活用されることが期待できるとしている。

 NTTおよびNTTデータグループは、世界各地の事業部門とともに、早期のビジネスの立ち上げを目指し、金融分野をはじめ分散データセンターのユースケースとなる分野における顧客との共同実証の実施を検討していると説明。実際の業務に求められる要件を、IOWN APN接続による分散データセンターで十分に満たせることを、顧客とともに確認していくとしている。