ニュース

NTTドコモ、NTT、NEC、富士通の4社、6G通信に向け100Gbpsの超高速伝送を実現するサブテラヘルツ帯無線デバイスを開発

 株式会社NTTドコモ、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、日本電気株式会社(以下、NEC)、富士通株式会社の4社は11日、100GHz帯および300GHz帯のサブテラヘルツ帯に対応した世界最高クラスの無線デバイスを共同で開発し、100GHz帯および300GHz帯において100Gbpsの超高速伝送を実現したと発表した。

 4社は、6G時代のネットワークの活用では、メタバースや自動運転などさまざまなユースケースが考えられており、その増大する通信需要に応えるためには、広い帯域が利用可能なサブテラヘルツ帯(100GHz~300GHzの周波数帯)を活用した大容量の無線通信が期待されていると説明。

 サブテラヘルツ帯は、現状の5Gで使用されているミリ波帯(28GHz帯など)に比べて非常に高い周波数帯であるため、無線通信の基本要素である通信用ハードウェア(以下、無線デバイス)の開発から行う必要がある。こした新規の無線デバイスを開発するためには、移動通信システムへの応用を前提としたデバイスの要求性能の明確化や、要求性能をサブテラヘルツ帯で達成するための新規デバイス開発など、多岐にわたる課題があるという。

 これらの課題に対応するため、2021年から4社は共同して6G時代の大容量無線通信の実現を目指したサブテラヘルツ帯無線デバイスの研究開発を進め、今回共同開発した無線デバイスを用いて、100GHz帯および300GHz帯において無線伝送実験を行い、見通し内の伝送距離100mにおいて、100Gbpsの超高速伝送を実証した。これは、現在提供している5Gネットワークの送信時最速4.9Gbpsに対して、約20倍の高速化に相当する。

100GHz・300GHzの伝送実証実験の様子

 研究開発において、NTTドコモは100GHz帯の移動通信適用における無線システム構成や要求性能の検討を行い、伝送速度100Gbps相当で100m無線伝送が可能な無線システムを実現した。

 NTTは、300GHz帯無線装置およびそのキーデバイスである広帯域ミキサーの研究開発を行い、300GHz帯において実現されていなかった、チャネルあたり伝送速度100Gbpsの100m無線伝送が可能な無線装置を実現した。

 NECは、100GHz帯の移動通信環境を想定した無線通信システム構成技術の検討を行い、100素子超から成る多素子アクティブフェーズドアレーアンテナ(Active Phased Array Antenna : APAA)を実現した。

 富士通は、100GHz帯および300GHz帯の通信距離拡大および消費電力低減のため、高出力かつ高効率な信号増幅を可能とする化合物半導体技術の検討を行い、高出力アンプにおける世界最高の電力効率を実現した。

 4社は今後も、サブテラヘルツ帯を移動通信で活用するために幅広い研究開発を行い、各社の強みを生かしたさまざまな取り組みを推進し、6Gに向けた世界的な標準化や実用化に貢献していくとしている。