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AIの2024年を予想する 「State of AI」レポート

「今後12カ月の予測」

 コンサル大手McKinseyにも、「The state of AI」という同じような名前のレポートがあるが、こちらはオンライン・アンケートに基づく現状と今後の分析だ。「生成AIの利用は既に広まっているが、多くの企業はAIの潜在的リスクへの対処ができていない」といった内容をまとめている。

 これに対し、Air Street CapitalのState of AI Reportはトレンドの解説にとどまらず、これから起こることを大胆に予測するのが特徴だ。2023年版の「今後12カ月の予測」は10項目。コンパクトに紹介するため、分野別にまとめてみてゆく。

 まず利用面では、アートの世界でのエポックを予想する。

  • ハリウッド級の作品が、視覚効果に生成AIを活用
  • AIが生成した楽曲がビルボードホット100トップ10、またはSpotifyトップヒット2024にランクイン

 画像・動画、音楽の生成がメジャーなアートの世界で認められる年になると予想する。ChatGPTに先んじてStable DiffusionのようなAI画像生成サービスが広まったが、この技術は動画や音楽生成に発展している。Stable Diffusionを元に開発された音楽生成サービス「Riffusion」などが既に人気を得ている。

 テクノロジー面では、1項目。

  • Self-improving AI agent(自己改善AI型エージェント)が、大ヒットゲームやサイエンスの分野でSOTAを粉砕

 SOTAはAI業界では最高性能を表し、その「粉砕」は画期的な技術の進展があるとの意味になる。自己改善型AIエージェントは「外部からの助けを得ることなく、自己生成データで学習しながら与えられた目標に向かって能力を高めてゆく」エージェント。現実世界のような複雑な環境下での実現はまだ難しいが、ゲームのように閉じた世界では既に有効と考えられている。

 政治・行政面からは3項目。

  • 2024年の米大統領選で、その技術が悪用されたとして生成AI企業の調査が行われる
  • 米国または英国の独禁当局がMicrosoftとOpenAIの取引を調査する
  • グローバルなAIガバナンスについては、ハイレベルな自主的コミットメント以上の進展は限定的

 選挙戦に影響を与えうるほどのフェイクコンテンツが登場することは想像に難くない。レポートは、大統領選でどこかのAI企業が責任を問われる事態を予想する。またMicrosoftとOpenAIの超強力タッグが独禁当局の注意を引く可能性は高い(あるいは既に引いている)。こうした問題山積のなかでも、各国政府がグローバルなAIガバナンスを推進することは、それぞれの思惑からも困難であるとみている。