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NECとSkyloom、速度100Gbps以上の宇宙光通信技術の開発に向け協業

 日本電気株式会社(以下、NEC)と米Skyloom Global(以下、Skyloom)は19日、衛星ネットワーク用の最先端光通信装置の共同開発に合意したと発表した。

 NECでは、近年、衛星コンステレーション(複数の衛星を連携、協調させて一体的に機能させる仕組み)の普及・拡大に伴い、低軌道周回衛星における高速通信への需要の急増が見込まれていると説明。特に、衛星間通信においては高速大容量通信が可能で、電波干渉対策などへの対応が容易な光通信が注目されているという。

 そこで、NECとSkyloomは、速度100Gbps以上を実現する衛星間光通信の技術開発を進めると説明。この技術を基に、2025年末の完成を目指して、100Gbps光通信端末(OCT:Optical Communication Terminal)の共同開発、テスト、製造に取り組み、2026年には開発した製品を宇宙環境で実証し、その後、世界市場に提供していく予定としている。

 従来、宇宙での通信は電波が主流だったが、協業では1980年代半ば以降に急速に発展した地上の光通信システムで培われた光通信技術を宇宙通信に応用する。

 SkyloomのChief Commercial Officer(最高商業責任者)であるEric Moltzau氏は、「これは、世界的なインターネットと宇宙通信における画期的なマイルストーンです。NECとのパートナーシップにより、画期的な100Gbps OCTの共同開発、テスト、製造に取り組み、2025年末までに完成させる予定です。私たちの計画は、2026年にこの製品を宇宙に打ち上げ、2020年代後半には国内外の顧客からの高まる需要に対応するため、生産規模を急ピッチで拡大することです。極めて迅速に発展する衛星間通信速度への変革を私たちは始めたばかりです。NECとSkyloomの協力は、新たな宇宙通信の時代を牽引します」と述べている。

 NECのエアロスペース事業部門長である清水基充氏は、「各衛星を光通信で接続した衛星コンステレーションネットワークは、従来のスタンドアロン型の衛星では不可避であった地理的・時間的な制約から宇宙利用の可能性を解放します。サービスの多様化は衛星間のスムーズなデータ共有を、サービスの高度化は人工知能に根差したデータ処理能力の軌道上への実装を促します。これらはともに、低遅延で高速な衛星間光通信により可能となるものであるため、光通信の性能は宇宙空間を利用したサービスの質と量を決定づける要素になっていきます。米国Space Development Agency(宇宙開発庁)のProliferated Warfighter Space Architectureへの参加により衛星コンステレーション時代の宇宙利活用の最前線に位置するSkyloomとの今回の協業による100Gbps光通信の実現は、衛星コンステレーション時代の本格的な宇宙利用に向けた重要な一里塚です。その先にはNECが目指す海底から宇宙までのコンピュータと通信の融合があります。」と述べている。