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NTTドコモとNTT、6G実現に向けSKテレコム、ローデ&シュワルツと協力

 株式会社NTTドコモと日本電信電話株式会社(以下、NTT)は22日、第6世代移動通信方式(6G)に関する実証実験の協力体制をさらに拡大し、新たに海外オペレーターであるSK Telecom(以下、SKテレコム)および、高周波用高性能測定器のメーカーであるRohde & Schwarz(以下、ローデ&シュワルツ)の2社と、6Gの実現に向けた実証実験の協力について合意したと発表した。

 NTTドコモとNTTは、これまで取り組みを進めてきた富士通株式会社(以下、富士通)、日本電気株式会社(以下、NEC)、Nokia、Ericsson、Keysight Technologies(以下、キーサイト・テクノロジー)の5社に加え、全7社に協力体制を拡大し、6Gのさまざまな周波数帯を想定した実証実験をさらに推進していくとしている。

 新たに加わった2社の協力内容は、SKテレコムはNTTドコモとの技術協力の一環として、AI技術の活用によるさまざまな伝搬環境に合わせた無線インターフェイスの実証実験に参加する。これまでNTTドコモ、NTT、Nokiaの3社で進めてきたプロジェクトに合流し、NTTドコモと同じオペレーターとしてのノウハウ連携やエコシステム化を視野に入れ、想定するユースケースにより近い環境へ拡大し、実証実験を行う予定。

 ローデ&シュワルツは、ローデ&シュワルツが保有する測定系構築技術を活用し、移動通信技術にとどまらない新たな無線センシング評価のためのチャネルモデルの検討を進め、実際の環境における測定やチャネルモデルを通じて無線センシングの性能評価を行う予定としている。

新たに協力する2社を含む、全7社の実証実験全体像

 また、2022年6月から主要ベンダー5社と新たな無線通信技術やAI技術の活用に焦点を当てた実証実験により、確認された成果を公表した。

 Nokiaが試作開発した140GHz帯無線部試作機と128素子のフェーズドアレイアンテナを用いた実験では、日本国内でビームフォーミングの実証実験に成功した。実証実験の結果、フェーズドアレイアンテナの異なる方向へのビーム走査により、受信機を移動させても良好な受信強度特性を得られることを無線部試作機の実動作として確認した。今後は、室内環境などにおいて、ユースケースに着目した実験を行っていくことで、サブテラヘルツ帯の実用性を確認していく予定としている。

 富士通が試作した100GHz帯フェーズドアレイアンテナと無線回路を用いた実験では、分散MIMOに相当する伝搬路情報取得に成功した。今後は、シミュレーションにより遮蔽耐性や分散MIMO特性などを分析する予定としている。

 NTTが中心に開発した896素子からなる超多素子の受信アンテナと、キーサイト・テクノロジーが構築した受信信号解析装置を組み合わせた実験では、サブテラヘルツ帯の電波の空間的な到来を視覚的かつリアルタイムで観測可能な装置を実現した。また、NTTドコモが中心に開発した10GHzを超える超広帯域信号を用いたSISOチャネルサウンダと、キーサイト・テクノロジーが構築した信号送受信装置を組み合わせ、サブテラヘルツ帯の時間的な電波の到来を超高分解能に観測可能な装置を実現。これらの装置群を用い、サブテラヘルツ帯を用いた超広帯域通信に向けた電波伝搬実験を実施し、成功した。

 今後は、引き続きこれらの装置群を用いて、実利用環境の変動追従性を持つチャネルモデルを構築することで、効率的な超広帯域通信6Gシステムの設計に貢献するとしている。

 NTTドコモとNTTは、国内外の主要ベンダー、海外オペレーターとの実証実験を推進するとともに、幅広い移動通信技術の研究開発に向けて、今後もさらにパートナーを拡大し、各社の強みを生かしたさまざまな取り組みを推進すると説明。これにより、6Gの研究開発を加速させ、世界的な6Gの標準化や実用化に向けた検討に貢献していくとしている。