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ブラックライン、2024年度事業戦略でパートナーとの連携強化をアピール

 ブラックライン株式会社は27日、2024年の事業戦略について、「Partner Powered」、「Customer Centric」、「New Products」の3点に注力すると発表した。代表取締役社長の宮﨑盛光氏は、「この3つの事業戦略をしっかり推進していくために、最も重要になってくるのがパートナー戦略」と述べ、パートナーとの連携の重要性をアピールした。今回は新たに、日立製作所(以下、日立)、富士通、NTTデータ グローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)の3社をパートナーに加え、日本での事業拡大を進めていく。

2024事業戦略 注力領域

 宮﨑社長はあらためて、同社が提供するソリューションについて次のように紹介した。

 「日本法人では、すべての経理、財務の方々が経営の羅針盤になる世界を作るぞということをビジョンに掲げ、今年で6年目を迎えている。経理の方々へ、業務の可視化、標準化、そして自動化、統制強化などの機能をお届けし、経理、財務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するソリューションとして定着してきている。具体的には会計システムやERPを補完、拡張する位置づけにあり、決算作業や監査対応等を中心に、手作業が残りがちな領域の業務プロセスや業務データをデジタル化する」。

 具体的には、決算担当者や経理担当者が取引記録から決算書作成を行う際、情報開示プロセスにおいて、ERPでカバーできる領域とほかのシステムでカバーできる領域、それらから漏れる領域が存在する。これまで、人海戦術やExcelを活用するなど現場担当者が作業してきた。ブラックラインのクラウドプラットフォームを活用することで、こうした作業のデジタル化、自動化する。

会計システム、ERPを補完&拡張するBlackLine
BlackLineが目指す姿

 現状の決算業務では、現場担当者による情報処理と実績収集に最も多くの時間や手間がかかり、管理者が行う管理統制や経営者が行う経営参謀といった部分にかけられる時間は少ない。この現状を作業のデジタル化、自動化によって変えていくことを目指す。現場担当者の作業には効率的な基盤を確立し、管理者はグループ管理による連携を強化する。経営者は新たな付加価値サービスの提供に最も多くの時間を割く形態となることを目指す。

 「現状で最も時間がかかっている情報処理と実績の収集は、数字を調べる、もしくはまとめる、そして監査法人からお墨付きを得るという、いわゆるスコアキーパーと言われることもある領域。この部分を劇的に効率化することで、効果的な基盤を確立することができる。その結果、余力と時間が生まれ、高付加価値な仕事に、経理の方々が携わることができるようになる。その結果、モチベーションアップにもつながっていく。実際にそういう変化が現れた事例も多く出ている」(宮﨑社長)。

ブラックライン株式会社 代表取締役社長 宮﨑盛光氏

 ブラックラインでは経理を担当するチームに対し、「余力の創出」、「ガバナンス強化」、「業務の高度化」という3つの価値を提供するとアピールしている。こうした価値提供によって企業が掲げる、人材、組織、プロセス、ガバナンス、DXなどの改革を実現するという。

 「お客さまとよくこの点について会話することがあるが、ブラックラインを活用することで、人材の領域からDX領域まで、幅広い現場のニーズに対応できる唯一のプラットフォームだよねという評価をいただくことが非常に多くなってきている」(宮﨑社長)。

BlackLineの価値

 導入企業としては、花王、セゾン情報システムズなどを挙げ、人材育成と属人化解消、脱Excel、決算作業の早期化などを実現しているという。

BlackLineの導入事例 効果(一例)

 こうした現状を踏まえ、2024年の事業戦略を説明。Partner Poweredは、パートナーエコシステムの拡大とパートバーとの連携を強化する。具体的には、個別企業ごとに戦略を合意する、Executiveが積極的に関与する、Partner 1stでサービス事業に取り組むと説明している。

 「日本のお客さまのニーズにしっかり対応していくためには、やはり日本のお客さまを深く理解しているパートナーとの連携が不可欠。我々1社の力だけではなく、パートナーの皆さまのお力を借りることが非常に大きなポイントになっていく」(宮﨑社長)。

パートナーコミットメント

 Customer Centricは、顧客第一主義をあらためて徹底する。顧客のさらなる進化を支援すること、カスタマーサポート体制の強化、日本企業の機能要望を積極的に製品に反映させるという目標を掲げる。「現在、多くの大手企業がお客さまとなっている。より徹底的に効果を出してもらうために、製品を使い倒してもらえるようなサポート体制の強化を行った。日本のニーズを聞いてもらうために、本社の開発チームとの情報交換も定期的に行っている」(宮﨑社長)

 New Productsとしては、CFO組織全体へのサポートを目指す。新たなプロダクトとしてIFM、FRA領域の製品を提供する。さらに、プロダクト責任者が日本を積極的にサポートしていく。「現在、ブラックライン日本法人では、ベーシックなフィナンシャル、クローズマネジメントと言われる領域のコア製品を提供しているが、2024年にはこれに加えて、IFM、FRA、会社間取引、データ分析、レポートの領域の新製品を展開していく計画となっている」(宮﨑社長)。

 今回、パートナーとして日立、NTTデータGSL、NTTデータデータ・スマートソーシングの3社がパートナーとして登壇。それぞれ経理業務のDXに取り組んでいくために、パートナーとしてブラックラインを活用していくことが説明された。

 また記者説明会には、米BlackLineのChairman of the Board and Co-CEOのオーウェン・ライアン氏も登壇。自身がデロイトトーマツに30年以上勤務した後でブラックラインに転身した経験から、「私たちのリーダーシップチームは、真の意味でパートナーパワーを強くするという長期的な戦略とビジョン刷新を行った。パートナーエコシステムはブラックラインの成功に欠かせないものであり、私自身がこの成功に率先してお役に立てるよう全力を尽くす」とパートナーとの関係強化が重要だと強く認識しているとアピールした。

 さらに日本市場に対し、「日本はブラックラインにとって戦略的な市場であり、今年のみならず将来にわたって重点的に取り組んでいく。日本市場に大きな可能性をブラックラインは見いだしており、パートナーの皆さまのご支援により、 ブラックラインをCFO組織のための最高のプラットフォームプロバイダーとして、確固たる地位を築いていく」と注力していくことを表明した。

BlackLine Chairman of the Board and Co-CEOのオーウェン・ライアン氏