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インテックと伊那市、高校生を中心とした人流データ解析の実証実験を実施

 株式会社インテックは16日、長野県伊那市と高校生を中心とした市内の人流解析の実証実験を実施すると発表した。

 インテックは、2023年5月に伊那市と「新しいまちづくりに関する連携協定」を締結し、伊那市独自のスマートシティの構築や地域ブランドの創出に向けて取り組みを進めてきた。今回の実証実験は、その取り組みの一環となる。

 伊那市には現在、公立高校が4校、私立高校が1校あり、市内・市外(長野県上伊那郡内)から高校生が通学している。一方で、市内を通るバス路線は縮小傾向にあり、高校生の移動に親が自家用車で送迎しているケースが少なくなく、このことから、高校生をはじめとした、自家用車を持たない市民の移動の自由度や生活満足度が下がることで、高校生を抱える家庭の市外への流出など、人口の動態が変わることが懸念されているという。

 伊那市とインテックは、地域の生活動態に基づいた若い世代に魅力的なまちづくりを行うことを目的に、市内の3つの高校と公共交通拠点における人流解析を行い、地域のデータを組み合わせて可視化する実証を行うことにした。

 実証実験は、インテックが提供する「エリアデータ利活用サービス」を利用して実施する。計測器(Wi-Fiパケットセンサー)を市内11カ所に設置し、スマートフォンなどの通信機が発する情報を受信することで、計測器周辺にあるWi-Fi機能をオンにした通信機の台数や移動、滞留を計測する。これらを公共バスなど地域の公開データと組み合わせて可視化し、今後のまちづくり政策に活用できるかの検証を行う。

 実証実験の期間は2023年12月~2024年3月。センサー設置期間は2023年12月19日~2024年2月22日予定。

実証実験のイメージ

 データ可視化の途中経過(2024年1月末時点)としては、1)センサー設置箇所における時間ごとの滞留データ、2)伊那市のオープンデータや公開されている学校要覧などから、高校生の出身中学別の人数や、現在の小・中学生の人数を地区ごとに色分けした今後の通学見込み人数のデータ、3)公共交通の現在の路線およびダイヤ、廃線になった路線、JR飯田線各駅の有人・無人状況をアイコン化したデータ――の各データを組み合わせて可視化することで、公共交通を利用した通学のしやすさや、地域の通学実態の理解促進に有効活用できることが分かったという。

 インテックは、今回収集したデータの解析とともに市民へのアンケートを行い、データ結果を踏まえて伊那市のまちづくり政策や公共交通政策検討につなげていくとしている。

エリアデータ利活用サービスで通学状況と公共交通の状況を可視化したイメージ