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SCSK、東急不動産、リエネ、I-REC発行を伴うコーポレート電力購入契約を締結

東急不動産所有の太陽光発電所で発電した電力をSCSKのデータセンターに供給

 SCSK株式会社、東急不動産株式会社、株式会社リエネの3者は3月29日、株式会社三井住友銀行のコーディネートのもと、国際的なエネルギー属性証明であるI-REC(International Renewable Energy Certificate)の発行を伴う、コーポレート電力購入契約(以下、PPA)を国内で初めて締結したと発表した。

 同PPAにより、世界の主要な報告の枠組みであるGHGプロトコル、CDP、RE100などから信頼性を認められているエネルギー属性証明のI-RECを利用することで、グローバルスタンダードに則した脱炭素化の施策を実行していくとしている。

 SCSKグループは、成長戦略としてサステナビリティ経営を推進しており、脱炭素や循環型社会の実現に向け、社会と共に持続的に成長する、社会が必要とする経済価値と社会価値の創出を目指している。この取り組みとして、2023年5月、I-REC規格財団(現I-Tracking規格財団)より、日本初のプラットフォームオペレーター認定を取得し、I-RECの国内向け取引プラットフォームサービス(サービス名称:EneTrack)の提供を開始した。

 東急不動産とリエネは、国内各企業が脱炭素に向けた取り組みを本格化する中、エネルギー属性証明の「高付加価値化」を検討しており、属性証明に関する考察や実現検討を重ねていた。

 三井住友銀行は、本業を通じた環境・社会課題の解決に積極的に取り組んでいる。具体的には、総合金融グループとしてのノウハウを活用し、サステナビリティ全般に関する経営課題を抱える企業と、ソリューションを提供するパートナー企業との事業共創などを主導している。この4社が集まり、「再エネの普及拡大・日本の脱炭素化」を共通の志とし、「属性証明された電力契約」のあり方に関し推究を重ね、PPAの締結に至ったという。

 PPAでは、東急不動産が所有する太陽光発電所で発電する電力の属性をI-RECで証明した上で、SCSKのnetXDC東京第1センターに供給する。今回の契約で供給される電力量は、当該データセンターの年間電力使用量の約13%に相当する。

 データセンターはAI技術の普及等により消費電力のさらなる拡大が見込まれている一方、企業の脱炭素化が加速しているため、将来的に安定的な再エネの確保が困難となることが危惧されていると説明。今回の取り組みにより、SCSKは安定的な再エネを確保するとともに、その属性証明としてI-RECを利用し、再エネ発電者から電力を直接購入することで「再エネの追加性」を高め、国内の再エネ普及に貢献するとしている。また、今後は購入量を増やしていくことで、SCSKグループが掲げる温室効果ガス排出量削減目標の達成を確実なものにしていくとしている。

 東急不動産とリエネは、新たな法整備や各種規制の整理による変化が激しく不透明な「再エネ拡大」の領域において、従来の非化石証書などに加えて、今回の取り組みによる手法の確立により、再エネ普及による日本の脱炭素化をより一層加速させられるとしている。

 三井住友銀行は、再エネの需要家でありI-RECの国内向け取引プラットフォームオペレーターであるSCSKと、再エネ供給事業者である東急不動産およびリエネとの議論の場をコーディネートし、PPAを実現に結び付けた。今後も社会のサステナビリティを顧客とともに実現するためのソリューションの提供や対話を行い、総合金融グループとしてのノウハウを活用して、持続可能な社会および市場の形成にも一層貢献を行っていくとしている。